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第16回NICe全国定例会in名古屋 第1部 基調講演レポート






2012年11月23日(・金)、「日本のおへそで”異と違”をつなぐ! つながり力で次なるステージを創出!」をテーマに、NICe主催、NPO法人ビタショコ共催、ママスタート・クラブ、N-1グランプリ実行委員会、21世紀クラブ、いい女研究所、タスクール、不定期ビジネスニュース協力により、第16回NICe全国定例会in名古屋が開催された。プログラムは、NICeの増田紀彦代表理事の基調講演、“つながり力”で夢を実現している3名のパネリストによるパネルディスカッション、参加者全員の頭脳と頭脳をかけあわせ、事業プランをブラッシュアップするNICe頭脳交換会など3部構成。参加者は地元愛知県を中心に、千葉県、東京都、神奈川県、福井県、岐阜県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、和歌山県から79名が結集した。

3部構成のプログラムのうち、第1部・NICe増田紀彦代表理事による基調講演をこちらにレポート。



■第1部 基調講演


一般社団法人起業支援ネットワークNICe 増田紀彦代表理事

テーマ

「つながり力の強化で、新たなビジネスを創造しよう!
 〜 危機の時代に屈せず、幸せに生きるために 〜



20年前に痛感した“自分で生きる力”
二度と後悔しないために貫徹を本日宣言


「大変な時代になっています。何がどう大変なのか。なかなかわかりにくいし、予測できることと、ピンチかなと思いながらも、そうは思いたくないこと、課題を先送りにすることがあると思います。が、経済の回転がとても早く難しい時代になっています。日本だけでなく世界中です。まだ大丈夫と思っていても、どーんと落ちるタイミングが、そう遠い時期ではなく訪れるかもしれません。解決策がないと人は目をそらしたくなるし、神頼みもしたくなります。しかし、どんなに世の中が厳しくなっても、打つ手はあるのだという話を今日はしたいと思います」

大変な時代だと厳しい口調で切り出した増田氏。経済について語るかと思いきや、今から20年前に中国へ単独旅行したことから語り始めた。当時の中国は今と違い、外国人の入国は厳しく制限され、許可なしに外国人が旅行することができない“未開放都市”も多かった。入国ビザを得るのも一苦労。そんな時代になぜ、中国へ向かったのか?



「私は1987年に起業しました。ちょうどバブル景気の時代です。次第にバブルは崩壊しつつありましたが、世の中はまだ浮かれていました。私の会社には当時35人の社員が居ました。あっという間に景気に乗って会社が大きくなり、いつの間にか、自分が何もしなくても勝手にお金が入ってくるようになっていました。社員たちは、『社長は何もしなくていいですから』と。もちろん社員も頑張っていましたが、それよりも、世の中の流れに乗っていれば、お金が入ってくる時代でした。当時まだ私は33歳。怖くなりました。30歳そこそこの人間が汗水たらさないで、お金が入ってくる。これはおかしい、こんなことが続くわけがないぞと。そのうち、自分が毎日生きているんだという実感がないことに思い当たったのです。

苦労して頭をひねったり、本当に額に汗したりして、やっと感謝されて、対価を得られるはずのものが、ありがとうもへったくれもなく、勝手にグルグルとお金が回る。自分で自分の人生を生きているか、わからない。完全に、経済と産業がつくり出した時代の仕組みに乗っているだけだと思い、怖くなったのです。なんとか、生きている実感を得たい。そもそも、そのために独立起業したはずなのにと。

考えて、自己の才覚と努力と勇気で生きていることを実感するには、会社にいてはダメだと思いました。幸い、私なんかいなくても社員が勝手に稼いでくれていましたし、創業以来ほとんど会社を休んだこともなかったので、しばらく会社へは行きませんと宣言し、それで思い切って中国へ行こうと決めたのです。

