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どうする?日本経済

投票率低下と新自由主義




【人々が、投票所に行かなくなった理由】

このコラムが皆さんの目にとまる頃には、新たな政治地図が完成している。
参議院の議席の割り振りは、大方、マスコミの予測どおりだと思う。
むしろ私が気になっているのは、投票率の行方だ。
(これを書いているのは、投票日の3日前)

恐らく、記録に残る低さではないかと予想する。良くて50%台中盤か。
天候次第では、50%を切る可能性も否定できない。

ではなぜ、人は投票所に行かないのか。政治に関心がないからだ。
ならばなぜ、人は政治に関心がなくなったのだろう。

「現状に満足しているから」と考える人もいるだろうし、
「今後に期待していないから」と考える人もいるだろう。
どちらも一理あるし、あるいは、両方の合わせ技かもしれない。
このへんを突き詰めると、社会学の領域になりそうで、私の手には負えない。
だが、経済の面からも低投票率の要因を探ることはできる。

投票率の低下には、新自由主義の台頭が間違いなく一役買っている。


【政治を嫌う人々が、政治家を動かす】

ウィキペディアによれば、新自由主義とは、
『社会的市場経済に対して個人の自由や市場原理を再評価し、
政府による個人や市場への介入は最低限とすべきと提唱する』ものとある。

ご存じのとおり、現代の資本主義は規制を嫌い、スピードを好む。
ひとつの事柄に対して、「それはなぜ」だの「どうなるのか」だの、
「いい」だの「悪い」だのと、延々話し合いを続ける政治という手法は、
ある意味、グローバル資本主義の最大の敵と言えなくもない。

ところが面白いもので、
この政治を嫌う人々こそが、政治家にとって最も侮れない存在になっている。
なにしろ利潤を稼ぎ出すのは、どの国においても、この人たちだからだ。
前回のコラムで書いた、
「政権が楽天の三木谷氏に逆らえない」現象などは、まさにその典型だろう。

ゆえに政府(政権)は、稼ぎ手の意向を組み、
諸々の規制(法)を撤廃ないしは緩和することで、
「面倒くさい話し合い」を経由せずに、
資本が迅速に市場を獲得できるよう、ルールを変更していくわけである。


【政治不要なら、投票率は下がって当たり前】

かつて資本は、自分たちの味方をしてくれる政治家を選出すべく、
有形無形のコストを投じて、人々を投票所へと駆り立てた。
当然、「そうはさせじ」という勢力も、必死に投票所へ人を送り込んだ。
だから参院選では、長らく60~70%台の投票率が記録されてきた。

だが、新自由主義は、
政治を排して市場の創出・獲得・拡大を目指す考え方だから、
資本は手間隙かけて、「いい政治家」を生み出す必要がない。
そうなると、対抗側も、別の「いい政治家」を立てる動機を失ってしまう。
かくして、選挙の投票率は低下の一途をたどる……。


【価値とは、「面倒くささ」を乗り越えてこそのもの】

しかし、歴史をひもとくまでもないことだが、人類の進歩や発展は、
何より、面倒くさいコミュニケーションの産物だったはずだ。
政治とは、ことの是非を調整するためのコミュニケーションに他ならない。
であれば、慎重さや入念さが、手っ取り早さに劣ることなどもない。
むしろ、面倒くささを乗り越えた価値こそが、新時代の規範となる。

結論。
政治に無関心とは、その実、コミュニケーションに無関心ということだ。

チェックや合意を軽んじる新自由主義に将来性がないよう、
コミュニケーションに無関心な人が指揮する事業の将来性も、危険である。

7月21日、あなたは、投票所へ出かけただろうか?

<一般社団法人起業支援ネットワークNICe 代表理事 増田紀彦>

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「つながり力で起業・新規事業!」 メールマガジンVol.8(2013.0721配信)
より抜粋して転載しました。
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