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中小企業のための生き残り戦略講座第2弾!「企業不滅の法則」レポート



  

  

   

2012年8月24日(金)青森県八戸市で、株式会社ii主催、有限会社宮下会計事務所とNICe後援による「八戸経営セミナー 中小企業のための生き残り戦略講座第2弾!〜企業不滅の法則〜」が開催された。これは、青森県十和田市出身のNICe正会員である上久保瑠美子氏が、故郷・南部地方の中小企業を元気にしたい!との熱い思いで企画し、その趣旨に賛同してNICeが後援、増田紀彦代表理事が講師を務めた「中小企業のための生き残り戦略講座~躍進のタネは自社の中に眠っている~」(6月23日開催)の好評を受けて開催された第2弾。青森県内の中小企業経営者、新規事業担当者、起業予定者を中心に、東京都、神奈川県、大阪府からも参加者があり、合計45名が講義がのぞんだ。

■オープニング

株式会社ii 代表取締役・上久保瑠美子氏があいさつし、セミナー開催への思いを伝えた。

 
「私は旧十和田湖町生まれで、出身高校は八戸にあり、現在は東京でコンサルティングを仕事としています。これまで全国500社以上の中小企業さんを拝見させていただき、故郷の青森で仕事がしたいと思うようになり、昨年は緊急人材育成支援・就職支援基金事業をさせていただきました。そして県内の就職難、賃金の低さを目の当たりにし、何か自分にできることはないかと考え、県内の中小企業さんがもっと元気になるような活動、経済を活性化させるための取り組みがしたいと思うようになり、今年6月に同会場で経営セミナーを主催させていただきました。増田先生は全国各地を回り、たくさんの地域の成功事例、経営者さんとのパイプをお持ちですので、そういうお話をしていただければとお招きしました。今日は、前回の大好評を受けて第2弾ということで、増田先生の講演と、先生が代表理事を務めていらっしゃるNICeの小林京子理事にもお越しいただき、後半はみなさんにも頭脳交換会を体験していただきます。どうぞよろしくお願いいたします」


■セミナー
中小企業のための生き残り戦略講座「企業不滅の法則」

企業&地域の「不」「負」「普」を「富」に転化しよう!
一般社団法人起業支援ネットワークNICe 増田紀彦代表理事




「1回目の6月が好評とのこと、本当にありがとうございます。ご縁ができた八戸で今晩もみなさんとしっかり勉強していきたいと思います。1回のセミナーだけで、すべてを伝えられるわけではありませんので、2回目、3回目と回を重ねていきたいと思います。まず前回、どのような勉強をしたか簡単におさらいを……」と、ここで急に言葉を切った増田氏。最前列に前回の参加者を見つけ、声をかけた。「1回目に来た方に、何を学んだか聞いてみましょうか。いいですか? みなとやさん?」

「新しい事業を生み出すことを考えた時に、今自分がしている仕事を他の業界から見ると、実は価値があるんだということに気付く、ということを勉強しました」



よどみない答えに会場からは拍手がわき起こった。誰よりも喜々とした増田氏は言葉を続け、前回のおさらいを始めた。

「打ち合わせは何もしていません! いきなり無茶ぶりをしましたが、そのとおりです。ありがとうございます。さて、今日お集りのみなさんは、いろんな仕事をされていて、経営がうまくいっている、あるいは厳しい状況かもしれません。厳しいのなら、早急に何か手を打たなければならないでしょうし、今はうまくいっているなら、今のうちに次の手を打たなければなりません。厳しい状況の中で経営を立て直す、生き延びさせようとするのは大変です。死にかかっている枯れた植物、根っこがもう死んでいるのに、いくら水をあげてもダメなのと同じです。事業が死ぬというのは、市場が衰えているか、市場に対して提供しているものが合わなくなっている。あるいは、これまでなかったものが望まれている、ということです。不滅のビジネスはないのです。時代が変わる、市場も変わります。石器時代はとっくに終わっていますよね。事業は必ず滅びます。ですが、企業は滅びません!ということです。つまり、新しい事業を見つけていくのです。新しいことにチャレンジするのです。もちろん無鉄砲に始めるのではなく、今やっていること、大したことがないと思っていることでも、実はそれが、新事業の種になるのです、という話を、前回はたくさんの実例を交えてご紹介しました」