なぜ中国か。20年前の当時はインドや中国への個人旅行は本当に苦労すると言われていました。生きていると実感するにはこういう場所がいいと。外国人の行動規制は厳しく、言葉も習慣も通じない、法律も理解できない。入国すれば生きているか死んでいるかも確認もできない。そういうところへ行って日々を重ね、帰って来たら、きっと生きていると実感できるだろうと考えたからです。旅行代理店の手も借りずに自分で手続きし、香港経由の電車で中国へ入国しました。生き抜く実感を得ようと。ですが、入国初日からすぐ日本へ帰りたくなりました」


             ●●●

しかし、帰りたくとも駅前には何万人もの人々がたむろし、4日間並んでも帰りの切符が購入できる保証はない。腹を固めた増田氏は、結局1カ月ほど滞在することになるのだが、その間、中国では生きることがこんなに大変なのかという出来事、事件を、まさに身をもって体験。その一部を披露した。

当時の中国は改革開放路線が始まり、都市部での生存競争は厳しく、一方地方はインフラがなく、いつ事故で死ぬかわからない状況を身をもって体験したという。断崖絶壁の未舗装の道を走るバスの恐怖。転落したまま救助もなく放置されたままの乗客。都市の生存競争も熾烈だ。大人だけではない、子どもでさえもだ。強盗団と闘った話の下りでは、会場内が静まり返った。
そして、都市の信号機のエピソードを次のように語った。

 

       
「何万人もの人が仕事を求めてたむろす駅前広場の目の前は、何車線もの大きな車道が交差していました。交差点には信号機があるのですが、カバーがかかっていて、制御されていませんでした。その交差点に、縦横から好き勝手にもの凄いスピードで車が大量に入って来るのです。ですが、その猛スピードの車の合間を縫って、人々が横断するのです。車はおかまいなしのスピードです。なのに、地元の老若男女は全員が渡れるのです。若者はそれなりに、すごいスピードで走り渡り、年寄りはゆっくりと。どうやって渡るのかというと、自分の筋力と、車の音や目で車との距離を測って少しずつ渡るのです。どうでしょうか、私たちにそんなことできますか? 車が次々と猛スピードで走ってくる、まさに高速道を横切るようなものです。

当然、私は立ちすくみました。ショックでした。私たちは信号機の赤・青・黄に従って生きています。信号を見ていれば怖くなく渡れます。でも、それに従って生きているだけで、自分の判断や能力で渡っていない、生きていないのです。情けなくなりました。渡らないとホテルへは行けないので、2時間くらい躊躇した後、死ぬ気で渡りました。

何が言いたいのかというと、この時に思ったことです。
20年前、豊かだ豊かだと言っていた日本は、仕組みは完成されていたかもしれませんが、ひとり一人の人間の力は本当に弱まっているなと思い知ったのです。これはいずれ日本は中国に逆転される!と思いました。我ながらよくぞ生きて帰って来たと思います。その後も、軍隊に拉致されたり、金品を奪われたり、山奥で崖から落ちたり。なぜ生きて帰って来たかというと、死んでも中国では死にたくない(笑)と思ったからです。この国の中での命の軽さが、嫌でもわかりました。ここで死んだら悔しいと。10億人の中に迷い込んだ日本人がひとり、死んでもどうってことはないのです。せっかく死ぬなら、少しは惜しまれたい。そして何より、こんなに凄い国があり人々がいることを日本のみんなに伝えたいと思ったからです。

帰って来て、伝えました。中国の生き抜く力は凄いそと。私たち日本は抜かれるぞと。ですが、誰ひとり信じなかった。本当に誰ひとりです。バカにされまくり、相手にされませんでした。『中国でひどい目にあって、増田は頭がおかしくなったんじゃないか』と。そのうち、だんだんと自分も言うのが嫌になって、もういいやと、投げました」

 

「どうでしょうか? 現実は……。今や中国の顔色を見ないとやっていけないような時代ではないですか? 仮に私が言ったことを誰かが信用したからと言って、世の中が変わったとはもちろん思いません。しかし、自分の生き方として、自分が信じたことを途中で言うのを止めたことを後悔しているのです。もうそんな後悔をしなくない。ですから今日も、先の話をしようと思います。『そんな日本は大変になるわけがない』と思われるかもしれません。ですが、私は私なりに、思うことを引っ込めずに、一生懸命訴えて、その中の小さな小さなその一石でも、何か人の役に立つことがあるのなら、信じることを臆せず堂々と言おうと。何と言われようがそのつもりで、今日はここに来ました。ここまでは自分の人生の話ですが、後悔しないように、話をさせていただこうと思います」

