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vol.246【増田紀彦の視点・第143回「親中」でも「反中」でもない、大人の付き合いを】



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Vol.246          2025.12.22
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起業支援ネットワークNICe https://www.nice.or.jp

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このメルマガは、NICeの活動に参加された方々、
またはNICe代表理事・増田紀彦と名刺交換をされた方々、
および全国の起業家、経営者、農林水産事業者、起業・創業希望者、
地域振興関係者、中小企業支援・創業支援機関、一次産業支援機関の方々へ送信しています。

  ┃目┃次┃ ┃ ┃ ┃ ┃ 
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【1】「増田紀彦の視点 どうする?日本経済」

 厳しさを増す経済・経営環境に立ち向かうために、
 増田代表が送る、視点・分析・メッセージ
   
 第143回「親中」でも「反中」でもない、大人の付き合いを
 
 
【2】 NICeニュース

 増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」328号
 <最近の発見> 「偶然が発生する頻度」を上げる
 ほか6本
 
 


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 「増田紀彦の視点 どうする?日本経済」

第143回
「親中」でも「反中」でもない、大人の付き合いを
  
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【2026年の日本経済は(何も起こらなければ)、緩やかに成長】

来年の日本経済はどうなるか?
などという予測めいたことを書くのは、数年前から諦めている。

新型コロナの蔓延も、ロシアのウクライナ侵攻も、
トランプ政権の相互関税政策も、私は予測できなかった。
いや、私に限らず、それらを言い当てる人などいなかった。
もちろん、頻発する自然災害を予見することも不可能。

2026年の日本の実質GDP成長率は+0.4~0.9%程度と、
緩やかながらプラスになる見通しが多い。
ただし、それは「何も起こらなければ」という前提付きの話である。

私たちは、むしろ「何か起こる」と気を引き締め、
事業を防衛するために必要な手を、打てるだけ打っておくことが肝要だ。


【日本の成長を支え続けた加工貿易モデルの翳り】

前述のように、先を予測することは困難だが、
それでも、いくつかのリスクは見当が付く。

エネルギーや資源、食料などの高価格が続き、
円安と相まって物価上昇が止まらない場合は、
実質賃金の低下が進行し、消費意欲も下降。
内需停滞の長期化を決定づけるリスクがある。

半面、円安から円高にシフトした場合は、
日本の中核産業である輸出企業の収益が減少し、
伴って設備投資や賃金上昇にダメージを与えることになる。

つまり円安が行き過ぎても、円高が行き過ぎても、
目に見えるかたちでピンチが拡大する。

この問題は、戦後一貫して日本が国策的に追求してきた、
「原料を他国から輸入し、価値を付けて他国へ輸出する」という、
加工貿易モデルが限界に近づいていることを予見させる。
コスト構造も利益構造も、ギリギリで成立しているのが実情であり、
2026年、その弱みが一気に広がらない保証はどこにもない。

ほかにもアメリカ株の下落、債権市場の揺れ、
国内的には、財政の信認低下、労働力不足の拡大などの懸念がある。

しかし何といっても、気になるのが日中関係だ。
今回はこの点について掘り下げていきたい。


【日中関係悪化。観光に頼る地方には早くも打撃】

高市首相の国会答弁を契機に、
中国が日本に対する反発を強めているのはご存じのとおり。

政治には、様々な思惑や駆け引きが存在するから、
私たちに伝わってくる情報だけで、
何が正解なのか、コメントすることは難しい。

ただ、経済面で言えば、確実に悪い影響が出ている。

中国政府の日本渡航自粛呼びかけを受け、
すでに中国人の宿泊予約キャンセルが相次いでいるが、
2月の「春節」に中国人が来日しなければ、観光業は大打撃を受ける。

物価高、熊の出没、地震の発生……。
ただでさえ厳しい観光業にとって、中国人客の減少は重大事。
とくに観光収入の割合が高い地方への影響ははかり知れない。


【調達や製造を中国に頼らない産業は、ほぼない状況】

日本の加工貿易モデルについて少し触れたが、
現在のあり方をリアルに表すと、
「中国やその他の国の原料・資材・部品などを、
中国やアジアや日本で価値を付け(加工し)、
中国や欧米などに輸出する」となる。

実際、大半の製造業が原料調達から製造加工までを中国に頼る。

例えば半導体材料を扱う電気・電子部品産業。
これらに関係する日本企業の多くが中国に工場を持っており、
資材や部品の調達もほぼ現地から。

自動車部品製造業や化学・素材(樹脂や繊維など)製造業も、
多くの部品を中国産に頼り、
それらを低コストで製造するモデルを標準化させている。

アパレルも縫製工場の大半が中国に集中。
白物家電や日用品・雑貨もコストとスピードで中国頼み。

電池、磁石、モーターなどの製造に不可欠なレアアースは、
中国が埋蔵量で世界の50%、採掘量で70%、
精錬に至っては90%以上を握っている。

医薬品も原薬の50%以上が中国からの輸入。
太陽光パネルも中国企業が世界市場の大半を抑えている、
といった具合である。


【我が国の輸入農産物の73%が中国から】

農産物や冷凍食品・加工食品の多くも中国から輸入している。
とにかくコスト競争力が強い。要するに安い。

2024年時点で日本が輸入している農産物のうち、
中国産は全体の約73%に達する。

中でも玉ネギ、長ネギ、にんじん、かぼちゃ、ごぼう、じゃがいも、
たけのこ、しいたけ、ニンニクなどの輸入元は圧倒的に中国だ。

旧知の弁当店経営者に、
中国産の食材をやめて国産に代えたらどうなるか尋ねたところ、
「コストは倍。それを回収できる価格を付けるなど無理だ」と。
つまり、中国産食材なくして経営は成り立たないということだ。

