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起業したては誰もが新人。独立してから遭遇する、 始動して初めてわかる、直面するピンチや悩みの数々。 そんな先輩たちの実体験から学ぶ「起業あるある!」&ワンポイントガイド。
第30回 子育てのため北海道へ移住するも無計画。軽快な行動力と“知の散財”で、活躍の場を開拓



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「先輩経験談 あるある!ピンチ&リカバリー」

第30回 
子育てのため北海道へ移住するも無計画。
軽快な行動力と“知の散財”で、活躍の場を開拓

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起業したては誰もが新人。独立してから遭遇する、
始動して初めてわかる、直面するピンチや悩みの数々。
そんな「起業あるある!」事例から学ぶシリーズ。

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 滝上耕太郎さん 1998年独立
 北海道深川市
 
 竈屋(へっついや) 滝上研究所
 技術コンサルタント
 
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デジカメの基板設計者として、富士写真フイルムに勤務していた滝上さんは、
子どもを育てるなら東京を出ようと、退職して北海道へ移住。
現在は、画像機器のプロフェッショナルとして、
企業や大学などの技術支援や研究開発で活躍している。

仕事も暮らしも同時に一転する、移住しての起業。
さぞ、計画を練り、準備万端で臨んだかと思いきや、意外な軌跡。

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「普通は、移住後のことをちゃんと計画するでしょ?
まして子どもが生まれるって時なら、なおさら。
でも私、計画していませんでした。ピンチっていうか、マズイよね。
会社辞める時も、周りからさんざん言われたけど。

退職の挨拶で取引先を回った時に、
『これ使って北海道で仕事しろ!』と
数百万円もする基板設計CADをくれた社長がいて、
移住後2年くらい、基板設計の仕事をしていました。
今でいうテレワークですが、当時はまだADSLだから、
データ送るにも何時間も要して参りました。
まぁ、これもピンチと言うか、マズイなという感じでしょうか。

そもそも、移住先を北海道と決めただけで、
退職して引っ越したものの、どこに住むかさえ決めていませんでしたから。
最初の借住まいを拠点にして、道内をいろいろ見て歩いて、
丘に登って見下ろした風景が気に入って、今の土地に決めました。
そういう田舎には不動産業がなくて、地域の人に、
誰が地主なのか聞いて回り、地主へ会いに行って交渉したのです。

実は最初、ここで農業やろうと思って、
農地宅地として土地を取得しました。
プレゼンは得意だったので、農業計画書を書いて、
それで屋号を『竈屋(へっついや)』 としたんです。
でも後に、ソニーと仕事する時に、この屋号じゃマズイだろと、
ソニーのほうで、『滝上研究所』を付け足してくれました。

農業やるったって、経験ないですから、うまくいくわけもない。
それでも70本以上になるブルーベリーは、今、地元でも最大の収穫量ですよ。
まぁ実際は、移住してみないと、予想とは違うことはありますよね。
自宅は、自分でログハウスを建てたんです。それが楽しくて、
自宅のほか、車庫や温室や焼き肉ハウスと建てていたら、
思いのほか時間がかかって、誰かが建てたいと言うと手伝いへも行く。
その間に、貯金も減っていき、あぁ、マズイなと。
札幌のソニーが技術者を募集していたので、ちょっと働こうかなと面接へ。
そこで偶然、後に台湾ソニーの社長になる男がいて、
『あ、こいつ知っている、富士フイルムにいたやつだ、雇ったほうがいい』となって、
てっきり札幌勤務かと思ったら、東京だと。
仕方ないので毎週、北海道から東京へ通勤しましたよ。
でも、さすがに疲れて、辞めると言ったら、
『じゃ、台湾へ来い』となって、4,5年、月の半分は台湾へという二重生活に。

次にマズイなと思ったのは、リーマンショックかな。
コンサル契約が1社だけじゃマズイなと、
複数の企業と関わっていくよう意識を向けました。
でも、北海道の田舎じゃ、みんな『冬に仕事がないのは当たり前だよ』って。
それで気が楽になった、まではいかないけれど、
そうか、当たり前だと、なんか開き直れましたね。

まぁ、もともと、人と話すことは苦手ではないので、
技術的な課題を抱えている、いろんなところからお呼びがかかって、
よく“知の散財”をしてきました。それが今につながっています。

どういうことかというと、
『解決案を知っていそうな、提案してくれそうな滝上に聞こう』と、
呼び出されたり、知人に連れて行かれたり。
そこで、相手方の話を聞いて、解決につながるような、
技術や知識や私なりの考え、発想を、惜しみなく伝えるのです。
相手が、『できない、できなくて困っていること』をできるように話す。
どうやれば実現できるか、そのプロセス、もう1歩先、ですね。
もちろん、話して伝えて終わり、では、お金にならない。
でもね、私が話したことを聞いただけで実現可能レベルな案件なら、
誰かがすでにやっている、できているはず。
聞いただけ、知っただけで、できない、本気で実現したい。
じゃ、私に手伝ってくれとなり、仕事となるのです。

現在も東京のオフィスを拠点に数社の技術コンサルをしていますが、
月に一度は北海道へ帰ります。
ふたりの子どもはすでに巣立っていて、カミさんからも
『帰って来なくていいのに』と言われますけれどね(笑)」

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   あなたの挑戦を応援しマッスー☆
      ワンポイントガイド
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私は無計画が悪いことだとは思っていません。正確に言うと、目
標が決まっている物事には計画が必要であり、有効だと思うので
すが、「成り行きを楽しむ」のであれば、計画などかえって邪魔。
計画を立てない取り組みには、驚きや発見や喜びや学習といった
価値がたくさん詰まっているからです。それを滝上さんはよく知
っているのでしょう。ですから、滝上さんのお話は、いわゆる失
敗談ではありません。もっとも、彼の話に感化されて、同じよう
に慣れない土地へ出かけ、いきなり住み着くようなことをすれば、
普通の人は、さぞや後悔する羽目になるでしょう(笑)。それだけ、
滝上さんの課題解決能力が人並み外れているということです。羨
ましい限りです。このへんの話は才能の問題なので、私など真似
をしたくてもできませんが、ひとつ、誰でも彼の真似をできるポ
イントがあります。「知の散財」です。知を惜しまず提供すれば、
それに見合う、もしくは、それ以上の「財産」がやがて自分に返
ってくる……。滝上さんの豊かな知識や見識は、散財を経由して、
手に入れたものが大半なのではないかと推察します。ここは私も
真似たいと思います。(ますだ)


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「つながり力で起業・新規事業!」メールマガジンVol.155
(2021.12.13配信)より抜粋して転載しました。
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