最新情報最新レポートNICeとはつながり力NICeとはSNS代表から講演取材依頼ユーザーログイン

地域NICe勉強会

NICe関西 第2回 勉強会@京都 レポート


2011年1月22日(土)、NICe関西(みんなで関西を元気にするコミュニティ、略して「みんかん」)主催の第2回勉強会が、プレマヴィレッジ京都で開催された。参加者は地元京都府を中心に、三重県、滋賀県、大阪府、兵庫県、和歌山県から総勢21名が参加した。



日本で就労する外国人の役に立ちたい!

どうすれば知ってもらえる?

利用促進のための有効手段は?



▲プレゼンテーターを務めた小田光男氏(左)、幹事を務めた住田正則氏(右)


■オープニング

NICe関西主催の第2回勉強会@京都は、参加者との意見交換により、プレゼンテータ―のプランをブラッシュアップしていく“NICe流頭脳交換会”だ。プレゼンターは、「アジアのとうふ」代表・小田光男氏と、夕映舎・代表 住田正則氏。
会の冒頭に幹事を務める住田氏からあいさつがあり、今回プレゼンターに立候補しようと思ったきっかけが語られた。それは、2010年11月に開催された「第6回 NICe全国定例会 in 摂津」(参照)。その会は、NICeが提唱する“異業種・異地域・異世代のつながり”に、“異規模”の要素を取り入れた試みだったが、そこにヒントを得たのだという。住田氏・小田氏が推進している“脱退一時金の申請代行サービス”の対象者は、日本で働いた後に祖国へ帰る諸外国の人々で、サービスを提供することにより生まれるのは、異国・異文化との心のふれあいやつながりだ。今回の勉強会でまずは参加者に、脱退一時金という制度が日本にあることを知ってもらい、NICeの活動にぜひ“異文化”も取り入れてほしいとの思いから、プレゼンテーターに立候補するに至ったという意気込みが述べられた。


■プレゼンテーション

外国人支援事業としての脱退一時金申請代行サービス「アジアのとうふ」について

プレゼンテーター「アジアのとうふ」代表・小田光男氏
夕映舎・代表 住田正則氏

「アジアのとうふ」代表の小田光男氏は、社会保険労務士である住田正則氏と旧くからの親友であり、何か日本に住む外国の人々の役に立ち、日本に好印象を持っていただける仕事はできないかと模索し続けていたという。そんな中、脱退一時金の受給申請が非常に煩雑であり、受給できずにいる人が多いことに着目。社会保険労務士であり、法務に強い住田氏と、英語とWebに強い小田氏がつながり、脱退一時金申請代行サービスを開始した。

「脱退一時金」とは、外国の人々が日本で働いている間に、厚生年金を掛け一定の要件を満した場合、帰国(脱退)後に申請することにより、一時金が受給できる社会保障制度のこと。厚生年金保険法第9条では、「適用事業所に使用される70歳未満の者は、厚生年金の被保険者とする」と定められている。つまり、日本の年金は、国籍にかかわらず、すべての従業員が被保険者であり、年金を受給する資格を有している。しかし、日本の年金の受給資格は、勤続年数25年以上と定められており、25年に満たず短期間で帰国する外国籍の人々は、年金を受給することができず、事実上掛け捨ての問題が発生している。

法律では、こうした人たちに「脱退一時金」が支払われるよう定められてはいる。たとえば、平均月額報酬が25万円で3年間働いた場合、脱退一時金は70万円(税引前)となり、近年の円高の影響もあいまって、現地通貨で換算すれば非常に大きな価値となる。

日本における外国人登録者数は約221万人おり、永住者や留学生を除き、申請資格を有すると思われる人数はそのうち約3割の66万人(2008年wikipediaより)。この3分の1程度の約20万人が毎年入れ替わり、帰国しているのではないかと推定される。

一方、厚生年金脱退一時金の申請件数は、2008年4〜9月の半年で約2万件、総額約66億円となっている。残りの約16万件が未申請であると仮定すると、1件あたりの平均支給額が33万円であることから、およそ528億円が未払いのままになっている計算だ。

