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代表から

増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」65「友情」



インドかパキスタン、あるいはバングラデシュかスリランカか……。
いずれかからの留学生と思われる若者2人組と、バスの中で隣り合った。
とにかくこの2人は仲良しだ。
肩を叩き合い、のけぞるように談笑する屈託なさは、まことに微笑ましい。

そんな折り、ひとりの若者のスマホにメールが届いた。
長い間、彼は黙ってその画面を眺めていた。
ついつい好奇心で、私も画面を覗き込んでみた。私も屈託がない(笑)。

超でかい文字の日本語だったから全文読めた。
差出人は彼のアルバイト先の飲食店責任者で、要するに、
「翌月から時給を下げる。イヤならやめろ」ということが書いてあった。

人件費を抑制したい気持ちはわかる。私も経営者のはしくれだ。
とはいえ、このメッセージはいささかひどい。

しばらくして、もうひとりがスマホの主に話しかけた。
おそらく「何が書いてあるのか?」と、尋ねたのだと思う。
スマホの主は日本語が読めるが、友人は読めないのだろう。

スマホ君が笑顔で何かを答えると、友人は大喜び。
2人組はアッと言う間に、もとの陽気なヤングアジアンに戻っていった。

驚いたのは私だ。
ほぼクビと言われているようなものである。
その宣告をくらって笑っていられる神経が理解できない。

よほど金持ちの息子たちなのか。
あるいは、すでに30回くらいクビになっていて記録更新を狙っているのか?
もしくは、民族性自体が、まるで日本人と違うのか?
と、思案しているうちにバスは終点に着き、彼らの姿も人ごみに消えた。

そんなシーンに遭遇したのは、3カ月ほど前だ。
言うまでもなく、その後、彼らのことを思い出すことはなかった。
ところが、今日、なぜか急に彼らのことが頭に浮かび、
その途端、2人の大笑いの謎まで解けてしまった。

あのとき、スマホ君は、日本語が読めない友人にウソをついたのだと思う。
メールの内容をそのまま伝えず、むしろ朗報のように伝えたのだろう。
むろん、友人に心配させたくないからだ。

さらに推理すれば、友人も、薄々良くない知らせだと気づいていながら、
あえてウソに乗って、大笑いしたのかもしれない。彼もまた友を気遣った。

たぶん正解だと思う。そう断言できるほど、彼らの目は澄んでいた。
異国の学生さんのおかげで、久しぶりに友情の素敵さに胸を熱くした。
こんな心豊かな若者が控えているアジアは、手強い。


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増田紀彦NICe代表理事が、毎月7日と14日(7と14で714(ナイス)!)
に、NICe正会員・協力会員・賛助会員、寄付者と公式サポーターの皆さん
へ、感謝と連帯を込めてお送りしている【NICe会員限定レター「ふ〜ん
なるほどねえ」スモールマガジン!増田通信】。
第65号(2014/12/8発行)より一部抜粋して掲載しました。
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