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地域NICe勉強会

和歌山・頭脳交換会レポート




2012年12月1日(土)、和歌山市にある「みんなの学校」で、一般社団法人起業支援ネットワークNICe協力のもと「和歌山・頭脳交換会」が開催された。頭脳交換会とは、ひとりのプレゼンテーターが事業プランや課題を発表し、参加者全員が「自分だったら」という当事者意識で建設的なアイデアを出し合い、他者の意見を聞いてまた新たなアイデアを重ねていき、頭脳と頭脳のバトルで解決策を探っていくNICe流の勉強会のこと。3カ月前の9月8日に和歌山で開催された第15回NICe全国定例会in和歌山のプログラム一部として、頭脳交換会を実施している(レポートはこちらhttp://www.nice.or.jp/archives/12008)。このNICe全国定例会後、定期的に和歌山で頭脳交換会を開催したい!との声が挙がり、今回の開催に至った。記念すべき初開催には、和歌山市内を中心に、有田市、岩出市、海南市、県外からも東京都、神奈川県、大阪府から総勢32名が駆け付けた。


■頭脳交換会

テーマ:「地域活性化でOne Heart! 地元に伝わる歴史・文化を県内・県外にどのように発信するか」
プレゼンテーター:有限会社スマイル 代表取締役 仲岡志津氏


プレゼンテーター事前告知情報:介護施設等を多数経営。地元和歌山の人々に、心と体のトータルサポートをし、バリアフリー旅行を知ってもらうべく日々活動している。また、ゆるキャラ“なとちゃん”による地元文化・歴史を伝える活動もしている。11月には経営会社のひとつユニバーサルトラベル紀州が取材を受け、その模様が関西テレビにて放映された。


●プレゼンテーション



和歌山県内初のバリアフリー旅行事業を行う会社「ユニバーサルトラベル紀州」を立ち上げた仲岡氏は、その思いからプレゼンテーションを始めた。そして、ユニバーサル=すべての人が旅行できる取り組みであると同時に、他府県からも和歌山へリピーターとして来てもらいたいとも思いがあった。だが、和歌山の現状は過疎化が進み、シャッター街も増えている。プランニングを含めて再考すべく、和歌山のいいところを改めて考えてみた。

その中で手にした本が『名草戸畔(なぐさとべ)古代紀国の女王伝説』だ。この地でこんなことがあったのかと初めて知ったという仲岡氏。その伝説のステージは、自身の職場にも近い。JR和歌山駅から出ている貴志川線2駅目の竈山神社。決して多くの人が降りるような駅ではないという。だが本を読んで、『なぐさとべ』の伝説があったことを初めて知り、いわれも歴史もあることを知った。これがきっかけとなり、もっともっと和歌山へ足を運んでもらいたいと強く思うようになったと語った。

そこで仲岡氏は、伝説だけでは振り向いてもらえないと考え、ゆるキャラ“なとちゃん”を誕生させた。「これ、何?」と子どもが興味を持つ。そうすると、親が興味を持ち、そして、歴史を知ってもらえるのではないか。地元の人も知らない『なぐさとべ』をより知ってもらえるのではないか、との思いからだ。

ここで仲岡氏は、「なぐさとべを知っている人は?」と参加者に声をかけた。手を挙げたのはわずか2、3人だった。『なぐさとべ』をよく知る冨田博文氏から説明がなされた。



「『なぐさとべ』とは、古代、名草山を支配していた女王です。和歌山では、名草山の表が和歌浦側だと思っている人が多いですが、表は、中言神社側です。その名草山を支配していた女王は、神武天皇に背き、殺害され、その体は、3つに切断され、それぞれの神社に祀られたといいます。そういった伝説があるのに、地元の人が知らないので、メディアでも取り上げてもらえません。和歌山は歴史が深いということも、もっと伝えたい。我々が、和歌山人として生まれて良かったと思えるように、和歌山の良さをもっと伝えたい」