ちなみに、安価でお馴染みの「もやし」も、
原料のほとんどを中国から仕入れている。


【「中国オンリーから中国+他国へ」が理想だが……】

今回のトラブルのように、中国との「つきあい」は、
政治状況がもろに影響するし、
それゆえサプライチェーンリスクも大きい。

だから中国集中から、他国分散への転換は必要だし、
新たな輸入先や輸出先、生産地を求める企業も現れている。

Panasonicは近年、掃除機の生産を滋賀県の国内工場に戻したし、
大手自動車メーカー各社は、「インド」を主要生産拠点にする方針だ。

しかしながら、中国とまったく付き合わずに、
日本の産業や生活が成り立つと考えることには無理がある。


【小規模企業が中国との取引を断つのは困難】

とくに私たち小規模企業は、資金力や交渉力、代替調達力に限界があり、
大企業のように、中国がダメなら他で(他へ)とはいかない。

インドや他の国のサプライヤーを開拓できる人材はいるのか?
物流を再構築するリソースはあるのか? どちらも厳しい。

また、多くの小規模企業は、原料・資材・部品・工具はもちろん、
加工品や消耗品の調達まで中国に依存する割合が高く、
(自社がどの程度中国産品を使用しているか自覚がない経営者もいる)
これらの入荷が遅延・停止ともなれば在庫を維持できなくなるし、
業務に支障が生じることも十分にあり得る。
また、高い関税を掛けられれば、即、利益が圧迫されてしまう。
かと言って、コスト上昇分を取引先に転嫁するのも容易ではない。

反対に中国市場への輸出企業は、
キャンセルや値切りを受けても対抗手段がない。
仕入れ先も販売先も中国という企業なら、ダブルパンチだ。


【政府頼みではなく、私たち一人一人も関係改善に努めよう】

そういうわけで、私たち小規模企業にとって、
中国との関係悪化は、何一ついいことがない。

政治信条によって中国を批判することは結構だ。
私も中国に言いたいことはある。いろいろある。昔からある。

しかし、経済活動を政争に巻き込んではいけない。
争いが一線を超えて、国交断絶や武力衝突に至れば元も子もない。

だから私たちは、民間レベル、企業レベル、最後は個人レベルで、
中国との安定的な関係づくりを模索することが肝要だ。
「親中」でも「反中」でもなく、大人の付き合いを追求したい。

実は私、片言レベルだが、広東語が話せる。
80年代に香港映画に夢中になったことをきっかけに覚えたのだが、
「一般の日本人が中国語(広東語)を話す」というだけで、
相手の態度が見る見るうちに好意的になることを何度も経験した。

政治家や官僚、大企業にも頑張ってほしいが、
私たち一人一人も「小さな外交」に努めることは可能だろう。

日本を訪れる中国人たちと目が合ったら、微笑むだけでもいい。
そんなささやかな交流の蓄積が、関係改善の一助になると信じる。

<一般社団法人起業支援ネットワークNICe 代表理事 増田紀彦>



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       NICe NEWS 
    Web更新、勉強会、お知らせ
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《Mr.NICe》 12月14日更新 
 増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」328号
 <最近の発見> 「偶然が発生する頻度」を上げる
 /archives/55196
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《Mr.NICe》 12月7日更新 
 増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」327号
 <最近の発見> 「若きウェルテルの悩み」改め「喜び」
 /archives/55190
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《NEWS》  12月3日更新   
 NICe日記大賞2025 発表!
 11月の月間大賞
 「燈火親しむべし」(SNS限定)
 /archives/47672
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《Trial Lesson》
 一般社団法人 変形性股関節症と正しく向き合う会
 個別相談付きメディカル・アロマケア(=股関節ケア)個別体験会
 1月17日・31日
 https://henkeisei-kokansetsu.com/lp-medical-aroma-massage
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《Seminar》
 一般社団法人 防災備蓄収納プランナー協会
「防災備蓄収納2級プランナー講座」
 1月9日、11日、12日、15日、18日、20日、21日、27日、29日、
 2月1日、4日、9日、12日、20日、3月3日、18日、28日、29日、ほか
 https://bichiku-shunou.or.jp/qualification/qualification-2kyuu/schedule/
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《Seminar》
 一般社団法人 防災備蓄収納プランナー協会
「職場備蓄管理者 認定資格講座」
 1月14日WEB、3月11日WEB、ほか
 https://bichiku-shunou.or.jp/qualification/qualification-manager/


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 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃編┃集┃後┃記┃ ┃  
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明日12月23日(火)13時半から、
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NICe増田代表が登壇します。
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県内外を問わず参加は無料です。
参加お申込み&詳細はこちら
https://www.instagram.com/p/DSCHrJyASNN/

次号の「つながり力で起業・新規事業!」NICeメルマガは、
2026年1月21日頃の配信予定です。

今年も1年間、どうもありがとうございました。
寒さも本番、どうぞ心身あたたかく、ご自愛くださいませ。
穏やかで朗らかな年末年始となりますように。
(NICe広報・岡部)
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