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どうする?日本経済

太陽光発電よりも大切なこと


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    「増田紀彦の視点 どうする?日本経済」

     第34回 
     太陽光発電よりも大切なこと
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【もともと「九電ショック」は予測された事態】

九州の宮崎県を列車で移動していると、
線路と並行してコンクリート製の高架が延々続く様子が目に入ってきた。
リニアモーターカーの実験場跡である。遺物となってしまった高架だが、
今、そこにはおびただしい数の太陽光発電パネルが設置されている。

九州といえば、「太陽光発電の接続を保留する」と発表した、
2014年の「九電ショック」を思い出す。
ショック前の2014年4月の九州電力への接続契約申込件数は7053件あったが、
1年後の2015年4月には、788件と1割程度にまで落ち込んだ。
買い取り価格引き下げも要因だが、新ルールにより、電力会社が発電事業者に、
出力抑制期間を無制限に求められるようになった影響が大きい。

ご存じの通り、接続保留は九電に始まり、
北海道電力、東北電力、四国電力、沖縄電力と続いた。
発電設備に投資した事業者の中には、ショックを受けた人もいたかもしれない。
だが、太陽光などの再生可能エネルギー発電設備が増加した場合、
送配電に問題が生じることは、もともと関係者の間では知られていたことだ。


【太陽光発電が増えれば大規模停電も!】

その問題とは、大きく分けて4つ。
1.天候の影響による出力変動で、送配電ネットワーク内の電力の周波数が不安定になる
2.電力需要が少ない地域での系統接続の増加により、送電容量が不足する
3.地域の発電量が需要を上回って、電力が余ってしまう
4.太陽光発電から系統側への電気流入(逆流)の増加により、系統電圧が上昇してしまう

中でも4番目の電圧上昇は大変な問題で、
これを放置すれば大規模停電を引き起こしかねない事態に至る。
相次いだ接続保留の主たる理由も、この「大規模停電の危機」と密接だった。


【加熱した太陽光発電ビジネスは地域経済を追い詰める】

太陽光発電は自家消費のための装置として推進すべきで、
それを「商売」にするなど、まだ現実的ではない段階なのだ。
にもかかわらず、政府はビジネスとしての太陽光発電をゴリ押しし、
瞬く間に、あの黒いパネルが日本中に広まっていった。

実際、こんなことが起きた。国有地の払い下げ案件があり、
とある食品メーカーが新工場建設用地として取得すべく手を挙げた。
ところが、突然ライバルが登場。もちろん太陽光発電事業者だ。
発電事業者は、食品メーカーのはるかに上を行く金額を提示して落札した。
雇用を生み、物流や販売を活性化させるはずだった食品工場が消え、
無人のメガソーラー施設がそこにできた。

太陽光発電を煽って、結局、儲かるのは誰なのか? という話だ。
昨今の我が国の電機メーカーの低迷ぶりを考えれば、
政府が何とかしたくなるのも、わからないではないが……。


【電気を使わずに済む技術や製品に注目を】

「とはいえ、電力を原発や火発に頼るのはどうか」という意見はある。
もっともだ。なら、電気利用を減らせばいい。
最近、人間の体重を利用して開閉する自動ドアを見かける。いい例だと思う。
もっとも電気の多くは、冷房や暖房に使われている。ここを削減したい。

福島県に株式会社フミンという会社がある。規模は小さいが事業は大きい。
ビルなどのガラス面に薄膜を塗装する技術を有していて、これを塗ると、
明るさはキープしたまま、熱のもとになる赤外線を70%カットし、
日焼けのもとになる紫外線を90%カットしてしまうという結果を出す。
実際、東京の新国立美術館の外壁にこの薄膜を塗装したところ、
年間電気使用量を18%削減できたことが報告されている。

「電気をつくって一儲け」などという危険なビジネスにではなく、
電気を使わずに済む技術や製品にこそ、投資すべきだと私は思う。
それがまた、脱原発の重要な手立てにもなるわけだし。

<一般社団法人起業支援ネットワークNICe 代表理事 増田紀彦>


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「つながり力で起業・新規事業!」メールマガジンVol.39
(2016.222配信)より抜粋して転載しました。
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