増田氏はそのひとつ、大阪府の製造請負会社の事例について、初参加者に質問しながら紹介した。その企業は、工場内でごくごく普通に使用しているフォークリフトに着目し、フォークリフト教習事業を起ち上げ、今や年間7000万円の売上げを誇るまでの事業に成長させた(参考:7月4日に秋田県横手市で開催された「創業・起業人材育成事業セミナー」レポート )。“今やっている業務の中に新事業の種がある”。その種をこの会社はどう見つけ、新事業として取り組み、育んできたのか。増田氏が詳細を語ると、会場内から驚きの声が上がった。

「私の話を聞いて、なるほど、と思うでしょうが、実はそれになかなか気付かないものです。今やっていることや持っている経営資源の中に、宝がある、新規事業の種があるのに、過小評価をしていたり、そんなものはビジネスにならないと思ってしまったりしているのです。見方を変えれば不滅になれるのに、それを見逃して、追い込まれている本業で苦しんでいる。苦しいからコストを下げる、チャンスロスをする。で、さらに苦しくなる。そういう企業が日本中にたくさんあります。ぜひ、自分の手元に、本業のためにやっていることの中に、いろんなチャンスの芽があるということに気付いてほしいと前回お話しました。
今日はさらに、その見つけ方を徹底的に体得してほしいと考えています。これは負けている、あってもないに等しい。そういうものが富にひっくり返せるという話をします。後半で、実際にみなさんにそういうものの見つけ方に取り組んでいただくワークを実践していただきます。前半は、話をさせていただきます。さっそく本題に……。あ、その前に、この写真、どこかわかりますか?」



プロジェクターに映し出されていたのは、セミナーのタイトルだ。増田氏が問いかけたのは、その背景にある風景画像。県内在住の参加者はよくご存じ、青森県八戸市にある種差(たねさし)海岸だ。6月のセミナー翌日に、増田氏はここを訪れ、感動したという。


「きれいだったから、だけではなく、びっくりしました。そして感動したのです。何に感動したかというと、海岸線を白浜経由で種差に着くと、三陸海岸特有の岩礁が広がっていました。なんだこれは?!と。生まれて初めて見る風景でした。下北、上北からおりてくる穏やかな砂浜の海岸線が、ここ種差で、南は岩礁へと入れ変わっていくのです。つまり“際”なのですよね。穏やかなものと烈しいものの際。それは、会社の中にもあるのです。先ほどのフォークリフト教習事業の話もそうです。製品を運ぶためのフォークリフト、そしてフォークリフトを教えること。同じフォークリフトでまったく違う世界です。が、必ずそこにはつなぎ目がある、際がある。新規事業と今の事業の間にも、必ず際があるのです。企業の中の、自分の中の、そういう際を見つけることを前回ここでお話し、その翌日に、種差海岸でその際を目の当たりにできたことに私は感動しました。ですので私は今日のセミナーのタイトルバックに、感謝を込めて、この種差海岸の写真を使おうと思ったのです」

県内在住者にはなじみの種差海岸。それが、これほどに増田氏を感動させたことに驚いた参加者も少なくない様子。だが、すでに講演の本題が始まっていたことに気付いたはずだ。講演開始からずっと増田氏の背景に映し出されていたセミナーのタイトル【企業&地域の「不」「負」「普」を「富」に転化しよう!】。それを象徴する画像が、まさに見慣れた「普通」の風景であり、そういうものの中にこそ、“新事業の種がある”のだと示していたのだから。



