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どうする?日本経済

参院選を終えた政権に一言


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    「増田紀彦の視点 どうする?日本経済」

    第69回 
    参院選を終えた政権に一言

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【無視できない「諸派」の存在】

安楽死うんぬんと書いてあるハガキが自宅に届いた。
一瞬、葬儀社の広告か何かだと思ったのだが、ちゃんと読むと、
参院選に候補を擁立した「安楽死制度を考える会」という政党のDMだった。

この政党が政権を担おうと考えているとは思えない。
公職選挙という舞台を活用して、法的な整備が進まない、
安楽死や尊厳死の問題を国民的議論に持ち込みたいのだろう。

「NHKから国民を守る党」も似たような立場かもしれない。
同党には地方議員31人が所属していて、それなりに存在感も増してきた。

本来、国政選挙は、国内外の諸課題にどう対応し、
いかに国力を維持・発展させていくのか、
その手立てを政党は公約として掲げ、国民に方針の選択を託すものだ。

にもかかわらず、上記のようなグループが旗を揚げるのはなぜか?


【重苦しさか増す将来への不安】

背景には高齢化や貧困化など、暗く悩ましい我が国の実情がある。
だから「安楽死~」や「NHK~」などの諸派を指して、
単なるポピュリズム(大衆迎合主義)と切り捨てるわけにはいかない。

延々と続くデフレによって所得の向上機会が得られず、
直接的には「働き方改革」によって給与総額がダウンし、
さらに社会保険料の増額によって手取り額も減少し、
そういう状況にありながら、消費税のアップを突きつけられる日本国民。
しかも老後の生活資金はとても足りそうにない……。

こうした重苦しさとは無縁という国民が、どれだけいるだろう?

この原稿を書いているのは参院選の投票前なので、
選挙結果については想像するしかないが、
選挙活動における既存政党の主張は、与党野党問わず、
そうした国民の不安を払拭する内容が含まれているとは思えなかった。


【指し詰め、「日米同盟を強固にする会」?】

ちなみに安倍首相が登場する自民党のテレビCMには驚かされた。
いくつかあるパターンの内のひとつが、
「日米同盟をより強固なものにする」を第一声に選んでいるのだ。
憲法改正を口にするのは得策ではないという判断があるのだろうが、
言うまでもなく、憲法改正=自衛隊明記は安倍首相の悲願である。

ということでバラバラになっているピースを集めると、
「日米同盟を強固にすることで外交の後ろ楯を確保しつつ、
貿易問題などで日本の企業ができる限り損をしないように頑張ります。
そのためには、トランプ大統領がかねてから口にしている、
日本の自衛隊はもっと働けという要求に応える必要があります。そこで……」、
という理屈になるのだろうか。うがった見方かもしれないが。

いずれにしても、そこまで日米同盟が大事なら、
自由民主党などという抽象的な単語を並べた政党名はやめて、
「安楽死~」や「NHK~」のように「日米同盟を強固にする会」にすればいい。
むろん皮肉を交えた冗談だ。

私の本心は、多少抽象的な表現になってもかまわないので、
将来への希望を持てずに日々を過ごしている国民に対し、
「こういうふうにするから大丈夫だ。
そしてそのために皆さんにもこんなふうに頑張ってほしい」という、
日本のトップとしてのメッセージを発してほしい、ということである。


【国民に向けて、具体的な方針を示してほしい】

もちろん国際政治のリアリズムを無視していいとは思わない。
ただ、日本の未来を切り開くのは、日本自身だという決意が欲しい。

上述したように、デフレが一向に改善せず、消費は伸びない。
大企業にはお金があるが、消費が伸びない市場に投資をする理由がない。
だからお金が回らない。21世紀に入って以降、20年近くこういう状態だ。

実際、他国と比較すると、いかに日本経済が停滞しているかがわかる。
2001年と2018年の各国のデータを比べるとこうなる。

◆GDP……中国8倍、米国2倍、日本ほぼ変わりなし
◆インフレ率……中国2.3%、米国2.1%、日本0.1%
◆政府支出……中国15.7倍、米国2.1倍、日本1.1倍

要するに日本で働いている限り、頑張っても報われないのが実態だ。
だから首相は、「皆さんも頑張れ」と言いにくいのかもしれない。
だが、そういう遠慮は無用だ。というか、そこを変えないといけない。

「政府はこういう方針で経済を立て直そうと思う。
なので国民の皆さんは、こんなふうにして生産性を上げる努力をしてほしい」。
そのくらいのことは言ってもかまわないと思う。
いや、言うべき状況に日本は立たされている。

「勇気を出せ! 私たちも頑張るから」。
首相をはじめ、参院選を終えた政治家たちに、私はそう伝えたい。

<一般社団法人起業支援ネットワークNICe 代表理事 増田紀彦>

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「つながり力で起業・新規事業!」メールマガジンVol.93
(2019.7.22配信)より抜粋して転載しました。
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