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どうする?日本経済

君よ、負け戦に臨み給うことなかれ



【例えば『乾いた小麦』が輸入されると……】

「ふすま」をご存じだろうか。
小麦を製粉する際に取り除かれる皮の部分のことで、
家畜の飼料にするほか、キノコ類の菌床栽培などに用いられている。

これを製造する製粉会社にとっては、
元来「捨てる部分」だったものが商品になるのだから、ありがたい話だ。
20kg袋に詰めて、どんどん出荷していく。
とはいえ「ふすま」は所詮、小麦の皮。非常に軽い。
メーカーは圧縮を重ね、ペレットにして何とか1袋20kgを達成している。

ところが今後はどう頑張ってみても、
1袋に20kgを詰めることは困難になるという。

なぜか?
TPP参加によって大量に輸入されてくる米国産や豪州産の小麦は、
国産小麦と異なり水分が少なく、乾燥気味。
それゆえ、目一杯圧縮しても重量が出せないのだ。

仮に1袋10kgにすれば充填可能だろうが、そんなことをすれば、
梱包コストも倉庫コストも輸送コストも2倍かかってしまう。
たかが「副産物の話」と思う人もいるかもしれないが、
むしろ副産物ですら、これだけ大きな問題になると理解すべきだ。

実際、ある大手製粉会社の社員は言う。
「製粉各社は新卒採用を停止し、国内工場を閉鎖していくと思う。
そして現在いる従業員も、計画的に追い出していくはずだ」と。


【オバマ大統領の対日「必勝宣言」】

今年2月、米国オバマ大統領は一般教書演説において、次のように語った。

「最優先課題は米国を新規雇用と製造業とを引きつける磁場にすることだ。
米国の輸出を加速し、米国の雇用を支え、成長するアジア市場での
公平な競争条件を確保するため、我々はTPP交渉を終結させる」と。

米国にとってTPPとは、
日本から市場と雇用の場をもぎ取るための壮大かつ壮絶な攻勢である。
言うまでもなく日本にとっては大変な話だが、
長い不景気と高い失業率に苦しむ米国にとっては、当然の選択といえる。

製粉会社社員の予測を聞けば、
米国の選択が着々と実現に向かっていることを実感せざるを得ない。


【TPPを活用して、従業員を解雇しやすくする?】

しかし日本の労働法制は、働く側にとって手厚いものがある。
製粉会社に限らず、社員をいとも簡単に追い出すことなどできない。
ところが、その法制自体を変えてしまおうという動きがある。

TPPの検討項目の中には、労働市場の規制緩和も盛り込まれている。
大手企業がTPPに賛成するのは、外圧(TPP)を使って労働法制を
一気に改定できると考えているからではないのか。勘繰り過ぎだろうか。


【防戦一方になるようなら、逃げてしまえ!】

前回のコラムでは、1985年の「プラザ合意」が契機となって、
日本経済がジワジワと追い詰められていった経緯を書いたが、
それから四半世紀を経て米国が仕掛けてきたTPPは、
日本経済を追い詰めるどころか、そっくり奪ってしまおうという勢いだ。

冒頭からの流れに則して話をまとめると、
●米国に市場を奪われる→●事業撤退や工場閉鎖が増える→
●従業員が余る→●従業員を解雇しやすいよう法制を変える 
ということになる。

これでは敗者のロジックだ。

TPP交渉に参加するのなら、むしろ米国を食うくらいの気概が欲しい。
防戦一方になるようなら、いっそ席を蹴ってしまったほうが賢明だ。

<一般社団法人起業支援ネットワークNICe 代表理事 増田紀彦>


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「つながり力で起業・新規事業!」 メールマガジンVol.4(2013.0321配信)
より抜粋して転載しました。
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