              ●●●

誰ひとり信じなくても、バカにされても、自分が信じることを臆せず堂々と言う覚悟でこの日を迎えたという増田氏。参加者の中には気付いた人も多いだろう。なぜ、ここまで強く思いを語るのか。11月23日は増田氏の誕生日。この世に命を受けた日に語る、その命の使い道。同時にこのプロローグは、重要なキーワードとして講演の後半へとつながっていく。



「日本の国家財政はいずれ破綻する」
このキャンペーンの意図とは? 奥にある深刻な問題とは?


「マスコミや政治家がよくこういいますよね? 『国民ひとり当りの借金・国債残高を子や孫の代に背負わせていけない。だから増税が必要なのだ』と。これはおかしいという話をはじめにします。私たちは、国からお金を借りていますか? 借りていません。国債というのは、私たち国民が国に貸しているのです。個人で国債を買ったり、預けている機関投資家が買ったり。では、どうしてマスコミも政権も逆の言い方をするのか。遠慮しないで言いますが、言わせているのは財務省です。

ではなぜ、そこまで言うのか。それは税金を上げたいからです。
なぜ税金を上げたいか? 確かに財政には不安はある。税金がなければ国は回りませんから。
まず税金は、どうやったら増えるのか? 会社は利益が出れば法人税を、個人も所得税を、ほかにも相続税、ガソリン税、消費税などがあります。国の基本的な税収を公共に付託して、道路建設や介護に使っていただく、それが税金です。原則としては、収入が上がれば会社も個人も収める額が増えます。自分たちの分け前を納め、公共に使ってもらう仕組みです。ですが、法人税を収めている企業は全体の約25%、残りの約75%は赤字です。つまり民間企業に任せていたら税金は取れないと国は考えているのです。だから消費税を上げたいのです」

ここで増田氏は、1996年から16年間の平均給与と輸出額のグラフを示した。この日の朝のニュースでは、平均給与が409万円と報じており、このペースでいけば2013年には平均400万円を切るだろうと述べた。
だが、不思議なことに、輸出額が伸びている年度も平均給料は減っている。これは、日本の基幹産業である輸出型企業が給料を抑え、正社員を減らし、請負いや派遣にシフトしたことで、利益を出し、生き延びて来たことを示しているという。電子部品や自動車産業など、国の保護も手厚い。これら大企業は法人税を収めている25%だ。中小零細が黒字決済しても、国のレベルからすれば納付される税額は当然小さい。大金を納税し、系列にも影響力を持つ大企業を国が応援するのもわからなくもない。だが、本当に危機にさらされているのは国民経済と国民生活の将来だと増田氏は語った。



          
円高・デフレ・増税、そしてTPP問題
どうなる? 内憂外患の日本経済


おりしも1カ月後には衆議院選挙が控えている。財務省と緊縮路線を組む民主党政権の続行か、政権交代か、増田氏は全政党名の覚え方を挙げて話を続けた。

「もう何が何党で誰が党首なのか、毎日入れ替わってすごいですね。テレビでは景気対策の話を一生懸命していて、先日はTPPやRCEPを話題にしていました。ですが、どの政治家も、円高とデフレ問題とは切り離して話していました。

TPPに参加するとどうなるか。アメリカ以外は小国です。当然日本が買い手になる。TPPって農業の話に聞こえますよね? でもアメリカはさほど農業には興味ありません。もうすでに十二分に日本は輸入していますから。
ではなぜ、日本を参加させたいか。2011年9月のNICe全国定例会in名古屋で、私は話しましたが、TPPのアメリカの思惑、それは共済や簡保といった未開放の保険市場、そして投資市場を日本に開けさせたいのです。生保、損保、銀行はすでに外資に開放していますが、簡易保険と共済は規制で外資が入れません。ここをアメリカは狙っているのだと。この点を政治家は誰も口にしません。

