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つながり力で起業・新規事業!
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vol.242【増田紀彦の視点・第141回 与野党ノミクス】



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Vol.242          2025.10.21
つながり力で起業・新規事業!メールマガジン
起業支援ネットワークNICe https://www.nice.or.jp

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このメルマガは、NICeの活動に参加された方々、
またはNICe代表理事・増田紀彦と名刺交換をされた方々、
および全国の起業家、経営者、農林水産事業者、起業・創業希望者、
地域振興関係者、中小企業支援・創業支援機関、一次産業支援機関の方々へ送信しています。

  ┃目┃次┃ ┃ ┃ ┃ ┃ 
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【1】「増田紀彦の視点 どうする?日本経済」

 厳しさを増す経済・経営環境に立ち向かうために、
 増田代表が送る、視点・分析・メッセージ
   
 第141回 与野党ノミクス
 
 
【2】 NICeニュース

 増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」324号
 <最近の決意> いつか、必ず、満開の桜の下で
 ほか10本
 


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 「増田紀彦の視点 どうする?日本経済」

     第141回 与野党ノミクス
  
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【国会招集が延期になったせいで……】

あと1日足りなかった……。

当初、臨時国会の召集は10月15日に予定されており、
私は、そこで実施される首班選挙の結果を確認して、
新内閣の経済政策に関するコラムを書くつもりでいた。

ところが自民党と公明党の連立が解消するに至り、
召集が本日10月21日(メルマガ配信日)に延期されてしまった。

その後、首班指名をめぐる情勢は二転三転したが、
日本維新の会と自民党との連立が決まり、
本日、高市政権が誕生する。
そうは言っても、このコラムを書いているのは前日の10月20日。
当て込みで「サナエノミクス」を取り上げることもためらわれる。

ならば逆に、内閣の顔ぶれが決まる直前の「今」だから、
書くべきことがあるのではないか。そう考えた。


【与野党リーダーの経済政策を比較】

新政権の経済政策は高市氏が主導することになるだろうが、
公明党の連立離脱以降、高市氏の対抗馬と目されてきた、
国民民主党の玉木雄一郎氏の考えも無視できないものがある。

両氏は異なる経済政策哲学を持しており、
端的に言えば、「理想主義の高市」と「現実主義の玉木」と言える。
とはいえ、後述するように、二人の主張は決して矛盾するものではない

だが、本日、正式に高市政権が発足すれば、
野党になった玉木氏の経済政策は後方へと追いやられてしまうだろう。

それは非常にもったいないことである。

そこで、あらためて両者の持論を比べながら、
新政権が検討すべき経済政策のあり方を探ってみようと考えた。


【実は共通点も多い高市氏と玉木氏】

経済政策を対比する前に、政治家としての二人を比べてみたい。

高市氏は神戸大学を卒業後、UCLA政策大学院で学び、
帰国後は経済評論家やキャスターとして活動し、1993年に政界入り。
新生党→自民党と所属を変え、安倍元首相との親交を重ねて、
「保守本流」もしくは「保守右派」として頭角を現してきた。

玉木氏は東京大学を卒業後、大蔵省(現財務省)に入省。
その後、ハーバード大学で学び、2005年に政界入り。
民主党→民進党→希望の党→国民民主党と所属を変え、現在同党代表。

二人とも海外留学経験のあるエリートである点、
ひとつの政党に固執していない点、
さらには、どちらも世襲議員ではなく、
自己の才覚と努力でのしあがってきた政治家である点など、
思想・信条の違いはあっても、共通点は多い。

ビジネスの世界に置き換えれば、二人は創業者である。
自らの意志で国政に身を投じ、働いてきた矜持を両者から感じる。

もしも、日本国民に首相を直接選ぶ権利があったなら、
高市氏と玉木氏の一騎討ちは相当に熱を帯びたことだろう。


【理念ありきの高市氏、現実重視の玉木氏】

一方、両者の思想・信条はかなり異なっている。

高市氏は伝統的な国家観や家族観を重視。
憲法9条改正にも積極的であり、
戦後体制からの脱却を主張するナショナリストである。

自己の信念を隠さずに主張する高市氏の姿勢は、
昨今の与党政治家の中では希有な存在と言える。

玉木氏も大別すれば保守派だが、
より中道的・現実的であり、実務派と言っていい。

「もっと!手取りを増やす」「対決より解決」「右でも左でもなく上へ」など、
国民民主党のスローガンには、そうした玉木氏のスタンスがよく表れている。


【政府主導の成長分野投資を掲げる高市氏】

では、肝心の経済政策はどうだろう?

