一般社団法人起業支援ネットワークNICe

ユーザーログイン
最新イベント


お役立ちコラム



Column
厳しさを増す経済・経営環境に立ち向かうために、NICe増田代表理事が送る、視点・分析・メッセージ 。21日配信のNICeメルマガシリーズコンテンツです。
シンデレラからの還暦祝い



■□■───────────────────────■□■
    「増田紀彦の視点 どうする?日本経済」

    第70回 
    シンデレラからの還暦祝い

■□■───────────────────────■□■

【渋野選手、いきなり全英女子オープン優勝】

アメリカの『ザ・ゴルフ・チャンネル』のコメントが冴えている。

「これほどまでに魅力的な登場を果たしたスターを探そうと思ったら、
メリーポピンズとして55年前に突然空から降りてきた、
ジュリー・アンドリュースにまで遡らなければならない」。

言うまでもなく、全英女子オープンで優勝した渋野日向子選手を評する言葉だ。
初の海外試合参戦で、いきなりのメジャー制覇。しかも終始の笑顔。
気づくと「もう打っていた」スピード感……。
『ザ・ゴルフ・チャンネル』の言う通り、渋野選手の登場は劇的だった。

最終日の生中継、私も固唾を飲んでテレビに噛り付いていた。
しかし、午前2時過ぎ、下位の選手に逆転を許し、リーダーとは2打差。
「やっぱり無理か」。私は諦めと睡魔のダブルパンチに襲われ、あえなく撃沈。
一夜明けると、渋野選手は日本中を湧かせるシンデレラになっていた。
言うまでもなく、私は自分の軟弱ぶりを悔いた。


【「元を取ったなんてもんじゃない」とBEAMS GOLF】

そこからの渋野フィーバーは誰もが知るところである。
5月14日にウェア契約を結んだばかりの「BEAMS GOLF」の担当者は、
テレビの取材に「元を取ったなんてもんじゃありません」と答えていた。
本当にそうだと思う。
4日目の決勝ラウンドで渋野選手が着用していた、
「ビームス ゴルフ」2019年春夏ウィメンズコレクションは即完売。
メルカリでは、すでに3万円以上の値が付いていた。
その後に発売した「優勝記念モデルウェア」もわずか30分で完売。
ビームスも8日の朝刊6紙に全面広告を出すなど、一気に経済が動いた。


【突如脚光を浴びた「よっちゃん」の駄菓子】

渋野効果はまだある。
試合中、渋野選手が時折口に運んでいた駄菓子が話題になった。
よっちゃん食品工業が製造する「タラタラしてんじゃねーよ」だ。
ニュースによると、彼女、同社製の「よっちゃんイカ」も食べていたらしい。
どれだけ「よっちゃん好き」なんだ(笑)。

以前、古閑美保さんが「試合中はバナナが便利」と言っていたが、
携帯性で言えば、軽量でコンパクトな駄菓子のほうが上だ。
これを機に、駄菓子がアスリート用の食品たりうるのかどうか、
関係機関には、ぜひとも研究に取り組んでほしい。


【メーカーの本懐を忘れない、よっちゃんの経営姿勢】

それにしても、この時代に至って、
「よっちゃん」がニュースになるなど、夢にも思わなかった。

同社は1959年の創業だから、今年がちょうど60周年。
20歳の若きシンデレラからの、思わぬ還暦祝いである。
同社自身もこのニュースに「驚いた」とコメントを発表している。
正直な会社だ。

同時に、同社は「マスコミの問い合わせなどには対応困難」だと、
自社のホームページに公式コメントを掲載した。
過熱気味の報道に対して浮かれる様子もない。
バタバタして製造・出荷に支障をきたしてはいけないという、
メーカーとしての責任感と矜持を感じさせる姿勢だと好感を抱いた。

「欠品や納期遅れなど、絶対にあってはならないこと」。
日本の中小メーカーの経営とその成長を支えてきたバックボーンが、
脈々と受け継がれている……。
少し、胸が熱くなった。


【バスケの八村選手やカーリング女子も「活躍」していた】

そう言えば、つい最近も北陸製菓の「白えびビーバー」が話題になった。
アメリカのプロバスケットプレイヤー・八村塁選手が、
チームメイトに配ったところ大好評だったというニュースだ。

さらに思い出すのが、「そだねー」で人気を博した、
ピョンチャン五輪の女子カーリングチームの「もぐもぐタイム」。
彼女たちがあの時食べていた清月の「赤いサイロ」も一気に名を挙げた。

清月は北海道北見市の会社である。
ちなみに北陸製菓は石川県、よっちゃんは山梨県と、いずれも地方の企業だ。
これは、「たまたま」という話ではない。
我が国の食品製造業や菓子製造業は全国津々浦々に広がっているのである。
言い換えれば、これらの産業の地道な活動が、地域経済の要になっている。

世界に羽ばたく若きアスリートたちと、
彼ら、彼女らのコンディションとスピリットを支える地方の老舗食品メーカー。
実に素敵なコンビネーションではないだろうか。

さあ、東京オリンピック、パラリンピックまで、もう1年を切った。
地方の食品メーカーの皆さん、そして地方経済の振興に関わる全ての皆さん、
あなたの町の「おいしいもの」で、選手たちを全力で支えよう!

<一般社団法人起業支援ネットワークNICe 代表理事 増田紀彦>

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「つながり力で起業・新規事業!」メールマガジンVol.95
(2019.8.21配信)より抜粋して転載しました。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

なおこのメールマガジンは、毎月11&21日頃にお送りします(土日祝の場合は翌平日)。
メルマガのバックナンバー&購読登録はこちら 
NICeユーザー(SNSに登録)へは自動送信しますので、メルマガ登録する必要はありません。NICeのSNSは登録も利用も無料です。SNS新規登録はこちら

 
 前の記事
次の記事 



最新のお知らせ NEWS
2024-03-21 08:02:08NEWS
 本日配信:NICeメルマガvol.206【増田紀彦の視点・第123回 不確実性の時代こそ、LLPの活用を!】

プライバシーポリシー
お問い合わせ