経済の話を政治家はしませんよね。経済はひとつのテーマ、外交はひとつのテーマと、ジャンルごとに分かれています。ですが、経済はつながっています。韓国が97年に通貨危機に陥ったことを覚えていますよね? ウォン安が進み、このままだと韓国が倒産するとIMFが乗り出しました。IMFとは国際通貨基金という名称ですが、実態はドル基金です。このIMFが高金利で韓国に貸し付けをしました。と同時に融資条件にしたのが規制緩和です。その結果、サムスンやヒュンダイ、LGなどの企業も銀行も、今や外資系です。あの時に全部資本が入り、今やアメリカ資本中心の企業ばかりです。

もうひとつ問題なのは、『TPPは開国だ』と、前の菅総理は言っていましたが、逆です。TPPは特定の国々だけで特定のブロック経済をつくるというものです。かつて第2次世界大戦後に、特定の国々ではなく世界中で、自由に貿易しようとGATTやWTOをつくり、自由貿易を進めてきました。特定のブロック経済は争いの火種になりますから。なのにまたしても、全員でルールを決めるのは面倒臭いから、僕らの中だけで決めちゃおうぜという傾向が強まっています。TPPもそう。そうなれば、そこに参加しない国々は、『仲間に入れてくれないならいいよ、別の地域ブロックをつくるから』となります。また危ない世の中が来てしまうかもしれません」

 


増田氏はTPPやRCEPに参加した場合の日本経済の悪循環について解説した。
円高・デフレが是正されないままTPPやRCEPに参加すれば、関税撤廃により低価格品が国内に流通する。そうなると国内製品も低価格競争に対当しようと追従し、デフレがさらに拡大する。デフレは企業収益を悪化させ、人件費や業者削減を押し進め、低所得者層がさらに増加し、消費は冷え込み、ますますデフレギャップが拡大する。もう一方で、デフレが進むと円の実質金利の高騰により円買いを拡大させ、円高がさらに進行する。となれば、輸出関連企業も投資家も海外へ逃避する。これもまた雇用減少と国内景気の悪化を押し進め、悪循環を引き起こす。そしてデフレギャップが拡大する。この2重の悪循環にさらに増税が加われば、ますます深刻な悪循環に陥ると述べた。


外的要因だけではない、もうひとつの危機。
自らの力で、共同体で、未来を描く力はあるか?


円高・デフレ対策も増税もTPPやRCEPも、来月の選挙結果次第。いずれにしても政府の方針は未知数だ。現政権の緊縮路線でも、たとえ政権が交代して何かしらの対策を講じたとしても、その効果持続性の見通しは暗い。増田氏は、このような外的要因だけでなく、さらに別の危機が私たちにはあるのだという。それは何か。

これだけ不景気が続くと、経営者は経営維持のためにコストを抑え、国民も収入が増えないので消費を控える。個々がやることは正しく間違ってはいないが、それらが合成されると、全体として不利益をもたらすという矛盾が起きてしまうのだ。“合成の誤謬”(ごうせいのごびゅう)の結果、誰もが苦しくなってしまう。今まさにそうなっている!

さらに増田氏は、日本人の独立心と共同体意識の希薄さも危機的な状況だと警告した。
戦後日本は加工貿易を国是とし、効率化のために国土を色分けし、ゾーニングにより都市部は都市部、地方は地方と、地域も職場も同質社会を造り上げてしまった。便利なサービス、製品、安心なインフラの中で生きていけるため、頼ることを前提に生きてきた。さらに、そんな社会の中での自分の役割を自覚しないまま、人との関わりも希薄な時代になってしまった。苦しくても、自分たちで自分たちの問題を解決できない人間が増え、さらに友達にも相談できない人が増えている。しかし、より苦しくなってくると、だんだんと誰かに頼りたくなる。

頼ることを前提に生きていたが、今や、会社も、政府も、政治家も頼れないことを思い知っている。地震が起き、原発が壊れた。「国が国民を助けないのだと初めてわかった」と、福島の友人の言葉を紹介した増田氏。誰にも頼れない、政府にも頼れない。年収は下がり続ける。生活は切り詰められる。展望のない日々。そうなると、どうなるのか……。