高市氏の経済政策の核心は、
「国家主導型の戦略的資本主義」と呼ぶ積極財政路線だ。

政府自身が戦略分野を決め、
そこに積極的に投資するという考え方である。

高市氏は対象となる分野について、
半導体、量子技術、宇宙、AI、防衛産業、エネルギー、
サプライチェーンの国内回帰などを想定している。

「国家主導型の戦略的資本主義」という言葉自体は新語だが、
アメリカやEU、韓国などはすでにその方向に舵を切っており、
市場原理任せの新自由主義からの脱却は世界的トレンドになっている。
そういう意味では、特段、真新しい政策ではない。

とはいえ、政府が積極的に支出をすると言い出せば、
決まって財源議論が吹き出す。そこが、この国特有の障壁だ。

高市氏は国債の増発で対応する考えであり、
財政健全化を唱える財務省とは対立することになる。


【緊縮財政派は、投資よりも消費税収重視】

それでも高市氏は、「経済が成長すれば税収は増える」と主張し、
「プライマリーバランスの黒字化にはこだわらない」と公言。

一方、財務省や緊縮財政派の政治家に言わせれば、
「経済が成長するなどという不確かな話には乗れない。
だから、成長しなくても徴収できる消費税が不可欠だ」となる。

堅実な言い分だとは思うが、
挑戦を回避する国に明るい未来が訪れるだろうか。

「国家主導型の戦略的資本主義」は、
日本の成長を諦めない、諦めさせないための大号令だと私は捉えた。

もっとも、麻生太郎氏が自民党総裁選で高市氏を支持したことを考えると、
高市氏もそれなりに財政規律を尊重すると予測され、
実際のところ、どの程度の投資を実行するかは予測が難しい。


【所得控除の引き上げは現実的と考える玉木氏】

対して玉木氏は、政府の市場への関与には消極的であり、
民間活力主導の成長戦略を描いている。

日本経済の成長に期する思いは玉木氏も強いものがあるが、
高市氏よりも財政規律に対する配慮は強い。

玉木氏と言えば、
所得税の非課税ラインを178万円にまで引き上げよと主張したことで、
財務省と対立関係のように思われているフシがあり、
「財務省デモ」の発生も、それが一因になったと言われている。

しかし、玉木氏は国債の増発を念頭には置いておらず、
現在の税収状況から考えて、所得控除額を引き上げることは可能という、
「無理のない分析結果」を立脚点にしている。

したがって財務省からすれば、
「痛いところを衝いてくる」とは思っているだろうが、
「是が非でも総理にするわけにはいかない」とまでは思わないだろう。

このへんが玉木氏の現実的かつバランス重視姿勢の発露だ。


【「政府がお金を出す」か「政府がお金を取らない」か】

以上、両者の経済政策哲学を比較した。

要は、「政府がお金を出す」というのが高市氏の考えであり、
「政府がお金を取らない」というのが玉木氏の考えである。

高市氏は前述のように、成長が期待できる科学技術や先端分野に対して、
国が積極的に投資を行い、成長を支援し、
その結果として得た富を企業や国民に分配できるという考え方で、
これは「トリクルダウン型の経済活性化策」と呼ばれる。

だが、富を得た大企業や先進企業は、
その富を内部留保や金融投資に回す可能性もあり、
中小企業や私たち小規模企業にまで、その「恩恵」が届くかどうかが課題だ。

対して玉木氏は、「給料が上がる経済」を標榜し、
賃上げ支援や所得控除額の引き上げなどによる中間層支援を重視。
これは「ボトムアップ型の経済活性化策」である。

国民民主党が多くの支持を集めるに至ったのは、
自民党の長年の大企業優先・優遇策に対して、
国民一人一人の所得が確実に増す公約を掲げたからにほかならない。


【政府投資が実るまで、所得税制改革で国民生活を守る】

最後に私の考えを述べたい。

新政権は、高市氏と玉木氏の両方の方針を組み合わせてみてはどうか。

「いやいや、税収を減らして、そのうえ財政出動なんてしたら、
国の財布はパンクしちゃうでしょ」と思う人がいるかもしれない。

それなら反対に問いたい。

物価高(=消費税高)に加えて所得税や社会保障費もがっぽり取られ、
公共事業や補助事業を渋る国に暮らす国民や小規模企業の財布は、
果たしてパンクしないのかと。倹約の先に何が開けるのかと。

