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どうする?日本経済

儲けの秘密~模倣困難性~(下)

前半では、
儲けの秘密とは、競合他社が「真似をしたくてもできない」、
事業の模倣困難性にあずかるところが大きいことを示し、
その事例として、私自身が手がけた『リクルート発刊『独立事典』を取り上げた。

競合他社は、
私たちのように、全国津々浦々の独立事例を集めることができない。

というか、
なぜ、私たちの会社は、
マスコミやネットにも載らないような事例まで、しっかり掴めるのか?

こうした事例中心の雑誌やムックをつくる上での大変さは、
・『企画に合致する実例を探し出すこと』であり、
・『見つけた上で、取材・撮影・掲載をOKしていただくこと』にある。

締め切り日は迫る。なのに、ネタが見つからない。
やっと見つけたと思っても、相手と連絡が取れない。
やっと連絡が取れても、なかなか取材にウンと言ってもらえない。
ああ、もう、どうしよう……と、編集者は追い込まれていく。

この状態が続くことで、
編集者は心労と長時間労働でカラダを壊してしまうことも少なくない。

だから、雑誌(ムック)をスムーズに発刊させるためには、

・『常に、あらゆる企画に対応する事例をストックしておくこと』と、
・『労力をかけずにアポをとること』が肝要だ。

では、私たちの会社はどうやっていたのか?

100を超える事例のうち、
(1)3分の2ほどは、各担当編集者が自力でネタを集め、アポもとる。
(2)そして残りの3分の1ほどは、私が持っているネタを使い、私がアポを取る。
ないしは、私から各編集者に紹介する。

(1)は、実はそれなりに大変だ。
競合他社と同じ苦労をしていると思う。

ところが(2)の、私ひとりで準備するほうは、
実は苦労をしていないのである。

全体の3分の1が苦労しないで進行できるのは、
ものすごく大きなアドバンテージである。

ではなぜ私は苦労せずにそれができたのか?


『アントレ』本誌にたった1ページ掲載するだけの
全国の起業系異業種交流会の取材を、
毎月、14年間にわたって続けており、
その機会を通じて各地の起業家と知己を得ていた。


さらに、何度も取材を繰り返した異業種交流会の代表や幹部の方々と
昵懇になることで、この人たちが「特派員」的に、各地の新情報を次々と
私に提供してくれていた。「行かなくても情報が手に入る」状態である。
会の代表者たちにとっても、
自らの会の参加者を雑誌記事に推薦できることは大きなメリットである。


そうやって起業・独立関連情報に明るくなっていった私は、
そのムックの編集作業のない時期に、
これまた全国をまわって、創業セミナーや経営革新セミナーの講師を務めた。
そこでまた情報と知己を得る。
しかも、セミナーの先生から連絡をもらって、
「記事にする」と言われて、断るような受講生はいない。

「あ、元気? 増田だけど、今度、取材に行くからよろしく~。
がんばって会社伸ばせよ。じゃーね」ってな感じである。


さあ、これを他社のみなさんも真似してみてはどうですか?
と言われて、真似できるわけがない。


ここからが重要だ。

『独立事典』の模倣困難性を高めようとして、
私は➀や➂に取り組んだわけではない。

それらはそれらで、独立した仕事である。

ポイントは、『独立事典』と➀や➂を結合させたことである。

手間と暇とをかけて取り組んできたことを、
別の事業の強みにすえればいいのである。

これは、全業種にあてはまる視点だと思う。


ところで、なぜ、私がNICeの代表なのか、みなさんはご存じだろうか?

経済産業省時代のNICeのときは、もちろん代表者ではなく、
チーフプロデューサーという肩書だったが、
なんにしても、NICeを仕切っていたわけである。

もう答えは説明するまでもないが、
起業家や起業支援者向けのSNSをつくることになったとき、
そこに参加してくれたり、その活動に協力してくれたりする人を、
私は膨大に知っていたからである。

だから、声がかかったのであって、
残念ながら、人間性が素晴らしいとか、
そういったカッコイイ理由は微塵もなかった(笑)。

つまり、ここでもまた、長年取り組んできたことが別の事業と結びつき、
その事業、つまりNICeの模倣困難性の核となったわけだ。


一粒で二度おいしい、いや、三度おいしい。
その発想が、結果的には事業の模倣困難性を高めることにつながる。
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