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どうする?日本経済

TPP廃案!? 政治は水物。真の武器は知恵と仲間


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    「増田紀彦の視点 どうする?日本経済」

     第35回 
     TPP廃案!? 政治は水物。真の武器は知恵と仲間
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【政治的な臭いが強い「消費税増税先送り」】

3月16日に首相官邸で開かれた国際金融経済分析会議で、
コロンビア大学のジョセフ・スティグリッツ教授が、
「消費税率10%の引き上げに反対意見を述べた」と大々的に報道された。

私は景気回復のためには、消費税増税は見送るべきと主張してきた。
そういう意味では、教授の意見は「我が意を得たり」の感もあるが、
このタイミングでのこの発言と報道は、
いかにも5月のサミット対策、7月の参院選対策との印象をぬぐえない。

というのも、スティグリッツ教授の講話は消費税に関する事柄より、
TPPに関する見解を中心に展開されたとの出席者による証言があるのだが、
ほとんどのマスコミはTPPをカットし、消費税議論にスポットを当てている。
このへんが「講話の政治的利用」を感じさせる根拠である。


【報道されなかったスティグリッツ教授の衝撃的発言】

では、スティグリッツ教授は、TPPについてどう語ったのか?
いかんせん、マスコミが報道を抑えているので詳細はわからないが、
「スティグリッツ教授提出資料(事務局による日本語訳)」には、

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokusaikinyu/dai1/siryou2.pdf

●米国にとってTPPの効果はほぼゼロと推計される。
●TPPは悪い貿易協定であるというコンセンサスが広がりつつあり、
米国議会で批准されないであろう。
●特に投資条項が好ましくない。新しい差別をもたらし、
より強い成長や環境保護等のための経済規制手段を制限する。

との記述がある。

これは衝撃的である。
普通に考えれば、増税延期より、こちらのほうが大ニュースだ。
米国政府があれだけ強引に推し進めてきたTPPが、
今、頓挫しようとしているという見込みが書かれているのだから。


【TPP中止なら、膨大な予算はどうなるのか?】

TPP参加・批准を進めてきた日本政府にすれば、
「今さら何を!」と大騒ぎする場面ではないだろうか。
実際、政府はTPPに関連して、すでに以下のような予算を組んでいる。

1 TPPの活用促進
 平成27年度補正予算      489億円
 平成28年度当初予算案     295億円
2 TPPを通じた「強い経済」の実現
 平成27年度補正予算    1,130億円
 平成28年度当初予算案   1,257億円
3 分野別施策展開
 平成27年度補正予算    3,256億円
 平成28年度当初予算案      30億円
合計
 平成27年度補正予算    4,875億円
 平成28年度当初予算案   1,582億円

私はもとより世界のブロック経済化を進めてしまうTPPには反対だが、
ことがここまで進んできていて、それが「なし」になるとしたら大変だ。
つくづく政治とは、「綱引き」なのだと思い知らされる事態である。


【真に足りないのはハコモノではない】

だからあらためて主張したい。
経営者たるもの、自らの事業の行く手を政治任せにしてはいけないと。
TPP関連予算にもとづく補助金活用を考えている人も少なくないはずだ。
それが「どうなるかわからなくなった」という話である。

政府や政治家が悪い、役所や役人が悪いという話ではない。
勝ったり負けたり、押したり引いたりの政治が政策を生み出す以上、
政策にもとづく企業や事業者への支援は水物と言うべきである。
経営の原則は、やはり自助努力だ。

とはいえ経営資源に乏しい小規模事業者にとって、
ハコやモノを調達しようと思えば、各種の支援制度は確かに魅力的だ。
「いつまでも続かない」ことを肝に銘じて活用するのであれば、いいと思う。

だが、真に小規模事業者にとって不足しているのは、ハコモノではない。
知恵だ。知恵がなければ、ハコモノはガラクタになり下がる。


【知恵を共有・循環する頭脳交換会】

スティグリッツ教授講話の3日後の3月19日、
NICeは福島県郡山市において、「NICe頭脳交換会in郡山」を開催した。

頭脳交換会とは、登壇したプレゼンターの課題や構想に対して、
参加者全員がディスカッションを経て、
ありとあらゆるアイデアを提供していく取り組みである。
参加者相互の頭の中にある財産を惜しみなく提供し、
有用な知恵を小規模事業者同士が共有・循環させようという狙いだ。

当日は開催地福島県の事業者をはじめ、岩手県や新潟県から、
合計10組のプレゼンターが自社の取り組みと課題を投げ掛け、
全参加者が2時間にわたり、各組への応援アイデアを次々と提供した。

ある政府系機関に勤務する参加者は、
「こんなに集中して頭を使ったことはない。脳味噌から汗が出た」と語ったが、
このコメントは、まさに頭脳交換会の真髄を語るものである。

目からウロコのアイデアを受け取ったプレゼンターはもちろん嬉しいが、
アイデアを出したほうは出したほうで、
自分が異業種の事業者に対して、有用なアイデアを出せる事実を知ることになる。
いわば自らの可能性を大きく広げることにつながっていく。
そして、事前には想定できなかった異業連携の端緒が開かれる。
つまり頭脳交換会をきっかけに、新たな商品やビジネスが生まれるのである。

政策にもとづく支援は水物だが、経営者の知恵は揺るぎようのない財産だ。
それを提供し合い、重ね合うことで、小規模事業者は大いに成長していける。

混沌の時代には、自らの信念と仲間の知恵が何よりの資源である。
NICeの頭脳交換会を全国各地で開くべく、活動を強化しようと決意した。

<一般社団法人起業支援ネットワークNICe 代表理事 増田紀彦>

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「つながり力で起業・新規事業!」メールマガジンVol.40
(2016.323配信)より抜粋して転載しました。
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