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vol.240【増田紀彦の視点・第140回 規模ではなく、つながり力で儲かる農業を】



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Vol.240          2025.9.22
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起業支援ネットワークNICe https://www.nice.or.jp

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このメルマガは、NICeの活動に参加された方々、
またはNICe代表理事・増田紀彦と名刺交換をされた方々、
および全国の起業家、経営者、農林水産事業者、起業・創業希望者、
地域振興関係者、中小企業支援・創業支援機関、一次産業支援機関の方々へ送信しています。

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【1】「増田紀彦の視点 どうする?日本経済」

 厳しさを増す経済・経営環境に立ち向かうために、
 増田代表が送る、視点・分析・メッセージ
   
 第140回 規模ではなく、つながり力で儲かる農業を
 
 
【2】 NICeニュース

 お申込み満員御礼! 10月4日開催予定:飲んで食べて学んで福島応援!
 地域ヒット商品のデザイン戦略と、福島発ウイスキーの試飲会&BBQ大会
 ほか11本
 


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 「増田紀彦の視点 どうする?日本経済」

第140回 規模ではなく、つながり力で儲かる農業を
  
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【3週にわたり、農業委員向けの研修講師を務める】

福島県の農業委員を対象にした研修会で講師を務めるため、
8月の最終週、9月の第1週、第2週と、3週続けて県内6カ所を巡った。

都市部に暮らす人や、地方在住でも農業と縁遠い人は、
農業委員会がどのような組織か、ご存じないかもしれない。

農業委員会は、教育委員会や選挙管理委員会などのように、
独立した行政委員会であり、主に農地に関する制度運用を担っている。

例えば、日本中の農家が好き勝手に、
畑をつぶしてマンションを建てたり、田んぼを埋めて工場にしたりしたら、
日本から農業が消えてしまう。

だから、農地の取り扱いには厳格で細かいルールが存在しており、
農業委員会が、それらに則った運用を管理し、サポートする。

要するに農業委員会は、農業全般にかかわる事柄を扱うわけではなく、
むしろ「農地委員会」と名乗るほうがわかりやすいかもしれない。
それでも「農業委員会」と称するのは、
農地こそ農業の根幹的資源であると国が考えているからだろう。


【私は「小規模農家推し」、国は「農地の大規模化推し」】

研修会での私の役割は、小規模農家が力を合わせて儲かる農業を起こし、
その活動を核にして、地域の活性化を成し遂げた事例の紹介と、
農村ならではの地域資源を見いだすためのワークショップの進行だった。

内閣や農水省、自民党などは、
食料や農業・農村のあり方に関する基本計画の中で、
1. 農地の大区画化(大規模化)
2. 農業施設の再編・集約
3. スマート農業の推進・新品種開発の促進
4. 大規模輸出に取り組む産地の形成
などを実施すべき施策として挙げている。

当然、農業委員はこうした動きを頭に入れておく必要があるが、
私個人は、この計画に諸手を挙げて賛成する気にはなれない。


【農地を大規模化して、村落共同体を守れるのか?】

もちろん、規模の拡大とスマート化による生産効率の向上は、
農業の担い手不足の解消や、農産物の価格抑制につながる考え方であり、
その効果自体は否定しない。

ただ、現実に日本農業の一翼を担っているのは、
兼業農家を含めた大多数の小規模農家だし、
そもそも住宅や工場に平地を奪われ、
中山間地へと追いやられた少なからぬ数の農地を、
どうやって大規模化しろというのだろう。

また、仮に100ha、200haといった規模の農地を次々整備したとして、
果たして、その地域の共同体を維持できるのだろうか。

アメリカやオーストラリアのような、見渡す限り農地が広がる光景は、
傾斜地が海岸線近くまで迫る日本の大半の地域では非現実的だが、
もし、そんな光景が誕生するとしたら、
その場所に築かれてきた地域社会が「無傷」というわけにはいかないはずだ。
極論を言えば、ダム建設にともなって湖の底に沈んだ村落のように、
集団移転を余儀なくされる農村すら出てくるかもしれない。


【水田を増やすことは、そう簡単にはできない】

実際問題として、農地、とくに水田の大規模化には障壁がある。

水田を造成し、維持するためには、
米作に適した形状の土地があり、
気温・日照・風通しなどの自然条件もクリアしていて、
なおかつ、水利(水源や灌漑、水利権)が確保でき、
何より、生産技術に長けた人材が存在していることが必須である。

加えて言えば、水田の大区画化・スマート化を図ろうとすれば、
資金面での壁も立ちはだかる。

これらの課題をクリアできるとすれば、
食品メーカーなどの大企業が農地を取得した場合くらいだろう。

だから、どれだけ農地関連法制を改正したところで、
普通の農家が、簡単に農地(水田)の大規模化に取り組めるはずはない。

と、言いたいところだが、
ビジネスチャンスというものは、多くの人が、
「そう簡単にはできない」と思っているところに存在する。

「だったら水田以外で米作りをすればいい」。
そんな考え方が登場してきた。


【確かに「水を張らない田んぼ」も存在するが……】

要するに陸稲(りくとう / おかぼ)を作ればいいという話だ。

私が子どもの頃には、「おかぼ」を手がける農家を少なからず見かけたが、
最近は、とんと目にすることがなくなった。

そもそも食味や収穫率では水稲(水田で栽培する稲)のほうがまさるため、
水利インフラの整備が進んだ昨今、
あえて「おかぼ」を栽培するメリットがなくなってしまったのだろう。