さっそく増田氏は、参加者が聞く一方ではなく一緒に考えさせる得意の問答スタイルで事例紹介を始めた。いずれも、不便・不要に思われる「不」、困っている、負けていると思われる「負」、どこにでも普通にある「普」に、知恵と努力を付加することで「富」に転換した事例だ。


事例1/北海道十勝 業界の「不」「負」「普」を「富」に転換 
圃場廃棄されるメークインが幸せのシンボルに


「これは何に見えますか?」と映し出したのは、不思議なハート型に見えるメークイン。数百個に1個くらい、このような規格外が出てしまうという。これまで圃場廃棄されていたが、ジャガイモをネット販売した際、段ボール箱の中にこれを1個だけ混ぜて、「北の大地から私たちのハートをお送りします」というメッセージを入れて喜ばれているという。

「グッと来ますよね。資源はこれまで圃場廃棄されていた超規格外のメークインです。かといって、これだけを1箱分集めて販売するほど量が出るわけでもない。ということは、貴重なものとも言えるわけです。活用法とストーリーという知恵により、1箱に1個だけ混ぜることにより、幸せのシンボルという価値を生み出したのです。お金にならない規格外のものも、ひっくり返せば価値になる。これはあらゆるものに言えることです。業界の常識もひっくり返せます。知恵と努力を惜しまなければ、あらゆるものが経営資源になり得るのです」

圃場廃棄のメークイン=ハート型に見える=チャンスの芽。この資源であるメークインそのものが価値を生み出すのではなく、その資源を活用して、市場が求めるベネフィットを実現する知恵と努力があってこそ、資源は初めて価値と利益を生み出すのだと増田氏は念を押した。資源とは何か、それを見つけるのはどのような視点か、価値に換える知恵と努力とはどのようなものか。次々と参加者に問いかけながら、事例を紹介していった。

 


事例2/北海道音更町 寒冷地の「不」「負」「普」を「富」に転換した
氷点下での南国フルーツ栽培


続いて紹介したのは、八戸よりも寒い北海道音更町の事例。真冬にはマイナス20度にもなる地で、なんとマンゴー栽培に成功したという。マンゴーといえば、国内では主に沖縄県と宮﨑県で生産されている熱帯フルーツだ。これら国内栽培は主に夏に収穫され、最も市場のニーズが高まるクリスマス時期には海外産に市場を取られていた。それを、氷点下になる北海道で、しかも冬場の収穫に成功したという。一体どのようにして? 北海道には温泉の源泉が多く点在するが、温泉施設をつくるとなると莫大な費用がかかるため、放置されている源泉が数多くある。つまり「不」の資源だ。源泉からパイプをひき、ビニールハウスを加温することで真冬でも40度近い室温が保てるという。また夏の冷媒には、冬の間に積もった雪に土をかぶせて保管して活用。こちらも「不」の資源だ。

「このマンゴー栽培は農家の人が考えたのではありません。逆に農家ならば、北海道で南国フルーツをつくろうなんて考えもしなかったでしょうね。北国で熱帯フルーツつくったら面白そうじゃないか? と地元の経営者たちの発想から、放置されていた温泉=これまで不要だった資源と、あり余るほどの雪=困っていた資源を生かして、氷点下でのマンゴー栽培というストーリーと価値を生み出したのです。その名も『白銀の太陽』。ちょっと先になりますが、来年のクリスマスには市場に出るでしょう。雪さえなければ……と北国の方はよく言いますが、使い途がなかった温泉、困っていた雪を、個別の資源とは考えずに、組み合わせて見事に活かしています。こうして話を聞くと、なるほどと思うでしょう。でも考えたら当たり前なのですが、それらを見つける、組み合わせる、活かすことが素晴らしいのです」