「やってもやっても働けない、メシが喰えない。ストレスがたまって、フラストレーションが貯まっていきます。今選挙を前に、テレビで罵倒し合う政治家を観ていると、本当に失望してしまいますよね。景気が悪い、政治にも期待できない、展望が持てない。そうなると必ず強いリーダーが現れます。歴史がそうでした。ドイツは第1次敗戦後、多額の賠償金を抱え、政府も財政出動できず公共工事もできないままでした。国民に仕事がない。生活が苦しい。俺たちの仕事をとっているのは外国人、ジプシー民族やユダヤ人だという気持ちが芽生えていきます。そういう背景の中、歓喜の声を持って迎えられたのがヒトラー率いるナチス党です。支持したのは国民です。選挙をする度にナチス党の議席が増えて、独裁できるまでになりました。後に、みんなが気が付いた時には遅かったのです……」


「結局、自分で何とかしようとしないからです!」と増田氏は語気を強めた。

「ヒーローに助けてもらおうとするから、強硬なことを言う人を選んで委ねてしまうのです。誰かを選ぶ前に、自分で、自分たちで、何かできないものでしょうか? 仕事してメシを喰っているのは自分たちでしょう? まだまだやっていないのではないでしょうか。自分でやる努力を放棄して、我が身を誰かに委ねて、そさで後悔する。同じことが今後、日本では起きないと思っていますか? 日本に独裁者は現れないでしょうか?

私はぎりぎりのところに今来ていると思います。ここまで言わないとならないタイミングに来ていると思います。政治ができることには限界があります。あくまでも政治は経済活動をバックアップする役割しか担えません。経済は確かに厳しいですが、外的な状況だけではなく、私たちに頑張る力があるのか? その気概があるのかということです。私たち民間人自身がしっかりしなければダメですよね? 依存していませんか? あの信号機のように」

現状の厳しい不景気と経営環境をどう打開するか。猛スピードで車が行き交う交差点に、頼れる信号機はない。誰かに身を委ねるようなことをせず、自分の筋力と五感で、この“車道”を渡るためには? 


今と未来に「自分の手」で希望をもたらす。
そのために、つながり力で新規事業を!


「そこで、大事なことです。ぶっちゃけ、ビジネスを起こしましょうよ。もっと魅力的で、もっと人が喜ぶような商売をしましょう。デフレと言っても何も買わないわけではありません。みなさん、今日もお金を使って参加しているし、スマホも買っているでしょう? 私もルンバを買っちゃいましたし(笑)。売れるものは売れるのです」(しばしルンバの楽しさを語る増田氏)



「面白いもの、人の心をつかむものは売れるのです。売れなくなっているものは、なくてもいいもの。耳が痛いでしょう? 自分もです。ですが時代は待ったなしです。近い将来、税金も上がるでしょう。いろんな税金が上がっていく中で、消費マインドも冷えるでしょう。やっぱりお金使うのは止めようとなります。しかし世の中は回っていきます。その中で選択されるような仕事をしないといけません。なんとか、自分で、自分たちの仕事で頑張って、お客さんに喜んでもらえてメシが喰える、そういう流れに変えていかないとなりません」


外的要因や政権や国策に一喜一憂せず、限られた経営資源しかない小規模経営者や個人事業主が、世の中に選択されるようなビジネスを起こすにはどうするか? 前述した様々な危機の中のひとつ、希薄になった共同体の価値を、もう一度思い出してほしいと増田氏は続けた。

「ひとりでやろうとしたら、気持ちはあっても時間も種類も資源もない、小さな物事しかできません。自分ひとりではなく、仲間と事業を起こすのです。自分と異なる能力を持っている人と組んでいくことが大事なのです。下請け系ではなく、直接マーケットとやりとりできるような事業体をつくっていく。逆に言えば、これをやっておけば、ビビらない。自分の力で世の中のニーズに応える、あるいは世の中の課題を解決できるというものを持っていると自信をもてれば、親会社や大企業にビビることなく、あるいは政治家の茶番劇にもイライラしないで済みます。自分で生きていくんだ、仲間とお客さんを喜ばせる世界をつくっていこうと。ただし、表面的に組むだけではいけません。そして、相手先にありき、です」