再び仲岡氏がプレゼンを続けた。
和歌山には神社や仏閣も多数あり、歴史や文化も奥が深い。たとえばパワースポットを求めてくる人、歴女にも来てもらいたい。たくさんの人に来ていただき、和歌山の活性化につなげていければと思っている。そのためのアイデアや知恵にぜひみなさんの力をお借りしたいと述べ、プレゼンを締めくくった。


●質疑応答



ファシリテーターを務めるNICe理事の小林京子氏が、ここまでのプレゼン内容をまとめて以下のように課題を示し、質疑応答タイムへ。

和歌山を活性化したい!!どうしてそう思ったか。
・昔は、観光地で栄えていたが、今は廃れている。
・外に発信していく気がない。
・自分たちが自分たちの良さを知らない。

だからこそ、なんとかしたい!!でも、どうしたらいいのかわからない。
そこで、“なとちゃん”を通じて、何かできないか。

Q:観光に絡めるのか?
仲岡氏:リピーターが減っている和歌山に、他府県から和歌山に入ってきていただきたいです。良いところを見つけて新しいことができればと思っています。

Q:“なとちゃん”を売るとしたら、何があるのか?
仲岡氏:今は、看板です。着ぐるみは高価なので検討中。紀三井寺の下に等身大を置けないかと現在お願いしているところです。

質問が出そろったところで、小林氏が全員に問いかけた。
小林氏:今の和歌山に何らかの危機感を感じている または、感じたことがある人?
小林氏:発信力がない、少ないと思ったことがある人?
小林氏:ざっくり言って、和歌山は元気がないのではと感じたことがある人?
この問いかけに対し、ほとんどの参加者が手を挙げた。


●第1テーマ
「発信力、元気を妨げている阻害要因は何だと思う?」


小林氏から話し合いのお題が告げられた。阻害要因は何か?だ。さらに要因を実体のあるもの、実体のないものに分け、グループで数分間ディスカッションを行った。その後で、「目に見える阻害要因(実体のあるもの)」「目に見えない阻害要因(実体のないもの)」が各グループから発表された。



「目に見える阻害要因(実体のあるもの)」とは?
・古い家が多い
・人がいない
・地主が多い
・お金を使わない
・大学が少ない
・平地が少ない
・発信力がない(パンダ、熊野はどこ?)
・アクセスが悪い、乗り継ぎが悪い
・活気がない
・有名な観光地へ行くのに駅と駅が離れている
・バスの本数が少ない、循環バスがない
・津波への恐怖心
・道路が狭い
・店舗が少ない
・タレントが少ない
・家賃が高い
・幹線沿いではない
・航空運賃が高い(白浜―羽田間)
・飲食店が点在している、または離れている
・街灯が少ない

「目に見えない阻害要因(実体のないもの)とは?
・歴史教育をしていない
・イメージがつかない
・のんびり
・横並び意識
・保守的、内向的
・何もしなくても食べていける
・センスがない
・遠い
・地場産業がない、果樹農業以外ない、企業がないので働く場所がない
・遊ぶところがない
・県外へ出ていく優秀な人材、若者が多い
・後継者がいない
・お酒を飲まない日本一、と言われるくらいなので飲食店が儲からない
・足を引っ張り合う