このマンゴー栽培のほかに、同じく北海道の真冬の小麦畑で一流シェフが腕を振るうスノウカフェ、厳寒の地での『北国の屋台』を事例に、それぞれの資源と知恵を解説した。




事例3/山口県周防大島 離島の「不」「負」「普」を「富」に転換した
ジャム店と伝統農業のコラボレーション

続いての事例は、瀬戸内海の周防大島という島にある手づくりジャム専門店「瀬戸内Jam’s Garden」。「日本中で地域のジャムがつくられていますが、残念なのがパッケージです。ここのジャムは、クロスをかけていて、とても可愛らしいのです。お店は瀬戸内海に面していて、その風景を眺めつつ味見をしながら買い物ができる、本当に素敵な空間です」と、懐かしそうに語った。



この店の経営者・松嶋匡史氏は名古屋市出身。新婚旅行で訪れたパリで素敵なコンフィチュール専門店(フランス語でジャムのこと)に魅せられ、奥さまの故郷・周防大島で開業を決意した。この島は山口県産のみかん生産量の80%を占める、まさにみかんの島。松嶋氏は島の特産にとことんこだわったジャムをつくろうとするが、ジャムの代表格であるマーマレード特有の苦みがみかんではでない。甘すぎるのだ。しかし、あることを思いついて苦みに成功した。「なんでしょう?」と増田氏は参加者にマイクを向けた。

「青いみかんのまま?」

一発正解に「すごいっ! あなたはみかん農家ですか?」と増田氏は感激しつつ、解説を続けた。

青いみかんということは、台風シーズン前に収穫でき、農薬散布の手間もコストも減らせ、しかも松嶋氏が安定的に買い取ってくれるのだから、農家は大喜び。みかんづくりに励んでいるという。また島のもうひとつの特産であるサツマイモも、どうにかジャム化しようと試行錯誤の末、先にパンに塗ってから焼くという逆転の発想で成功させた。さらに、世界一美味しいと言われながらも売れずに島で放置されたままの果実・フェイジョアンも製品化した。なぜ売れずに放置されていたか。どのような知恵と努力で商品化に至ったかが語られると、特に加工業関係者と思われる参加者からは「へ〜っ」と感嘆の声が上がった。みかんもサツマイモもフェイジョアンも、そのままでは資源でしかない。そこに加工という知恵を付加し、様々な努力により、価値を生み出したのだ。人口減少の離島だが、島の農家からにも慕われ、喜ばれ、お店にはわざわざジャムを買いに訪れる観光客も多いという。今や島内外から愛される人気店になっていると増田氏は賞賛した。




事例4/北海道釧路市 衰退産業の「不」「負」「普」を「富」に転換した
日本最大の炭鉱の新規事業


最後に紹介したのは、北海道の海底炭鉱会社だ。すでに石炭は燃料としての市場価値は激減しているが、この炭鉱会社の経営資源は、石炭そのものだけではないという。では何か? 

「安全管理の必要性から生まれた数々の技術です。海底炭鉱ですから、安全管理が何より重要です。何の事故が怖いかといえば、落盤や火災です。落盤しないために坑道には鉄の枠をはめて支えています。でも、地圧が強いので、定期的に入れ替えが必要です。その時に、鉄の枠を切るのですが、火花が出たら大変です。そこでこの会社では、火花が出ないバンドソーを開発しました。また、ガス漏れセンサーも重要です。ですが、普通のセンサーは電気で動きますよね。その火花も危険です。そこで、電気を使わない光干渉式センサーも導入しました。それらをこの会社は、売り物だとは思っていませんでした。あくまで安全管理のために自社で必要なものだと。さらに、超高度レスキュー技術もハウツウも持っていました。そういうほかにはない超一流の資源に今は気が付いて、海外へ技術供与や教育・サービス事業を展開しています」




「自分たちでは当たり前、これが普通だと思っていること、ダメだなと思っていることに、実は他から見たらすごいことがたくさんあるのです。こうして事例を聞いているみなさんは、なるほど、と思うでしょう。ということで、今日は実際に、資源を知恵で価値へ換える取り組みをしていただきます。テーマは、八戸へ今まで来なかった人を呼び寄せるには? です。

