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厳しさを増す経済・経営環境に立ち向かうために、NICe増田代表理事が送る、視点・分析・メッセージ 。21日配信のNICeメルマガシリーズコンテンツです。
さあ、「経済効果」に食い込もう!



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    「増田紀彦の視点 どうする?日本経済」

    第67回 
    さあ、「経済効果」に食い込もう!
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【プロ野球の一試合あたりの経済効果】

プロ野球が開幕して、そろそろ2カ月が経つ。
事前の評価が高くなかった阪神タイガースだが、まずまず健闘している。
「これくらいのペースなら、彼の機嫌もそう悪くないだろう」と、
熱狂的なタイガースファンの旧友の心中に思いを馳せた。

東大阪市で町工場を経営するその「トラキチ」は、本当に働き者だ。
頑張って稼いで、甲子園球場の年間席を購入するのが、そんな彼の楽しみ。
実際、彼が購入した内野席に、私は何度もご招待して頂いている。
ちなみに私が甲子園に足を運ぶと、タイガースは負けない。
一度も負けていない。接待を受けたら、確実に見返りを提供する私である(笑)。

なので、入場料こそ「ロハ」ではあるが、
東京から兵庫県西宮市まで出掛けていくのだから、それなりに出費はする。
新幹線の乗車賃や宿泊代は当然だが、そのほかにも何かとお金がかかる。

まず、甲子園球場近くの駐車場料金(トラキチが送迎してくれるので)、
観戦中の飲み物代やおつまみ代、応援グッズの購入費、
試合後の祝勝会(飲み会)の代金、帰路の高速道路料金などなど……。
ざっと見積もっても、私一人で6万円以上は使っている計算だ。

むろん、私と違って関西圏から観戦に来る人のほうが多いだろうが、
それでもナイターに出掛けて帰ってくれば、何だかんだで一人1万円は使う。
甲子園球場の席数は4万7508。単純計算でも一晩で5億円近くの経済効果だ。


【経済効果研究の第一人者、宮本勝浩博士】

もっとも、これが「タイガース優勝!」ともなると、桁違いの数字を生む。
このへんは、関西在住の経済学者、宮本勝浩博士の研究が有名だ。
博士によると、プロ野球の優勝による経済効果は500億~600億円だとか。

宮本博士は社会主義経済や地域経済の研究に取り組んできた学者だが、
一方で、「阪神優勝の経済効果」「東北楽天の宮城県における経済効果」など、
プロ野球が経済に果たす役割を分析するほか、「石川遼の経済波及効果」、
「くいだおれ太郎の経済波及効果」、「たま駅長効果」などなど、
人々の関心が高い社会現象を題材にした経済分析を数多く手掛けてきた。
学問が市民の関心に答えうることを示し続ける宮本博士には、頭が下がる。


【ディズニーランドに匹敵する、『嵐』の活動休止効果】

さて、そんな経済効果研究の第一人者である博士の度肝を抜いたのが、
アイドルグループ嵐の活動休止に伴う経済効果である。
2020年12月までの2年間のその額は、何と3249億296万円!
阪神タイガースが連覇を遂げたとしても、遠く及ばない数字である。

これだけの経済効果を発揮できる国内ビジネスといえば、
あとは東京ディズニーランドくらいのものとか……。いやはや、すごい。

ところで、嵐の経済効果の内訳はどうなっているのだろう?
博士はファンクラブの会費やコンサートに来場するファンの交通費、宿泊費、
CD、DVD、グッズの売り上げなどをベースに試算をした。

嵐のファンクラブ会員数は約250万人で年会費1人4000円。会費だけで100億円、
コンサートは19年12月までに50公演あると仮定し、225億6250万円と算出。
来場するファンの交通費、飲食費、宿泊費などは196億1893万円、
さらにファンがCD、DVD、グッズなどを積極的に買い求めることも加え、
2019年だけでも嵐の経済効果は、およそ1505億9189万円と試算した。
翌2020年は、さらにこれらの数字が跳ね上がり、
結果として2年間で上記の3249億円超の経済効果があると分析した。


【あらためて「経済効果」とは何か?】

ここまで、特に注釈も付けず、経済効果について語ってきたが、
あらためて経済効果とは、どういうことなのかを確認しておきたい。

経済効果は、別名、経済波及効果という。
Wikipediaでは、「新規に需要が発生することにより、
その需要を満たすために生産が連鎖的に誘発されることである」と規定し、
「それによって発生する金額の合計額や、何らかの事象が起こることによって
発生すると推測される需要量より算出された合計額を指すこともある」と説明。

確かにそうなのだが、もう少し付け加えると、
経済効果は、景気全体に影響を与えるような事柄を指すのではなく、
何らかの事象の結果、どの業界が、一時的に、いかに潤うかを予測するものである。

したがってタイガースが何度優勝しようが、嵐が休止と再開を何度繰り返そうが、
日本経済や世界経済の趨勢を左右するようなことにはならない。
そうだからこそ、私たち小企業の起業家や経営者にとって、
「特定の事象によってもたらされる潤い」は、見逃せないネタなのである。


【「お裾分け」を、しっかり頂く貪欲さが大事】

小企業は大企業ほど、景気動向の影響を受けない。
実際、この間の「好景気」を実感している小企業がどれほどあるだろう?
確かに景気全体の動向を把握し、対応していくことも大切だが、それにもまして、
何らかの経済効果に食い込むセンスが、私たちの業績向上に直結するのである。

嵐のような人気グループの活動休止など、そうそう起きることではないし、
まさに今月の改元など、滅多にない出来事だった。
もちろん来年の東京オリンピック・パラリンピックもそうだし、
2025年の大阪万博もそうだ。他にも多々「滅多にない出来事」はあるだろう。
これらが生み出す需要に、あの手この手で食い込むことを、ぜひ考えてほしい。

ちなみにタイガースの優勝は、決して「滅多にない出来事」ではない(はず)。

<一般社団法人起業支援ネットワークNICe 代表理事 増田紀彦>

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「つながり力で起業・新規事業!」メールマガジンVol.89
(2019.5.21配信)より抜粋して転載しました。
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