●第2テーマ
「目に見える、見えない実体をもとに、何ができるか?」


第2テーマのグループディスカッションに入る前に、NICe増田紀彦代表理事より、他地域でのアイデア例や事例が紹介された。

青森県では、呼吸ができないくらいの地吹雪を生かして、風情の残る電車に乗って情緒に浸りながら楽しむ「地吹雪体験ツアー」が実施されているという。また増田氏自身も、弘前駅前の廃墟になったボーリング場を見た時に、ここをサバイバルゲームの会場にして、ゲーム後は温泉地を楽しんでもらうアイデアを考案したと紹介した。このように、阻害要因だと思われるものも、ターゲットを変えたり絞ったりすることにより観光客を誘致するアイデアが出てくるものなのだと語った。
また、山口県周防大島にあるジャム専門店の実例も紹介した。この島はみかんの名産地だが、マーマレードの原料としては苦みが残るみかんが必要だ。だが、収穫されたみかんでは甘すぎる。そこで、収穫前の青いみかんを生かすことで課題を解決した。それだけではなく、これにより農家は農薬散布や追肥の手間も省け、台風が来る前にみかんを収穫できるためとても喜ばれている。双方の希望が合致し、ジャムの生産に至って人気商品になっているという。このように、阻害要因だと思うものも見方を変える、違う軸で考えることにより、喜ぶ人もいるのだ。
この考え方を念頭にして、第2テーマ「目に見える、見えない実体を基に、では何ができるか?」を、グループでディスカッションした。




●第2テーマの発表

「親子向けスタンプラリー」
・クイズ形式の謎解きツアーにして、最終地点を名草山にする。
・かくれ“なとちゃん”を見つけたらポイントがつくようにする。オリエンテーリングのようなもの。

「子どもの頃から歴史の教育」
・和歌山が好きになるように、子どもの頃から神社仏閣などを絵本で教え込む。
・地元のいいところを教えて、市民レベルで和歌山を好きにさせていく。

「女王さま認定優良店をつくる」
・和歌山の食材を使っていたり、接客が良かったりするお店を女王さまが認定して、家臣が『女王さま認定シール』を貼っていく。(女王さまには家臣がいる)

「“なとちゃん”を出没させる」
・今日は女王さまがお店に手伝いに来ると口コミで広める。
・いろんな路線で、ある時間になると普通の乗客として“なとちゃん”が座っているなど、神出鬼没なイメージになると、ツイッターなどで、「なとちゃんが来ている!」という情報を発信されるようになる。
・計画的に人を呼び寄せたいエリアに出没させていき、ツイッターなどを積極的に使っていく。
・“なとちゃん”の中に入る人はボランティアで。
・ゆるキャラグランプリにエントリーする。

「変身“なとちゃん”」
・いつも同じ“なとちゃん”ではなく、あることで(例えば、ある衝撃を受けたり、ある時間であったり)変貌する。
・普段は、ゆるキャラの“なとちゃん”、時には、もえキャラの“なとちゃん”
・7月10日を「“なとちゃん”の日」に。

「“なとちゃん”賞を授与」
・女王さまの雰囲気を持つ人に勝手に授与する。メディアに載れば、“なとちゃん”は注目される。

「ミス“なとちゃん”」
・ミスコンを開催する。

「防災ビデオに“なとちゃん”を出演させる」
・震災のあった釜石市では防災ビデオに子どもたちを出演させている。
津波への防災教育ビデオに子どもたちと一緒に“なとちゃん”を登場させては?画像だから高くない。

「看板を立てて導線をつくる」
・道が狭いからこそ、看板を立て、連れて行きたいところへ誘導する。
紀南へ流れる観光客に、紀北にも観光地があることをアピールする。

フリートークでの意見
・親子で楽しめる、子どもの力で学びながら楽しむ、大人が楽しむなど、相手によって使い分けては?
・仲岡氏が“なとちゃん”に似ているから、普段、“なとちゃん”ファッションで仕事をする。
・漠然としてではなく、ターゲットを絞り、ピンポイントに用途を使い分けて広めることが一番いい。




●プレゼンテーター仲岡氏から一言



「“時々なとちゃんを出没”は面白いし、“なとちゃん”賞も和歌山だけではなく、素晴らしい女性は全国にたくさんいるので、ここにこんな女性がいますよ!と発信していく意味ではいいと思います。
自分の見る目は一方方向だなと。こうして、いろんな人の意見を聞くことによって、『あぁ、そうなんだ』と全然違うものを組み合わせてもいけると思いました。皆さまからいただいたアイデアは発信していける材料として使い、頑張っていきたいと思います。和歌山の人にも、内だけではなく外にもつながり力をつくることによって、発信していけるということを知っていただきたいです。これから、いろんな人に相談しながら、継続して、“なとちゃん”のことを考えていきたいし、一緒に発信していただきたいと思います。
ゆるキャラ“なとちゃん”は、先月、登録しましたので、ぜひ、ご覧ください。本日はありがとうございまいした」