“頭脳交換会”というのをこれから行います。種差海岸へ行って発見があったように、八戸は面白いです。多くの人に来てほしいと思っています。みなさんも、ぜひ来てもらって、お金を落としてほしいですよね? じゃ、どうするか。ひとりで考えるのは大変です。でも、十人十色と言うように、誰か人が言ったことを聞くと、ああそうかと思うこと、思いつくことがありますよね? そういうグループワークをします」


増田氏はここで、今まで来なかった人を呼び寄せるために、の具体的なプランを披露した。数年前に弘前の地域活性化について意見を求められ、現地を訪れた時に、“最高のもの”を見つけたという。それは、弘前駅前に10年前以上も放置されたままのつぶれたボウリング場だ。その「廃墟」を見た増田氏は、「サバイバルゲーム場にしたらいい!」と思ったという。そういうマニアはプレイできる施設を熱心に探しているからだ。その廃墟で思い切りサバイバルを楽しみ、その後は仲間と温泉に入って飲み食いをして、泊まって帰る。廃墟という、地域の人からすれば見せたくない「負」が、知恵と発想で、価値になる。

「これに負けないぐらい、面白いものを考えてほしいのです。地域の資源というのは、素晴らしいものだけではなく、よそにもあるもの、当たり前のもの、ちょっと変なもの、残念なもの。そういうものを挙げて、組み合わせて、今まで来なかったような人たちを呼び込むことを考えていただきたいのです。ではここから小林理事に進行をお願いします」と述べ、小林氏に引き継いだ。


■頭脳交換会

小林京子理事
は頭脳交換会を始めるにあたり、まずテーブルごとに、名前&好きな食べ物という一風変わった自己紹介をするよう促した。筆者が参加したチームでも、「ハンバーグの○○、ホウレンソウの○○、豚骨ラーメンの○○、トリの唐揚げの○○、おにぎりの○○」など、ほんのワンセンテンスが加わるだけで、初対面でも一瞬にして和やかな雰囲気に。続いて、全員でストレッチした後、頭脳交換会のルールが説明された。

 

この頭脳交換会とは、NICeでおなじみの勉強会のひとつ。ひとりのプレゼンテーターが事業プランや課題を発表し、参加者全員が「自分だったら」という当事者意識で建設的なアイデアを出し合い、また他者の意見を聞いて新たなアイデアを重ね、頭脳と頭脳のバトルで解決策を探っていくNICe流の勉強会のこと。今回は、事業プレゼンはなく、「八戸へ今まで来なかった人を呼び寄せるには?」をテーマに、グループディスカッションを行う。柔軟な発想をより体感しやすいように、ラウンドを2回に分けるという。

まず第1ラウンドは、資源のネタ出しだ。「八戸の素晴らしいもの」「ちょっと変なもの」「普通にあるもの」「残念なもの」の4つを、できるだけ数多く挙げ、色分けの付箋に記入していく。素晴らしいけれど残念、というように、複数に合致するものは各項に挙げていくというルール。さっそく13分間の第1ラウンドがスタートした。




<第1ラウンド>

筆者が参加したAグループでの意見
(著者以外は全員が八戸市からの参加)

 

●八戸の素晴らしいもの
・三社大祭
・温泉
・朝風呂文化
・海産物
・イカ
・ホヤ
・光星学院高校
・金メダル選手
・仕掛け時計
・蕪島
・海岸
・せんべい汁
・南部弁
・イサバのカッチャ(産物を売るおばちゃんの総称)
・八食センター

●八戸のちょっと変なもの
・いかずきん(ご当地キャラクター)
・八戸キャニオン
・ぐれっと見渡せる、グレットタワー
・ほおかぶりしている人が多い(男女とも)
・イカとっくり
・八幡馬
・中心街という名のバス停
・ラーメン屋が多い
・ユートリー(新幹線駅前の物産館)
・南部弁
・イサバのカッチャ(素晴らしくもあり変なもの)
・冷たく匂う、やませ

