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どうする?日本経済

「上野」を地方創成推進の拠点に!


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    「増田紀彦の視点 どうする?日本経済」

     第25回 
     「上野」を地方創成推進の拠点に!
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【集団就職列車、13時間50分かけて上野に到着】

北陸新幹線開通のニュースで賑わう3月14日、時同じくして
前日までJR上野駅を起点にしていた宇都宮線、高崎線、上越線、
常磐線などが、東京駅まで延伸された。
「北の玄関口」と言われた上野駅も、ほぼその使命を終えた印象がある。

「うえの~~ うえの~~~~~~~。終点、上野です」。
1958年(昭和33年)の東京を描いた映画『三丁目の夕日』の冒頭で、
このアナウンスが流れる。
中学校を卒業したばかりの少年少女たちが、集団就職列車に延々揺られ、
ようやく上野駅に到着したときのシーン。

当時の集団就職列車は、青森駅から上野駅まで13時間50分を要したそうだ。
終点を告げるアナウンスは、乗客の心身をさぞや元気づけたことだろう。


【加工貿易が戦後高度経済成長を実現した】

いわゆる戦後の高度経済成長は、1ドル=360円という、
今では夢のようなレートの外貨獲得を目指した加工貿易によって達成された。

当時、わが国の太平洋岸には、
工場、倉庫、港湾施設が一体になった巨大な工業地帯が次々建設され、
他国から輸入した原料をすぐさま製品に仕上げ、仕上がると同時に、
北米などに向けてそれらの製品を輸出したのである。
当然、そこには大量の労働力が必要であり、それを賄ったのが集団就職だった。

京浜や中京、阪神などの工業地帯には下請け工場がどんどん広がり、
そこで働く人たちを相手にした商業やサービス業も次々と広がっていった。
大企業だけでなく、中小・零細企業や商店も人手が欲しかったのだ。
この時期、それらの地域に転入した東北や九州の中卒者は、
50万人に達するという説もある。(中卒者に限定してもこの人数!)

当然、若者を送り出した側の地方の経済は落ち込んでいく。
それでも当時の政府は、それなりに巧みなシステムを用意していた。
地方への交付金と公共工事である。
輸出で稼いだ金を、労働力を提供した地方へと還流させていたのである。
会社に例えるなら、景気のいい部署に他部署から人員を異動させ、
その稼ぎの一部を、元の部署へ戻すという仕組みだ。


【稼ぎ頭としての都市の役目は終焉している】

しかし世の中は変わった。
北米や欧州相手に日本中が大儲けをするなど、今では夢のまた夢である。
いわんや、日本メーカーの製造拠点の多くは海外に移転しており、
輸出が伸びたところで、その恩恵が日本にもたらされることもなくなった。
言い換えれば、京浜、中京、阪神などの工業地帯とその周辺地域は、
もはや富を再生産できるエリアではないということである。

にもかかわらず、これらのエリアには、
まだまだ稼がないといけない若者がたくさん暮らしている。
当然、結婚をせず、子供ももうけないという選択をする人が増える。
あるいは、この閉塞状況を嫌悪して、海外へと旅立っていく人もいる。
つまり東京や横浜、名古屋、大阪などが「大人口都市」である限り、
この国の人口は減少せざるを得ないという構造になっている。


【移住の促進、あるいは「地方で仕事を」の促進を】

北陸新幹線の開通やJR各線の東京駅・品川駅への延伸は、
またぞろ地方の人と金を、東京へ引っ張ってしまうことになるだろう。
高度経済成長期とは反対で、地方で稼いだ金が都市で消費されるのである。
都市の企業が得た利潤の一部は、投資マネーとして海外へ流れる。
結局、お金はこの国の中にとどまらない。人も金も「海外へ」ではなく、
「わが国の地方へ」と向かうような仕組みが本当に不可欠だ。

移住にこだわらず、都市と地方の二重生活の促進でもいい。
昨今私は仕月の半分くらいを福島県で過ごしている。
言い換えると、福島県で稼いだお金の多くを福島県で使っているのである。
超微力ながら、地方経済の役に立っていると思うと、悪い気はしない。

そこで提案。
東日本なら上野駅周辺に、西日本なら尼崎駅周辺に、かつてとは逆の、
地方移住もしくは地方での仕事探しの拠点を設置することはできないだろうか。
いまの時代、それこそ新幹線を使えば、アッという間に地方へ移動できる。

一方、地方には、自らの地域の「経済的優位性」を多面的に見いだし、
あるいは新たに構築する努力が求められている。まさに「地方創成」だ。

<一般社団法人起業支援ネットワークNICe 代表理事 増田紀彦>


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「つながり力で起業・新規事業!」メールマガジンVol.28
(2015.0323配信)より抜粋して転載しました。
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