自己の強みを自覚し、信じ、自信を持つには
異なる業種・地域・世代の他者の目が不可欠


「人間には根源的に生まれて神様から授かって来たその人ならではの才能が必ずあります。そこを組み合わせないとダメです。ちょっと知っている程度の知識では事業は続きません。反動や苦難や競合があっても頑張れるには、自分の中に根ざしている特徴を発揮すること、その強みを見つけ出すことが大事です。

自分の強みをどう知るか? 薄々わかっているものの、でもやっていないと、それが強みだとはなかなか信じられないものです。どうしても今ちょっとメシが喰えることのほうがいいと思ってしまいがちです。本当は自信があるけれど、これまでの経験のほうがいいだろうとか、自信は今だけの気の迷いかもしれないとか、自分を信じないのです。それが間違いないと確信できて、その技術を磨いていければいいはずなのに、です。

信じて伸ばす、これは自分ひとりでは難しいことです。誰かに言われると、人間はその気になります。内心そう思っていたけれどやっぱり!と。あなたの何々はいいよね、と言われたら自信につながります。その強みを磨いていけばいい。そして、言ってもらうだけでなく、人に対して、能力があることを言ってあげること。傍目八目、違う目線で見て、ここが素晴らしいと太鼓判を押し合えるような人間関係を、日頃から持っておかないと急に事業なんてできませんよね。他人と財布を共にする運命共同体なのに、急に知り合って、表面的に電卓と見積もりで組んだって、そんなものは長続きしません。崩壊します。金の切れ目が縁の切れ目です。でも、縁が先だと円が切れても縁は続きます」




消費は冷えても死滅はしない、新しい価値に買い手がつく
仲間と互いの強みを伸ばし合い、発揮場所を広げる心構えを


「今日ここにはいろんな方が参加しています。このあと頭脳交換会もありますし、懇親会でもチャンスがあります。目の前にいる人をどんどん知って、その人の強みは何か、自分と何がマッチするか、この人の役に立てそうなことは何か、というような縁を太く強くしていく機会にしてください。仲間をつくるというのは、仲良くするだけとか、名刺交換して『何かありましたらよろしく』ではありません。懇親会でそんな挨拶しないでくださいね。その何かを起こすのは自分らです。自分の強みを見つけ、それを信じ、伸ばす。仲間の強みを見つけ、それを信じ、伸ばす。互いに必要とされる喜びを実感しながら、自分たちの力で新しい事業を起こして、自らの未来を仲間と切り拓くことです。

NICeのNは、NationalのNです。全国でそんないい仲間を見つけ合えてつながったら素晴らしいじゃないですか。今の時代、新幹線も高速道路もインターネットもあります。名古屋の中にいないと組めない、なんてことはありません。地域も業種も世代も、自分が持っていないものを持っている人と出会い、仲良くなって、市場から必要とされるような商品やサービスをつくっていくことができます。自分と自分の仲間で、直接、世の中に働きかけて、喜ばれてお金をもらう。こういう生き方を決断していけば、この後の世の中が怖くなくなるはずです。

今のビジネスで十分という方もいるでしょう。しかし、上がればいつか下がります。不景気が続けば、ますます消費者は財布のヒモを締めます。何に対して締めるかというと、今までの支出項目に対してです。ですが、消費マインドは冷えても、何も買わないわけではありません。今までにないもの、素晴らしいものに対しては消費をします、もっといいのがあるよとなれば、必ず人はそちらに惹かれます。そんな事例をひとつご紹介します」