●次回予告 2013年2月16日開催 (詳細はこちら
近日開催のNICeイベントの告知に続き、和歌山頭脳交換会の次回の開催日とプレゼンテーターが発表された。
開催日は2013年2月16日(土)。テーマは、「自分たちの手で和歌山を活性させるイベントを実現させたい。そのために必要なことは何か?」。プレゼンテーターを務める佐藤寛司氏から、自己紹介と意気込みが述べられた。



「6年前に、横浜から和歌山へ来ました。それまで和歌山の印象は、海あり、山あり、魚ありと好印象でしたが、いざ、和歌山に来ると、昼間なのにシャッター街が多く愕然としました。地元の人と話すと、『和歌山人だから、和歌山県だから仕方がない』と言うばかり。こんなにいいところがあるのに……。もしかしたら、観光地が点在しているからダメなのではないか!? もっと、いいところを点や面でつなげるイベントができれば、和歌山がもっと活性化するのではないか!?
9月8日に開催された第15回NICe全国定例会in和歌山で、和歌山にある『普通のこと』『貴重なこと』『残念なこと』を挙げながら、参加者89名が和歌山を生かせる商品やサービス、強みやポイントを考え、様々なイベントが考案されました。その時に考えた案を言いっぱなしではなく、実行できるようにしたいのです。イベントを実行していくためには、さらに問題点を見出し、明確化させ、手段を考え、実行できるように、2月16日はみなさんとぜひ議論したいと思います」


●NICe増田紀彦代表理事から一言



「いい会になりました。他人の頭を活用して、自分の持っているものを他者へ提供する。お互い様である以上にもっとすごいことは、自分が発案したことや意見が、意外と人に受け入れられたり、また気づいていない自分の強みも同時に発見できたりするということです。どうしても自分の業種のことだけを考えると、できることはこれだけだと、縛られる可能性がありますが、まったく違う業種の方へ意見することは、自己の発見にも大いにつながるのです。自分の可能性を発見できる機会が、相手のためにもなり、自分のためにもなる。それがNICeの頭脳交換会です。

NICeは、このような活動を楽しく真剣にやっています。NICeはもともと経済産業省の事業ですが、平成21年で終わりました。ですが、いい活動だと思い、平成22年に一般社団法人として新たに始動し、国の支援なしで今も続けています。2012年9月のNICe全国定例会in和歌山、そして今日のような集まりを、全国各地で行っています。まだまだ小さな活動ですが、日本中でやることによって、お互い様経済が生まれ、そこからビジネスが生まれています。これからも大きな期待を持って、この活動を続けますし、次回2013年2月16日の頭脳交換会にはみなさんのお仲間を連れてぜひ参加してください。他人のために頭を使い、自分を伸ばしていきましょう。どうぞ、今後ともよろしくお願いいたします」



  

取材・文/太田美香氏 撮影/柏木健児氏 構成/岡部 恵

●NEWS! 2012年12月15日、NICe和歌山が正式に誕生しました。
2012年9月8日開催の「NICe全国定例会in和歌山」に続き、12月1日に頭脳交換会も開催した和歌山。2012年12月15日より、(社)NICeが承認した任意の活動グループ「NICe和歌山」としてスタートしました。NICe和歌山の代表は太田美香さんです。今後、NICeの全国活動推進委員会が協力し、定期的に和歌山で勉強会を開催していきます。開催予定は、NICeのサイトで随時公開しています。和歌山在住にかかわらず全国どこからでも参加歓迎ですので、どうぞふるってご参加ください。次回開催 第1回NICe和歌山・頭脳交換会 詳細はこちらhttp://www.nice.or.jp/archives/13148
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