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どうする?日本経済

規制緩和に屈しない地方中小企業のあり方




【地域の医療と雇用を支える秋田県の池田薬局】

秋田県の由利本荘市は、歴史と自然に恵まれた美しい町だ。
ご縁あって、この町の池田薬局から長いこと薬を取り寄せている。
先日、同地で仕事があったため、直接店舗を訪ねて薬を出してもらった。
「東京から来た」という私に、スタッフの方々は親切だった。

池田薬局は由利本荘市を中心に、秋田県内20カ所に店舗を展開する、
地方としては大手の薬局である。大きいだけではない。
創業が明治38年というから、いわゆる「百年企業」だ。

実は由利本荘市は全国的に見ても雇用状況が厳しい地域であり、
それゆえ池田薬局には、雇用拠点として大きな期待が寄せられている。
そもそも私が仕事で同地を訪ねたのも、
由利本荘市における雇用創出のお手伝いをするためだった。


【政府は、楽天に逆らえない?】

話は地方から中央に飛ぶ。産業競争力会議の話である。
以下は2013年6月6日付けの毎日新聞の記事の抜粋だ。

『政府の産業競争力会議で民間議員を務める楽天の三木谷浩史会長兼社長が、
一般用医薬品(市販薬)のインターネット販売解禁を巡る議論が進まないこと
から、一時、議員を辞任する意向を漏らしていたことが分かった。(中略) 
全面解禁の方向になったのを受け、三木谷氏は「英断に感謝します」と首相に
メール。首相も「また一緒に仕事をしましょう」と返信したという。首相周辺
は「これで三木谷氏が辞めることはない」と胸をなで下ろしている』

にわかには信じがたい内容だ。
これが事実なら、政府は楽天のいいようにされていることになる。


【薬品ネット販売解禁は、さらなるデフレと雇用悪化を生む】

もともと薬品のネット販売には安全性の問題があるが、
さらにそれが成長戦略に有効な施策なのか、はなはだ疑問である。

ネットショップと既存ドラッグストアとの間で繰り広げられる販売合戦は、
市販薬の小売価格の引き下げをもたらす。価格を下げれば、
大きな固定費(人件費と店舗費)を抱えるドラッグストアは、
当然、人件費抑制に走らざるをえなくなる。
結果、またぞろデフレギャップ拡大と雇用悪化を促進してしまう……。

こういうストーリーを予測するのは、果たして私だけだろうか。


【規制緩和に負けない、地域ニーズに根付いた事業を!】

話はまた由利本荘市に戻る。
同地での仕事を終えた日、仕事関係の方々が私を昼食に誘ってくれた。
「農産物直売所と合わせて営業している、いいレストランがある」と。

そのお店の客の多さにも驚いたが、それにも増して、
販売スタッフや調理師など、たくさんの人が働く様子が印象的だった。

聞けば何と! この店舗を経営しているのは池田薬局だという。
私は帰京するなり同社のサイトにアクセスした。
そして「事業内容」の項目を見て、ハタと膝を打った。

・ヘルスケア事業
・グリーン&アグリ事業
・介護事業
・農産物の生産・販売、食品販売事業

地方の都市だから「できること」と「すべきこと」が整然と並んでいる。

政府は薬品ネット販売解禁に続き、
今後も地方の中小企業を追い込む規制緩和策を打ち出す可能性が高い。

だが、生き残る手はある。ひとつの事業に固執せず、
その地域の産業と生活にコミットする事業網を築き上げればいいのだ。

池田薬局のサイトの「社長挨拶」は、こんな言葉で締めくくられていた。

『困った時に目に浮かぶ会社。そして実際に役に立てる会社。
「いぶし銀のような企業」、英語で「スモークシルバー・カンパニー」って
 言うかどうか分かりませんが、そんな会社になれたらいいな、と思います。』

<一般社団法人起業支援ネットワークNICe 代表理事 増田紀彦>


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「つながり力で起業・新規事業!」 メールマガジンVol.7(2013.0621配信)
より抜粋して転載しました。
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