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どうする?日本経済

全国津々浦々に、屋台村を!


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    「増田紀彦の視点 どうする?日本経済」

     第33回 
     全国津々浦々に、屋台村を!
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【いわき市「夜明け市場」の「じゃじゃ馬」】

私は1年の半分近くを出張先で過ごす。
重い荷物を抱えての移動はこたえるが、
それでも、ご当地の料理や地酒を堪能できる悦びは大きい。

今年の出張の皮切りは、福島県のいわき市だった。
いわき市には毎月足を運んでおり、お気に入りの店も少なくないが、
必ず「2軒目」にお邪魔するのが、
いわき駅前の「夜明け市場」にある「じゃじゃ馬」だ。

「じゃじゃ馬」を経営する小磯孝仁さんは、
かつて福島民報いわき支社の営業部長を務めていた人物。
というような、立派な経歴を感じさせない彼のフランクな人柄と、
徐々においしくなっていく料理(つまり最初の頃は……)が楽しくて、
毎度毎度、足が向いてしまうのである。
(震災後の彼の奮闘ぶりも知っているので、尊敬の気持ちも大きい)


【冬でもビニールシートがあれば大丈夫】

だが、同店を訪ねるのには、もうひとつ大きな理由がある。
店舗前の通路に張り出した店外席に陣取って、一息つきたいがためだ。

もっともこの時期の夜間の外気は身震いするどい冷たい。
なので、店外席はビニールシートで囲いをつくり、
そこにストーブを1台入れておくのである。
シートの保温効果のおかげで、真冬でも屋外の解放感を味わえる寸法だ。

もちろんビニールシートを使った屋台や屋外席は、日本中にある。
それこそ今では「南から北に」いたるまで……。


【ビニールの威力を証明した帯広市の「北の屋台」】

2003年の晩秋、私は北海道の帯広市を訪ねた。
お目当ては、極寒の地にオープンした「北の屋台」だ。

「屋台村の構想を打ち出した時は、誰もが無理だと言った。
『こんな寒い地方で屋台などできるわけがない』と。
だから私たちは、ビニールを張った空間がいかに暖かいか証明するため、
模擬屋台を作り、『無理だ』と言う人に、その中に入ってもらった」。
北の屋台の仕掛け人の一人、坂本和昭さんがそう教えてくれた。

ビニールシートの保温力は想像以上に高く、屋台はその中で煮炊きをするし、
厚着した客が密集して座っているのだから、むしろ暑いくらいになる。


【屋台規制をかいくぐった呉市役所のアイデア】

帯広の「北の屋台」成功の波及効果は大きかった。
青森県八戸市の「みろく横丁」や山形市の「ほっとなる横丁」、
福島市の「こらんしょ横町」、その他、北国や雪国の各地に屋台村は広がる。
昨年は新潟県上越市にも屋台村が誕生した。
北海道でできるのである。ということは、どこでも屋台村の通年営業は可能だ。

もっとも気温の問題とは別に、屋台の営業には様々な法的規制が絡む。
建築基準法、消防法、食品衛生法、道路法、道路交通法、公園法……。
いわゆる戦後の近代化の中で、屋台という業態はやっかい者になってしまった。
しかし、あの手この手を駆使することで規制はクリアできる。

出色は広島県呉市の屋台街。今では「大和ミュージアム」とセットで、
多くの観光客が訪れるこの一角は、呉市役所の大ヒット事業である。
道路に屋台を固定する営業方法だと、警察の許可が必要。
そこで市役所は考えた。道路に隣接する公園の一部を道路のように作り直し、
そこに屋台を集約し、電気と上下水道も整備した。
営業場所が市営公園(見た目は道路だが)であれば、警察は何も言わない。
そうやって地域の観光と経済を呉市は盛り立てているのである。


【屋台村は地方都市観光のキラーコンテンツになる】

見知らぬ者同士が肩を寄せ合い語り、酒を酌み交わせる屋台村(屋台街)は、
今や北国を含む地方都市に不可欠の産業資源である。インバウンドを睨んで、
外国語サービスなども取り入れればさらに活況を呈するだろう。

そういえば一度、例のお気に入りの「じゃじゃ馬」の屋外席に先客がいて、
がっかりしたことがあった。聞けば、その客、いわき市長だという。
私の仲間が、横に座ってああだこうだやったようで、申し訳なかった。
それもまた、屋台村の味わいということでご容赦頂ければ幸いである。

<一般社団法人起業支援ネットワークNICe 代表理事 増田紀彦>


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「つながり力で起業・新規事業!」メールマガジンVol.38
(2016.121配信)より抜粋して転載しました。
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