これほど巨額の未払いが発生している原因は、多くの制度上の問題だと小田氏は述べ、具体的な問題点を次のように挙げた。

・帰国後(日本を離れてから)しか申請ができない
・日本の官庁は日本語でしか対応しない
・書類の作成が煩雑である
・申請書類に少しでも不備があると返送される
・返送された場合、再申請しなければならない
・申請後、結果が報告されるのは早くて半年後
・所得税が2割かかるが、還付申請は日本在住の納税管理人が必要

こうした背景が受給申請をためらわせる大きな要因になっていると述べ、「アジアのとうふ」は、これらの問題を解決するため、次に挙げたサービスを提供しているという。

・多国語(英・中)で迅速丁寧に対応し、書類を確実に作成して申請する
・一時金と税金還付の申請を一括で引き受ける
・毎月の定期連絡とレポートを適宜送付して安心感を持ってもらう

このようなサービスを使用し、これまで申請代行を利用した人たちからお礼のメールが多数寄せられていると述べ、その一部を紹介。そして両氏から、新規利用者の獲得方法について、皆さんから多くのアイデアを望むとし、プレゼンテーションを終了した。

 
▲プレゼンをする小田氏。  脱退一時金のしくみ、サービス内容、問題点を真剣に聞き入る参加者たち


■頭脳交換会

前回の「第1回 NICe関西@大阪」の勉強会で学んだホワイトボードミーティング手法(参照)を活用し、頭脳交換会がスタート。4〜5名のチームに分かれ、各チームのファシリテーターを黒江氏・寺田氏・山中氏・内田氏らが務め、約45分間アイデアを出し合った。その後、チームごとに発表し、頭脳交換会は終了。しかし、アイデアは尽きず、懇親会の場でもミーティングが延々と続いた。

 
▲内田チームの頭脳交換(奥から、井居氏、横見氏、市川氏)。立って聞いているのは住田氏

  
▲45分の頭脳交換会は最後までアイデアが尽きることはなかった

   

  
▲各チームのアイデア発表を参加者全員で共有する収束タイム。
アイデアを書き留めていく小田氏(左写真手前)と住田氏(奥)


各チームの主なアイデア   ※敬称略

黒江チーム(赤池・榎崎・勝元・尊田)

・Face To Faceで信用を得ることが顧客獲得に大事なので講演会やセミナーを開く
・日米協会や日英協会へ働きかける
・大手企業が雇用しているアマスポーツ選手はどうか
・外資系会社の幹部向けの確定申告を受けている税理士へ営業する
・外国人が利用している外資系銀行に、ライフプランセミナーのひとコマとして無料で講演を持ち込んではどうか
 ・宣教師にアプローチして、信徒の福祉の一環として宣伝してもらう

寺田テーム(中村・前田・村田)

・旅行代理店、外国人が勤めている企業や工場への広報宣伝
・英字新聞にプレスリリースする
・日本語教室と組んで広報宣伝
・空港や地元京都で、サンドイッチマンをして広報宣伝する(在日外国人も観光に訪れる)
・大使館や領事館に働きかける
・求人の時点でキチンと説明するよう呼びかける。外国人を採用する企業のイメージアップにもなる
・地元京都のタクシー会社や神社仏閣の協力を要請
・同業者と組んで啓蒙・普及活動のための団体をつくる

山中チーム(植野・中嶋・長沼)

・有効な検索キーワードをきっちりと設定する
・新聞記者に目につくように、インターネット上での無料プレスリリースを活用する
・「脱退一時金」という表現はわりづらくネガティヴなイメージなので、「外国人支援事業はればれ」「日本でがんばってくれてありがとう基金」「あなたは損しています!」などはどうか
・FaceBookで外国人支援サービスのファンクラブをつくる

内田チーム(井居・市川・野崎・横見)

・有効なキャッチフレーズをつける。たとえば「日本に大きな忘れもの」
・帰化した外国人に、彼ら彼女らの周囲にいる外国人たちに向けて、日本生活についてアドバイスできるコミュニティをつくってもらう
・議員などに働きかけ、マスコミに取り上げてもらうことで制度自体のクローズアップを図る

Ustream参加の田村康子氏からのアイデア
・外国人との交流事業、交流イベントを行っているNPOなどと連携して、そこに来る外国人の方たちに脱退一時金の説明会を行う
・在日外国人がほぼ必ず使うものは鉄道路線図。その広告枠に広告を出す
・クラブなど夜の遊び場に置かれている外国人専用のフリーペーパーに広告を出す




▲後片付けも自主的に全員で。これもNICeのつながり力!