●八戸の普通にあるもの
・温泉
・車にお風呂セットを常備
・コンビニでせんべいの耳を販売
・うみねこ
・スーパーで生イカ販売
・酔っぱらい
・朝散歩している人
・チャグチャグ馬コ
・工場の人通り
・ラーメン屋
・横町
・自衛隊
・アイスホッケー

●八戸のちょっと残念なもの
・アイスバーン
・除雪作業がヘタ
・穴空き道路
・甲子園3大会連続準優勝
・むつ湊の朝市
・夕方の渋滞
・時給
・寂しい八戸駅前
・プレイピア白浜(すでに営業していない)
・冷たく匂う、やませ(変であり残念なもの)
・八食センター(素晴らしくもあり残念なもの)


<第2ラウンドの前にネタを共有>

第2ラウンドの説明は、増田氏から。
「第1ラウンドは、ネタ出しでした。ここから、残念な廃墟+素晴らしい温泉で、サバイバルゲーム満喫ツアーのように、組み合わせてアイデアを考えてもらいます。普通+残念+当たり前を、違う見方をして、合体させて、八戸へ来たくなるサービス、企画を考えてみてください。どんな人向けに、というところまで考えてみてください。

たとえば、普通に見るものがお年寄りならば、=時間に余裕がある人=時間があって活用できる人材というように。資源を生かし、組み合わせて考えてください。後ほどグループごとに発表をしていただきます。他のグループで挙がっためぼしいネタを相乗りして生かしていただいてOKです。どんどん加えていってください」

ここで小林氏が各テーブルを回り、それぞれの4項目を挙げていった。列挙されるたびに、「あ〜、それ加えよう」「それもあった!」と会場内のあちこちで“ネタいただきっ”の笑い声が。

●八戸の素晴らしいもの/他グループのネタ
レスリング、せんべい汁、自然、魚、人の奥ゆかしさ、お祭り、新幹線の駅、
クーラーが要らない、海、種差、えんぶり、サバ、みなとや、広い空、景色、白浜、八戸ポータルミュージアム はっち(セミナー会場の建物のこと)

●八戸のちょっと変なもの/他グループのネタ
ふじつぼ、せんべい汁、パチンコ、曲がった道、有料道路、朝の酔っぱらい、ニュー朝日、
南部バス、わからない道路、いちご煮、酒飲み人口、一方通行、路線駅、山車、ふきあげの銭湯

●八戸の普通にあるもの/他グループのネタ
はっせん、飲み屋のおばちゃん、工場燃え、イサバのカッチャ、
スケート場、385(みやご)タクシー、軽自動車、寿司屋、学生、外国人、スケート人口、
つるこまんじゅう、オートテニス、プリウス、シングルマザー、スナック、八戸弁、お年寄り、みなとや

●八戸のちょっと残念なもの/他グループのネタ
八戸線、八戸港、工房、県立施設がないこと、美術館、夜の人通りが少ない、空き店舗、
人口密度が低い。アルバイトの時給、ファミレスが少ない、平均所得が低い、
冬、魚市場、交通手段、八戸ポータルミュージアム はっち

ひととおり挙がったところで、第2ラウンドのグループディスカッションがスタート!
他のグループのネタも加えて、「八戸へ来たくなるサービスや企画」を10分間話し合った。

 



<第2ラウンドの発表タイム>

 

Aチーム
・3案できました。
・除雪がヘタということから、どうせヘタなら除雪車で除雪体験できる、「ど素人でも除雪してもいいツアー」を企画する。除雪車体験してみたい大人&子ども向け。自衛隊が護衛する中、除雪車で除雪しながら走り、除雪後は温泉&せんべい汁を味わう。乗車ユニフォームは、ほうかぶりとする。
・冬はアイスバーンになり、ヘタな除雪により穴空き道路が多いことから、プレイピア白浜を使って「悪路のアイスバーン練習場」として教習所のオプションにする。運転免許は持っているけれど、冬の運転に自信がない人向けに提供する。卒業走行では海岸線を走っていただき、やはり最後は温泉でしめる。
・スポーツをやっている子どもたちに来てほしいという意見から、イサバのカッチャ(産物を売るおばちゃんの総称)の格好をユニフォームとした、全国アイスホッケー大会。レフリーもルールもすべて南部弁で試合する。やはり最後は温泉。

