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どうする?日本経済

炎上動画騒動に見る、チェーンビジネスの岐路


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    「増田紀彦の視点 どうする?日本経済」

    第64回 
    炎上動画騒動に見る、チェーンビジネスの岐路
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【不適切動画騒動、ついに訴訟沙汰に】

いわゆる「不適切動画」の炎上が相次いでいる。
問題になっているのは、さばいた魚をごみ箱に投げ捨て、
もう一度まな板の上に戻そうとする「くら寿司」の従業員の動画をはじめ、
「バーミヤン」「ビッグエコー」「すき家」「セブンイレブン」などの従業員の、
不謹慎極まりない行為を撮影した数々の動画である。

これらの炎上動画に関する騒動が広まったのは、
問題を起こしたアルバイト従業員に対し、
「くら寿司」が損害賠償請求を行う考えがあると発表したからだ。

同社に限らず、炎上の舞台になった各社は、さぞ頭が痛いだろう。
しかしアルバイトとはいえ、
れっきとした当該企業の従業員が起こした騒動なのだから、
雇用主である企業が、一方的に被害を主張するのも釈然としない気がする。


【最終的に動画を広めたのは、テレビニュースか?】

動画の撮影に関わった従業員たちの責任は決して軽くないが、
撮影者たちが公表していない店舗情報をわざわざ調べ上げ、
「どこの店だ」と特定して拡散する人間にも責任はあるし、
ある意味、誰よりも騒動の拡大を助長したのは、
入手した動画をニュース番組などで放送し、
日常的にネットを閲覧しない人たちにまで、
各社で起きた破廉恥ぶりを見せて回ったテレビ局ではないだろうか。
かくいう私も、その動画を目にしたのはテレビュースを通じてだった。

悪意のある拡散者や、事態を大きくしたマスコミを見逃して、
愚かな若者だけに罪を償わせるという考え方には、やや疑問を感じる。


【「若者の悪ふざけ」が大事件になり得る時代】

それにしても、なぜ、こうも低レベルな「事件」が続くのだろう?
ネット問題に詳しい徳力基彦氏のブログに、背景が簡潔にまとめられていた。

1.元々、「バカな行為」は目に見えないレベルであった
2.ネット投稿により「バカな行為」が可視化された
3.一部の人は「バカな行為」投稿を友達しか見ないと思い込んでいる
4.一方で「バカな行為」は瞬時に拡散するようになった
5.「バカな行為」を大きく取り上げるメディアも増えた
6.「バカな行為」が話題になると過去のものも遡られるようになった

確かにそうだ。
若者がバイト先で悪ふざけをするなど、今に始まったことではない。
そういう意味では、つくづく自分が今時の若者でなくて良かったと、思えてくる。


【炎上動画に共通する、重大な背景】

さて、私が気になったのは、この騒動の共通点についてである。
いずれも、「おバカな若者」が起こした騒動、ということもあるが、
もうひとつ、事件はすべてチェーン店の店舗で起きたという点だ。
言い換えれば、各社の本社などで起きた問題ではないのだ。

「それはそうだ」と、すぐに思った人も少なくないだろう。
本社に勤務するような人たちなら、善悪の区別くらいつくし、
大体そんなことをしたら、自らの首を締める事がわかっているから、と。
まさに、そこがポイントだ。

つまり、もう一度言い換えると、チェーン店の現場には、分別どころか、
損得すら考えられない人材が少なからず存在している、ということになる。


【チェーン店の現場は、人材確保限界状態】

実際、個人経営の寿司屋や中華料理屋を舞台にした、不適切動画は見た事がない。
かつての徒弟制度的な関係は薄れているとはいえ、
自らを雇用してくれた経営者(親方)に対する恩義を感じる人はいるだろうし、
経営者側も、意欲や能力、人柄などを見た上で採用を決めているはずだ。

あるいは、経営環境が厳しいと判断するなら、
アルバイトを雇わず、何とか自力で(知恵と工夫で)現場を回す、
という判断も個人経営の店舗であれば可能になる。

ところがチェーン店の場合、直営店店長やFCオーナーが、
店舗の数値目標やオペレーション方法を勝手に変えることはできず、
とにかく「誰でもいいからシフトに入ってほしい」と考えてしまう。

加えてチェーン店は、それこそ個人店とは異なり、
現場のスタッフの他に、本社(本部)のスタッフを多数抱えている。
つまり、一店舗にかかわる人件費の総額が異常に高くなる仕組みだ。
そうなれば、現場のアルバイトの人件費を極力押さえたくなる。
結果、「安い時給でも応募してくれる人なら誰でもいい」となってしまう。
人材を選考する余地など、チェーン店の現場には無きに等しい観がある。


【チェーン本部に依存しない経営者を輩出しよう!】

なのに、なぜ、チェーン店は拡大し続けるのか?
要因は複数あると思うが、見過ごせない理由として、
個人で店舗を開業し、運営するためのノウハウや資金が足りない人たちが、
チェーン店のシステムに頼って独立を果たすからだ。
本部側も、そういう人たちを加盟店として迎え入れてきた経緯がある。

チェーン展開を図る企業の努力によって、生活者の利便性が向上し、
同時に多大な経済効果を生み出してきた事は否定しない。

ただし、「デフレと人手不足」という異常なカップリングが続く現在の日本では、
「資金も人材もない」状態が恒常化している加盟店が増すばかりであり、
チェーンストア理論の強みが成立しにくい環境になってしまっている。

昨今の炎上動画騒動は、我が国の外食産業や小売り産業が、
大きな転換点に差し掛かっている事を示唆しているのではないだろうか。

また、そうであるなら、あらためて自力で起業・独立を果たせる人材の育成と、
金融を含めた伴走型支援の強化が、焦眉の課題になると思う。

<一般社団法人起業支援ネットワークNICe 代表理事 増田紀彦>

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「つながり力で起業・新規事業!」メールマガジンVol.83
(2019.2.21配信)より抜粋して転載しました。
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