ところが、そんな「忘れられていた役者」に、
今またスポットが当たり始めている。

農地の大規模化、加えて米の増産。この目標を実現するために、
休耕地や畑を、水を張らない田んぼにしようというのだ。


【にわかに推進ムードが高まる乾田直播(かんでんちょくは)】

水田に対して、「おかぼ」を作る田を乾田(かんでん)という。
水田の場合、苗床で育てた稲の苗を田に植えていくが、
乾田の場合は、耕した土に直接、種籾(たねもみ)を蒔いていく。
なので、この農法を「乾田直播(かんでんちょくは)」と呼ぶ。

水利がなくても米が作れるし、育苗の手間も省ける。
水の管理の必要もないので、農作業全体としても省力化が図れる。
しかも乾田は、水田のようにメタンガスを排出しないので環境に優しいなど、
いいことずくめの話が飛び交う。
肝心要の食味も、品種改良の結果、水稲に劣らないとか……。

確かに乾田直播は、米の生産性を飛躍的に向上させるだろう。

ネットを眺めていても、
乾田直播のメリットを訴えるサイトが急激に増えてきた印象がある。

だが、本当にそれでいいのだろうか。


【乾田直播には、除草剤と遺伝子組み換え種が必須】

結論から先に言うと、私は乾田直播に懐疑的である。
メリットよりもデメリットのほうが大きいと感じるからだ。

水田は水を張っているから雑草の繁茂を抑制しやすい。
だが乾田では、どうしても除草剤を使用することになる。

「えっ、除草剤を蒔いたら稲も枯れるのでは?」。
そう思うだろう。
だから、除草剤が効かないように遺伝子を組み換えた米(種籾)を使う。

さらに種籾が鳥や虫に食べられないよう、忌避成分をコーティングしたり、
風で飛ばされないよう鉄をコーティングしたりもする。
そんな「化学まみれ」の米を、どれだけの人が食べたいと思うだろうか。

別の観点になるが、水田がなくなったら、
ドジョウやカエルやトンボやホタルは、どうなるのか?

「米の値段が高い。生活が大変だ」という消費者の嘆きを利用し、
農地を大規模化し、乾田直播で生産コストを下げれば、
米価を安定させられると、国は言いたいのかもしれない。


【小規模農家同士や異業種とのつながりで、知恵で儲ける農業を】

しかし、前述のように、大規模化・スマート化で恩恵を受けるのは、
資金力が豊かな大企業ばかりだし、
乾田直播でいい思いをするのは、
除草剤と除草剤耐性イネをセットで売り出す薬品メーカーくらいだろう。

結局、国が示す方向性は、小規模な農家にとっても、
私たち消費者にとっても、とくにいいことはない。

だから私は、規模のメリットに頼らなくても、
知恵と知恵をつなげ、産地と消費者がつながることで、
利益を生み出す農業は必ずできるし、
農業を核にした地域の活性化は実現可能なのだと、研修会で訴えた。

このコラムではスペースが足りず、
農業委員たちに披露した「儲かる農業の実例」は紹介できないが、
ネットなどで調べてもらえれば、
様々な取り組みが各地で功を奏していることがわかると思う。

そして、それら成功例の多くは、
農業者と農業者以外の人々との連携によるものが大半である。
この点が大事だ。

何事もそうだが、ひとつの業界に長くいる人は、
発想の範囲がどうしても狭くなってしまう。

だからこそ、日本の農業を守り、伸ばし、
消費者とともに喜びを分かち合える産業にしていくためには、
NICeが掲げる、「異業種・異地域・異世代のつながり」が必須だと考える。

<一般社団法人起業支援ネットワークNICe 代表理事 増田紀彦>



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 https://bichiku-shunou.or.jp/qualification/qualification-2kyuu/schedule/
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《Seminar》
 一般社団法人 防災備蓄収納プランナー協会
「防災備蓄収納2級プランナー認定講師 資格講座 WEB版」
 10月19日・11月16日、10月20日・11月17日
 https://bichiku-shunou.or.jp/qualification/qualification-2koushi/
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《Seminar》
 一般社団法人 防災備蓄収納プランナー協会
「防災備蓄収納1級プランナー講座」
11月2日&3日@東京、11月26日&27日@大阪
https://bichiku-shunou.or.jp/qualification/qualification-1kyuu/


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 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃編┃集┃後┃記┃ ┃  
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お知らせ2項目に記しましたとおり、
10月4日開催予定の「飲んで食べて学んで福島応援!
地域ヒット商品のデザイン戦略と、福島発ウイスキーの試飲会&BBQ大会」は、
お申込みが定員に達し、満員御礼、受付締め切りとなりました。
また、福島県内外の企業・団体・起業家のみなさまから、
多くの後援・協賛もいただいております。
どうもありがとうございます。
当日の様子は、写真レポートで報告いたします。
晴天となりますよう一緒に念じてくださいね。

次号の「つながり力で起業・新規事業!」NICeメルマガは、
10月14日頃に配信予定です。
(NICe広報・岡部)
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