つながり力で創造した新たなビジネス事例 
カツラのネット通販を成功させたWebデザイナー


増田氏が事例紹介したのは、福岡県の「かつらWith」http://www.katurawith.com/
代表の宮崎弥生氏はもともとWebデザイナーだった。その宮崎氏がカツラ事業へ進出したきっかけは、異業種交流の雑談の中で、男性用カツラが高額なことに驚いたことが始まりだという。一般的な男性用カツラの大手メーカーは、各地に専用のサロンを設け、そこで採寸してオーダーを受ける仕組みだ。その分、サロンの維持費、人件費、集客のための広告宣伝費も高コスト。さらに時間経過とともに、地毛との調整が必要となるため、アフターメンテナンスも含めると、カツラユーザーの出費は相当の高額に及ぶ。『頭にベンツ1台分』とも言われる金額を知った宮崎氏は、もっと低価格の男性用カツラができないか?と考えた。

また別の異業種交流会で、宮崎氏はアジアでの製造に詳しい人物と出会う。これでカツラはつくれたとしても、大手のようにサロンも店舗もない。そこで宮﨑氏が着目したのは、自分の強みであるWebだ。Webも使える理髪店と連携したらどうだろう? 採寸もでき、アフター調整もできる! 得意のネットで情報収集したところ、Webも使える理髪店が多い地域を見つけ出す。こうして、最初の展開拠点に決めたのが、ここ名古屋だという。

 

「宮崎さんは名古屋でネットをしている理髪店を回って提携しました。頭のサイズ採寸は理髪店で行ない、そのデータを福岡の宮崎さんへ送り、できたカツラを理髪店に送るしくみです。地毛との調整のためにお客さんは定期的に来店するので、理髪店さんにとっても末永い固定客を得られるメリットがあります。
そもそもなぜWebデザイナーの宮﨑さんは、新規事業を始めたか。それは、業界の危機感を感じていたからです。下請けに甘んじているといずれ苦しくなる時代が来るだろうと。自分から打って出ないといけないと、福岡から各地の異業種の集まりに積極的に参加して、懇親会の雑談の中からヒントを得たのです。今や男性用だけでなく女性用カツラでも市場をつかんでいます。ひとりのWebデザイナーが、異なる業種、異なる地域と組んで市場をつかんだ。それぞれの得意技を組み合わせて、ビッグビジネスをつかんだわけです。だから、みなさんにも、できます!!

“できます!!”の一言に、この日一番の力を込め話を続けた。


つながり力を発揮する、
その始まりは、“相手先にありき”の精神


 

「NICeはつながり力と言い続けています。つながるというのは、相手の力を知って、相手を応援することから、です。『僕が僕が、私が私が』は誰だって嫌ですよね。くれくれではなく、相手を応援することから感謝の輪とつながりは広がっていきます。異なる業種の人のために応援する、そうすると自分が役立てることに気付きます。自分にはもっといろんな可能性があるのだということもわかってきます。相手先にありき、でやっていく。そうして互いの知恵とか財産とかを重ねていけば、新しい事業を生み出すことができます。ぜひ、つながり力を強化して、新しい事業を起こし、そして互いが仲間として必要とされる喜びを、お前と組んですごく興奮するぜ、最高に楽しいよと。ひとりで閉じこもるのではなく、一緒に頑張って、やったねーーー!ってうまくいったね!って、1回しかない人生の中で味わえるのが人間として一番嬉しいことではないですか? それでごはんが食べられたらいいじゃないですか。経済とは、そんなに冷たいものではない。人間が生きるということですから。



喜びを持って生きていかないと! 楽しく、感動的に仕事しましょうよ。そのためには自分だけではないです。相手のためにやって、感謝され、され返して、互いを理解してつながって感動して抱き合って、やったーーというような、そういう喜びを日本中に広めましょう。東海から始める小さな輪も、いつか、危ないところだったが日本は良くなったというようになっていくと私は信じています。今日の話を話として終わらせないで、ぜひ、つながっていく機会にしていただければと思います」


「第16回 NICe全国定例会 in 名古屋」全編レポートはこちら
http://www.nice.or.jp/archives/13870



UST配信/清田常治氏
取材・文、撮影/岡部 恵

■次回の第17回NICe全国定例会は、2013年3月2日(土)開催。
舞台は、千葉県千葉市です! 詳細・参加申込みはこちら

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