■懇親会
勉強の後は、お楽しみの懇親会。一次会は居酒屋で、二次会は民家を改装したようなユニークなお店で、まるで誰かの家のリビングにいるか感覚で、とてもアットホームな時間を過ごすことができました。「NICe関西@京都」を開催するにあたって、懇親会の幹事を引き受けてくれた村田真一さん はこの日のために、わざわざ京都の街を歩き回り、お店を開拓してくださったそうです。おかげさまでとても楽しい時間を過ごすことができました。名幹事・村田さんに深謝!!

 



■プレゼンテーター 小田光男氏の感想と今後の抱負

「今回プレゼンを行うために、事業の骨子を自ら整理し組み立てて当日に臨みました。その結果として、プレゼンで私たちの事業内容を皆さんへお伝えすることに成功したのではないかと思います。今回はいろいろな角度から多くのアイデアをいただくことができました。その理由は、私たちの事業を皆さんによくご理解いただけたからではないかと自己評価したいと思います。事業の課題と対策が短時間の勉強会であったにも関わらず、えぐり出されたことが大きな収穫でした。 すでに始めている事業ですが、まだまだテイクオフに至っておりません。皆さんからいただいたアイデアをさらによく検討し、事業を着実に軌道に乗せるために、最も効果的な宣伝・顧客獲得の行動に移していきたいと思います」


■幹事・プレゼンテーター 住田正則氏から一言

「あらためて、NICeの方々のあたたかさ、まっすぐさを、肌身にしみて感じました。頭脳交換会で、あれだけ多くの実践的なアイデアがいただけたのはもちろんですが、それ以外のあらゆる場面においても、非常に心地がよかったです。ぜひこうした体験を、他の方々にも味わってほしいと思います。

京都での「みんかん(現NICe関西)」の前に、同日の午前中に赤池さんの母校で行われた大学×NICeの勉強会がどのようなものだったか、私は知らないのですが、おそらく有意義なものであっただろうと思います。はからずもこの日が「みんかん(現NICe関西)」において、初めて大阪府以外で開催された勉強会&懇親会となったわけですが、できることなら今回をテストケースとして、もっと参加者ひとり一人がよい成果を持ち帰ることができる集まりを、数多く催していっていただきたいと思います。もちろん私も、また機会がありましたら、こりずに京都での集まりを主宰したいです。当日ご参加いただきました皆さんには、本当に感謝しています。

永山仁さんをはじめ、ブレストの道具をお持ちいただいた山中智香さん、懇親会を見事な手腕で切り盛りしてくださった村田真一さん、すばらしかったです。そして小田。いろいろご苦労さまでした。すべての皆さまに御礼申し上げます。ありがとうございました!」
 

■ファシリテーターを務めた永山 仁氏から一言

「『脱退一時金』という聞き慣れない制度を初めて聞いたのは、2009年のNICe大阪定例会での3分間PRタイムに、住田さんが説明していた時のことでした。その時は時間も短く、良く理解することができませんでしたが、今日は完全に理解することができました。先月開催された「みん関(現NICe関西)@新大阪」の勉強会(レポート参照)で、山中智香さんから学んだ少人数によるホワイトボードミーティングを取り入れましたが、ファシリテーターを務めた私の負担も軽く、参加者が発言しやすく、短時間でとても多くのアイデアが出てくるなどいいことづくめで、頭脳交換会としてはとても有益な手法だと確信しました。プレゼンテーターである小田さんと主宰者の住田さんが、『とても多くのアイデアをもらうことができた』と喜んでおられる様子を拝見し、とても満足しています。これからも毎月集まって、ひとりでも多くの仲間を応援し続けていきたいと思います」

撮影/前田和幸氏
取材・文/永山仁氏
(制作協力/小田光男氏勝元一仁氏黒江政博氏住田正則氏山中智香氏)、岡部 恵





コンテンツ