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NICe増田代表理事が送る、新たなビジネスチャンス発見法と実現へのヒント。11日配信のNICeメルマガシリーズコンテンツです。
第38回 税務書類の電子保存? 何それ?



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増田紀彦の「ビジネスチャンス 見~つけた」

 第38回 税務書類の電子保存? 何それ?
 
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人に何かを強いる際によく用いられる手段が、「アメとムチ」である。

2022年1月1日から施行された改正電子帳簿保存法に関して言えば、
紙で受け取った請求書や領収書などの税務書類を、
スキャニングして電子保存するための要件を緩和したこと。これがアメ。

ムチは、メール添付受信やWebからのダウンロードなど、
電子方式で受け取った請求書や領収書などの税務書類を、
紙に出力して保存する方法を不可としたことだ。

要するに、「紙→電子」は○で、「電子→紙」が×である。

ただし、紙保存不可のルール導入が急で反発が高かったため、
国税庁は改正法施行直前の昨年12月、「電子→紙」は原則不可だが、
2022年1月1日から2023年12月31日までの2年間に限り、
「電子→紙」の保存方法も認める猶予期間を設けた。

もっとも、民間が反発することなど、国税庁は当然折り込み済みで、
「その声を聞いて、猶予期間を設けた」という体裁を取ったほうが、
新制度をソフトランディングさせられると考えていたのだろう。
最近流行りの「聞く力」作戦か(笑)。
いずれにしても、2年間などアッという間だ。

もともと税務関係書類は、過去7年間分の保存が義務付けられている。
赤字繰越がある場合は、さらに長く10年間保存になる。
そのため、あれやこれやの「紙の束」は結構なボリュームとなり、
これが電子保存によって一掃されるとなると、
スペースの無駄や移動の手間がなくなるメリットはある。

とはいえ、多くの企業は、
紙を前提にした書類の整理・保存ルールを作り上げているはずで、
これを電子保存に切り換えるということは、
実質、ゼロから経理業務を構築し直すことになる。

こうなると、パソコン操作を得意とする人材がいない企業はお手上げだ。
こういう企業の場合、請求書や納品書、領収書などを、
すべて紙の状態で受け取るしか「合法的な保存方法」がないことになる。

ちなみに、電子書類を電子保存せず、紙保存を続けるとどうなるか?
国税庁は「そういう企業は青色申告承認を取り消す場合がある」と強気だ。

青色を取り消されてしまえば、
赤字(欠損金)の繰り越しができなくなるし、
30万円未満の資産の一括損金算入もできなくなる。
そのほか青色に限定された様々な控除も対象外になってしまう。
電子保存に対応できない企業は、苦しい状況に追い込まれることは必至である。

こういう「デジタル不得意企業を救う仕事」にチャンスが到来している。

昨年3月、野村総研が発表した、
「中小企業のデジタル化に関する調査」の報告書によれば、
「事業方針の中にデジタル化の方針・目標が含まれているか?」という設問に、
「ふくまれている」と回答した企業は43%、
「ふくまれていない」と回答した企業は57%である。

狙うべきセグメントは、当然、「ふくまれていない」と答えた企業だ。
上記のように、デジタル化は、「しなければならない状況」にあるからだ。

ことは電子帳簿保存に限らない。
経理業務自体がオンライン化へ向かっているし、
確定申告も電子申告へと切り替わり始めている。

さらに言えば、経理・税務だけの話でもない。
ZoomやGoogle Meet、slack、Chatworkなどのミーティングツール、
google workspaceやdropboxなどの業務効率化ツール、
Adobe Marketing CloudやBowNow、ZOHOなどのMAツールなど、
企業が導入すれば、効果をもたらすデジタルサービスは世に溢れている。

これらデジタルツールの小規模企業導入支援は必ず仕事になる。

だからと言ってIT関連企業だけにチャンスが訪れているわけではない。
支援対象企業の業種や業態に精通していて、
上記したようなツールの活用経験があり、
品質やコスパを比較評価ができる人(企業)であれば、
ITの専門家ではなくても、十分に支援業務を担えるはずだ。

あなたにとっては普通のことでも、それをすごいと思う人が世の中にはいる。
この事実を頭に入れておいてほしい。


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「つながり力で起業・新規事業!」メールマガジンVol.158
(2022.2.14配信)より抜粋して転載しました。
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