Bチーム
・首都圏の富裕層をターゲットに、プレイピア白浜を終の住処として提供する。八戸南高校を病院にすれば、八戸線も有効に活用できる。
・春夏秋冬を味わえるいいところなので、八戸をハワイアン化する。東北の唯一北にあるリゾートハワイにし、白浜海岸&プレイピア白浜も生かせる。

Cチーム
・イカではなくホヤをキャラクターとし、ホヤレディを誕生させる。プレイピア白浜でホヤの大食い選手権をする

Dチーム
・来てもらうにはツアーを組もうと考えた。先行投資として、中心街と八戸ポータルミュージアムはっちを中心に、海産物を無料で配る。そしてせんべい汁を食べて、温泉を楽しんでもらい、蕪島で海猫の糞を口に入れて、ウン(運)をつけて帰ってもらう。

Eチーム
・イベントで人を呼ぶ。三社大祭の山車に女子レスリングの金メダリストに乗ってもらいパレードをする。

Fチーム
・新幹線駅の八戸駅周辺の活性化を図りつつ、特産の魚介類を中心に郷土料理を展開し、イサバのカッチャ(産物を売るおばちゃんの総称)も生かして人を呼ぶ作戦を考えた。イサバのカッチャは、今の代で終わってしまいそうなので、ニートやシングルマザーにまずは弟子入りしてもらう。また、イサバのカッチャのミスコンテストをして(ミステイクのミスとして)、いかに厳しい南部弁をしゃべれるかのコンテストをすれば盛り上がるのではないか。

 

総評/増田氏
「観光客向け、地元の人向け、定住型の発想、たくさん出ましたね。素晴らしいものだけでなく、残念なもの、変わったもの、普通のものに目をつけると、逆転の発想で苦労せずにアイデアが出てきます。今日は、地域のことをテーマに考えましたが、この方法で、企業や個人に置き換えてやってみると、いいアイデアが出てきます。こういう発想をぜひ身につけてほしいと思います」


●フィナーレ

有限会社宮下会計事務所 取締役・宮下宗久氏



「うちの事務所でもセミナーを開催していますが、お客さまに聞くと、商売に関すること、売り上げアップに関することをとおっしゃいます。ただ、経営者さんが希望されるセミナーが八戸では少なく、今日はいい機会だったと思います。経営者の中には、セミナーを聞いただけで、売り上げがアップするようなものを望まれる方もいらっしゃいますが、そんなわけはないですよね。自分でちゃんと考えて行動しないと。前回のセミナーもそうでしたが、自分に問いかけ考えてみるいい機会となるセミナーだったと思いました。
今日の後半は、八戸に人を呼ぶために、残念なこと、普通なこと、を出し合い組み合わせましたが、自分の会社に置き換えて、また帰ってから自問自答してみるといいと思いました。私も一人の経営者として、考えてみたいと思います。八戸は狭いですから、いろんな機会でまた接することもあると思います。みなさん、またこれからもよろしくお願いします。これを機会に、元気な八戸をつくっていけたらと思いました。今日はどうもありがとうございました」


株式会社ii 代表取締役・上久保瑠美子氏



「今回はセミナーというカタチで。考え方をお伝えしたいと考えました。経営者の方は、いろいろな相談をしたいと思うのです。顧問契約している企業さんも多いかと思いますが、相談しにくいこと、八戸の商品を首都圏へ出す時になど、青森にはいない専門家と提携して、みなさんのお役に立つ環境づくりを計画しています。みなさんの経営に役立つサービスをご提供いたしますので、これからもよろしくお願いいたします」

取材・文、撮影/岡部 恵

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