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厳しさを増す経済・経営環境に立ち向かうために、NICe増田代表理事が送る、視点・分析・メッセージ 。21日配信のNICeメルマガシリーズコンテンツです。
あきらめるな! 大阪経済再興



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    「増田紀彦の視点 どうする?日本経済」

     第27回 
     あきらめるな! 大阪経済再興
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【「都構想」に反対した人たちの様々な理由】

「大阪都構想」の是非を問う住民投票が5月17日に行われ、
賛成69万4844、反対70万5585と、僅差で反対が賛成を上回った。

同日夜のニュース番組のインタビューに応じた大阪市民はこう言った。
「橋下市長の独善的なやり方が嫌いだから、反対」と。
なるほど。「都構想」の是非を問う住民投票だったが、
実際には、橋下市長の是非を問う色彩も強かったようだ。

ひっくり返せば、橋下市長が好きだから賛成した人もいるということだ。
いるどころか、むしろ橋下嫌いより橋下好きのほうが多かったと私は思う。

なぜなら、反対する人たちは、
・橋下市長が嫌い
・大阪維新の会が嫌い
・都構想に反対する政党を支持している
・大阪市との取引関係があり、それを失いたくない
・公共交通などの民営化で生活が圧迫されるかもしれない
・大阪府(大阪都)に市の財源を持っていかれるのは損
・なれ親しんだ「大阪市」に愛着がある
・東京の二番煎じのような仕組みはいや
・特別区の住民サービスレベルが見えない
・現状に特段不満がない
・よくわからないから、今は(改革を)やめておこう
などなど、様々な理由を持っている。


【判断が難しかった大阪市解消・特別区移行の意味】

一方賛成した人たちは、いったいどんな理由からだったのだろう。
・橋下市長や大阪維新の会が好き
・二重行政は確かに問題があると思う
・印刷会社やハンコ店を経営していて、住所変更の特需が期待できる
あとは何だろう?

もちろん大阪市を5つの特別区に再編することに意味はある。
二重行政の無駄もさることながら、府と市が対立することで、
住民にとっては様々な「府市合わせ(不幸せ)」が生じてしまうし、
そもそも270万人もの市民を1人の市長が代表すること自体問題だ。

橋下市長は大阪を変革することで、市民にとって何がどう良くなるのかを、
期限内に伝えきることができなかったという印象だが、
実際のところ、一人の市民がこの件の是非を決めるのは難しい。
私が大阪市民だったとしても、かなり悩んだだろう。

ただ、直接利害のない立場の私から言わせていただくと、
大阪は、もっといえば関西は、大きなビジネスチャンスを逃したと感じる。


【貴重なビジネスチャンスを逸した大阪】

賛成派には印刷屋さんやハンコ屋さんがいたはずと上記したが、冗談ではない。
大阪市には20万以上の事業所があり、245万人以上の従業員がいる。
名刺とゴム印を作り直しただけでも、100億円規模に達する経済効果だ。

さらには特別区の線引きに合わせた支店や営業所の再配置もあるだろうし、
何より新たな行政サービスに対応したビジネスを仕掛けようと、
新規創業や他地域から大阪に進出してくる企業も増えただろう。
また、新生気運に乗じた大阪らしいオモロイ商売も生まれたかもしれない。
観光分野やエンタメ分野での仕掛けもいろいろできたはずだ。

当然、資金需要も高まり、金融や投資も大阪を中心に活況を呈する。
もっといえば新制度にもとづく大型かつ長期の事業案件も発生したはずで、
国内のみならず、海外の企業や投資家も大阪を目掛けてきたと思う。


【それでも頑張れ! 大阪経済】

経済的地盤沈下が長く続く大阪にとって、都構想は起死回生のチャンス……。
私はそう考えていた。
市民にとっては、そういう理由だけで賛成するものではないだろうが。

というか、そもそも、そういう事柄が論点になっていたのだろうか。
投票日が近づくほどに、
「自治体の金がどっちに行く」。そんな話ばかりだった気がする。

私の言い分は経済偏重かもしれないが、都構想がついえた今も、
日本を代表する都市・大阪には、経済再興のきっかけが、なお必要だ。
大阪経済・関西経済の浮揚は、日本経済再生の要だから。

<一般社団法人起業支援ネットワークNICe 代表理事 増田紀彦>




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「つながり力で起業・新規事業!」メールマガジンVol.30
(2015.0521配信)より抜粋して転載しました。
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