もちろん、減税にも財政出動にも「ほど」はある。
そこは精査を重ね、行けるところまで行けばいいだろう。

高市氏の投資戦略が実を結ぶまでには時間がかかるが、
それが功を奏すれば、今後の日本経済の礎(いしずえ)が築かれる。

その「来るべき時」までの期間を、
玉木氏が提唱する「手取りを増やす」政策で、国民生活を守ればいい。

繰り返しになるが、新首相が決まった途端、
首相にならなかった人の知恵が葬られるのは、あまりにもったいない。

ここは政治的な対立を乗り越え、
日本経済の成長と国民生活の維持・発展を図る大方針を打ち出してほしい。
新政権に、そう強く要望したい。

<一般社団法人起業支援ネットワークNICe 代表理事 増田紀彦>



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       NICe NEWS 
    Web更新、勉強会、お知らせ
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《Mr.NICe》 10月14日更新 
 増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」324号
 <最近の決意> いつか、必ず、満開の桜の下で
 /archives/55087
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《Report》 10月13日更新 
 9月23日開催 防災備蓄収納自慢
 BJ-1グランプリ2025(NICe後援)
 ファイナルステージ&アンケート結果も!
 https://bichiku-shunou.or.jp/report-20250923/
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《NEWS》  10月8日更新   
 NICe日記大賞2025 発表!
 9月の月間大賞
 「96歳、鼻垂れ小僧」(SNS限定)
 /archives/47672
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《Mr.NICe》 10月7日更新 
 増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」323号
 <最近の発見> 「自信がない」は「できるかも」の裏返し
 /archives/55070
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《Mr.NICe》 10月7日更新 
 増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」322号
 <最近の発想> 狭い範囲での東西南北
 /archives/55062
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《Report》 10月5日更新 
 10月4日開催 飲んで食べて学んで福島応援!
 地域ヒット商品のデザイン戦略と、福島発ウイスキーの試飲会&BBQ大会
 /archives/54996
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《Trial Lesson》
 一般社団法人 変形性股関節症と正しく向き合う会
 個別相談付きメディカル・アロマケア(=股関節ケア)個別体験会
 10月25日、11月15日、11月29日
 https://henkeisei-kokansetsu.com/lp-medical-aroma-massage
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《Seminar》
 一般社団法人 防災備蓄収納プランナー協会
「防災備蓄収納2級プランナー講座」
 10月21日、30日、31日、
 11月6日、10日、12日、20日、30日、12月9日、10日、12日、18日、22日ほか
 https://bichiku-shunou.or.jp/qualification/qualification-2kyuu/schedule/
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《Seminar》
 一般社団法人 防災備蓄収納プランナー協会
「防災備蓄収納1級プランナー講座」
11月2日&3日@東京、11月26日&27日@大阪
https://bichiku-shunou.or.jp/qualification/qualification-1kyuu/


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 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃編┃集┃後┃記┃ ┃  
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10月4日に開催した「飲んで食べて学んで福島応援!
地域ヒット商品のデザイン戦略と、福島発ウイスキーの試飲会&BBQ大会」。
あいにくの雨でしたが、なんのその、満員御礼の盛会となりました。
ご参加、ご協力、ご声援、ありがとうございました。
また、上記のお知らせ2項目に揚げています
9月23日にZOOM開催した「防災備蓄収納自慢
BJ-1グランプリ2025(NICe後援)」のレポートが、
防災備蓄収納プランナー協会のサイトにアップされています。
閉会のあいさつで登壇した、NICe増田代表の
「福島原発周辺地域の現状と教訓」についても報告されています。
ちょうど、上記お知らせ1項目に揚げた増田通信が、
まさに、原発周辺地域の話題。併せてお目とおしくださいませ。

次号の「つながり力で起業・新規事業!」NICeメルマガは、
11月11日頃に配信予定です。
(NICe広報・岡部)
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 増田紀彦代表およびNICe会員への講演・取材
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