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どうする?日本経済

「このままじゃまずいぞ、日本」の原風景


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    「増田紀彦の視点 どうする?日本経済」

     第74回 
     「このままじゃまずいぞ、日本」の原風景
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【自分の力を信じる人々を、もっと増やしたい】

言うまでもなく、私は経済学者でもエコノミストでもない。
それでも、明るい展望を描けない日本経済そのものや、
心踊らない政府の経済政策や財界の方針、
さらには、くすぶっているように見えてしまう働く人々の気持ちに対し、
何かを投げ掛けずにはいられず、このコラムを書き続けている。

だから、私の提起や提案には、どこか無理があったり、
反対に、処方箋足り得ない内容が含まれていたりするかもしれない。

それでも私は訴えたい。
日本人がもっと自分の力を信じるようになり、
同時に、他者の力も信じるようになることで、
それが社会と経済の地力を向上させる基礎となり、
覚醒した個人や企業の競演によって、
新たな価値の創造が限りなく加速されるはずだと。

青臭いことを……と、笑う人がいるかもしれないが、
感動的で躍動的な人生を求める心は、人類成長の源泉だと思う。
それを尊び、奨める社会の実現が、経済活性に貢献しないはずはない。


【社会の発展と反比例する、「個」の生きる力】

明治維新から150年超、第二次世界大戦終戦からでも、すでに75年。
日本の社会は高度化し、成熟化した。
言い換えると、日本社会は長い年月をかけてシステム化を進めてきた。

「問題が起きない(起きにくい)社会」、
「多くの人が快適に暮らせる社会」、
「目標に向かって迅速かつ効率的に事を運べる社会」……。

こうした理想自体を非難する気はないが、
その理想を形にしようとすればするほど、
ルールが増え、新たなモラルが広まり、
そのルールやモラルに則した製品やサービスが登場し、
人々はそれらを受け入れ、それらを前提として日々を過ごすことになる。

一人の人間や、一つの企業の意思は、
おおかた、そのルールとモラルとツールに沿って決定され、
本来有しているはずの個々の資質や能力、適性、見識などを根拠に、
決断や行動を選択する機会が着々と減少していく……。

自分で考えなくても、生きていける。
自分で決めなくても、生きていける。
自分で事を起こさなくても、生きていける。

発展という名の社会のシステム化は、
そういう幻想をこの国の人々の心に芽生えさせてしまった側面がある。

社会としてのレベルの高さを求めれば求めるほどに、
個人の生きる力が衰えていく。パラドックスの極みである。

そんな日本人の「個」の力の衰えを、思い知らされる出来事があった。
もう30年近くも昔の話だが。


【「今を生きる実感」を求めて、一人、中国の奥地へ】

当時の私は、バブルの崩壊を経験しながらも、
それなりに儲ける仕組み(食える仕組み程度かも)を見つけ出し、
会社経営を維持することができていた。

が、その仕組みのおかげで、私は刺激のない毎日を過ごすことになった。
さすがに、こんな状況が続くわけがないと不安になり、もう一度、
自分自身の努力と挑戦で価値を生み、飯を食いたいと考えるようになる。

とはいえ、順調に動いている仕組みを壊すわけにもいかない。
顧客との約束や信義もある。従業員のやり甲斐や生活もある……。
気づけば私は、自らが築いた仕組みに、がんじがらめにされていた。
もはや、ここにいては、挑戦などできない。

私は会社の経営を他の幹部に委ねて長期休暇を取り、単身、中国へ渡った。


【決意が揺らぐほどの、苦難だらけの中国修行】

当時の中国はまだ自由旅行が認められておらず、
行く先行く先で、苦労の連続だった。
晩御飯ひとつ頼むのにも、大変な手間がかかった。
「毎日を、自分の力で生きる実感」を求めて向かった中国だったが、
今すぐにでも日本に帰りたいと、心の底から思ったものだ。

そして、まるで小説のように、次々と災難が降りかかってくる。

インフラが未整備な山間地では自然災害に巻き込まれ、
大都市では大金窃盗事件の目撃者となって追われ、
繁華街では少年強盗団と格闘になり、
最後は、軍事基地に監禁される始末である。

そんな中国旅行において、最も衝撃を受けたのが、広州市の道路のことだ。

広東省の省都である広州は、香港や経済特区の深センに近く、
市場経済へ舵を切った中国のシンボルのような街だった。
とにかく町中が、仕事を求め、儲けを求めて、
中国全土から押し寄せてきた人々であふれ返っている状態だった。

香港の九龍駅から列車を利用して広州駅に到着した私は、
駅前広場を抜け、道路を渡って市街地へと向かおうとしていた。

ところが、上下4車線あるその大きな道路には横断歩道がない。
「時間是財宝」とばかり、自動車が猛スピードで駆け抜けていく。


【町中で、私だけが、道路を横断できなかった】

こんな道を渡れるはずがないよ。

と、思ったのは、結果的に、私一人だった。
現地の人々は老若男女問わず、クルマのやってくるタイミングを見計らって、
次々と道路の反対側に渡っていくのである。
若者は若者らしく素早く、年寄りは年寄りらしくノロノロと。

この人たちは、自分の身体能力を完璧に認識しているのだと気づいた。
自分の目の力と自分の脚の力をわきまえ、それらを信じて生きている。
当の私は、「赤信号でクルマは停止する」というルールのおかげで、
自分の視力や脚力のいかほどかを、心得ぬまま生きてきてしまった。

いつまでもいつまでも、路肩でしゃがみこんでいた自分の姿こそが、
「このままじゃまずいぞ、日本」の原風景である。


【自分で考え、決め、事を起こす人々を生み出す、起業・独立】

私と同じような体験をしてほしいなどという気はない。
私が押し進めたいのは、起業・独立、新規事業に挑戦する人々を、
一人でも多く輩出することである。

起業・独立や新規事業への挑戦は、
自分で考え、自分で決め、自分で事を起こすこと、そのものだから。

2020年も、起業・独立・新規事業を応援して、
元気な「個」が支える日本経済づくりに貢献していこうと思う。

<一般社団法人起業支援ネットワークNICe 代表理事 増田紀彦>
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「つながり力で起業・新規事業!」メールマガジンVol.105
(2020.1.21配信)より抜粋して転載しました。
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