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NICe増田代表理事が送る、新たなビジネスチャンス発見法と実現へのヒント。11日配信のNICeメルマガシリーズコンテンツです。
第25回 直に会う威力



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増田紀彦の「ビジネスチャンス 見~つけた」

 第25回 直に会う威力

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9月3日、私は福島県郡山市にいた。
とある企業が同市内での飲食店開業を計画しており、
私はその準備の手伝いをしている。

店舗物件探しは、すでに今年の春から開始しているが、
出てくるもの出てくるもの、帯に短し襷に長しの感が否めず、
容易に契約には至らない。

もっとも、コロナ禍の今、空き店舗はいくらでもある。
焦らず、慌てず、理想の条件を満たす空間を探せばいい。
そう思っていたところに、好条件の物件が出てきた。
居抜き物件で造作譲渡無料かつ30台分の駐車場使用料も無料である。
しかしそれらの条件よりも点数が高いのが、商圏と立地だ。

私はクルマでその物件の周囲をグルグル回った。
交差点の角地にあり、どの方角からでも店舗の存在が一目でわかる。

加えて、その地区はここ数年で大型マンションが4棟新築されている。
にもかかわらず、競合する店舗は極めて少ない。
昼は近隣の企業の従業員を狙えるし、夜はファミリー層も狙える。

内覧のあと、私はテナントのオーナーとじっくり話をした。
条件面の交渉などはせず、郡山の変遷や周辺都市との差異、
注目すべき県内の再開発事例などについて情報を交換。

東日本大震災以降、それこそ雨の日も風の日も豪雪の日も、
福島県内を駆け巡り続けて早や10年。
地元の話題や事情には十分ついていける。

やはり、話は面と向かってするものだ。
テナントのオーナーがこんなことを教えてくれた。

「そこの道路の向かいにピザ屋があるでしょ。
あの会社、市内に6店舗あるんだけど、
あの店が一番配達用のオートバイの台数が多いんですよ」。

やはり私の商圏評価は間違っていなかったようだ。

正式にその物件を契約するかどうかは、私が判断することではないが、
決まれば、思う存分営業できる店になるだろう。

翌9月4日。この日は朝から晩まで、
福島県の会津地方の、しかも奥会津と呼ばれる山間地域を駆け巡った。
私がコンサルを務める食品メーカーの商品を売り込むため、
その地域にあるスーパーや小売り店、道の駅などを訪ね歩いたのだ。

5軒訪問して、5軒すべてが私のクライアントの商品を仕入れてくれるとのこと。
5打数5安打。打率10割。結論だけ言えば、凄すぎる成果である。
が、言うまでもなく、私に大した営業ノウハウなどない。

何よりもクライアントの商品に、高い商品力があればこそだ。
売れそうもないものなど、誰も仕入れてくれるわけがない。

そのうえで、訪問した5軒は、
これまた震災以降、何度も何度も訪問して、
それぞれの経営課題の解決を支援してきた先である。
「旧知の増田が持ってきた話なのだから」という側面もあったと思う。

しかし、それ以上に功を奏したのが、タイミングだ。
コロナ禍の今、東京から会津の奥地まで出掛けて行く人はそう多くない。
いずれの訪問先も、「いやー、久しぶり。元気でしたか?」と声を掛け合い、
私のほうから、「もう次に行きますので」と強く言って、
ようやく開放してもらえるほど、商談や情報交換に花が咲いたのだった。

仮にこの日の営業活動を、オンラインで行っていたらどうだったろう?
恐らく5打数0安打。打率0割に終わっていたはずだ。
いや、そもそも半数以上はオンライン環境がないように見受けられた。
とすれば、2打数0安打か……。寂しい限りの数字だ。

翌9月5日。この日は福島県白河市において、
5回シリーズのセミナーの最終回の講義を行った。
「しらかわ本気度up起業塾」というタイトルが示す通り、
かなり難易度を上げた内容で、受講生の方々も毎回苦労されていた。
そんな大変な取り組みが無事終了。
当然(昨今は当然ではないのかもしれないが)、
セミナー終了後には受講生有志主催の打ち上げが盛大に開かれた。

そういう場だから話せること、知れることも多々あり、
今後の個別支援についての方針もその場でどんどん決まっていった。

以上で3日間の福島県出張報告終了。

つくづく、人と人が直に会って話をすることが、
どれほどビジネスにとって有益なのかを、思い知った3日間だった。

言うまでもなく、その3日間、私はたくさんお金を使った。
交通費、宿泊費、交際費、通信費、自分の飲食代や土産品代……。
それでも、使ったお金を上回るお金が私に入ってくる。
テレビなどから頻繁に聴こえてくる「経済を回す」というのは、
こういうことを指すのだろう。

新型コロナ感染症対策から始まり、
いつの間にか経費削減になるということで、
企業の出張や相手先訪問、会議や会食がすっかり減少している。
だからこそ、「直に会う」威力は、普段以上に大きくなっている。

経済全体にとって、今の「自粛状況」は甚だ困りものだが、
このムードが続いてくれれば、
「わざわざ会いに行く」ことの効果は絶大のままである。
早くこの状況が収まって欲しいような、
でも、もう少し続いて欲しいような(笑)、何とも微妙な気分である。

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「つながり力で起業・新規事業!」メールマガジンVol.122
(2020.9.11配信)より抜粋して転載しました。
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