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厳しさを増す経済・経営環境に立ち向かうために、NICe増田代表理事が送る、視点・分析・メッセージ 。21日配信のNICeメルマガシリーズコンテンツです。
財政破綻論に負けるな被災地、負けるな日本!



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    「増田紀彦の視点 どうする?日本経済」

     第37回 
     財政破綻論に負けるな被災地、負けるな日本!
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【「借金大国日本」は本当なのか】

「今の借金を孫たちに背負わせていいのか?」
「このままでは、日本は破綻するぞ!」

ギリシャ危機が勃発した当時、それに「あやかる」ように、
当時の日本政府は、「ウチだって苦しいんだ」と騒ぎ出した。

その際に利用されたのが、日本国債の発行残高だ。
総額を日本国民の人口で割り、
「国民一人当たりウン百万円の借金がある」などと言いふらしたのである。

これがとんでもなくひどい「計算式」であることを当時も指摘したが、
あらためて簡単に記すと、以下のような理屈になる。

国債を発行してお金を借りているのは誰? 政府だ。
では、貸しているのは誰? 国債を保有している日本国民である。

個人で国債を持っている人もいるし、持っていなくても、
預貯金をしていれば、その資金が国債購入に当てられるから、
間接的に国債を購入していることになる。
つまり、日本国民はお金を借りているのではなく、貸しているのである。


【国家の良心を蝕む財政破綻論】

最近は、さすがに国債の残高うんぬんは言わなくなったが、
財政破綻論を吹聴する人々があとを断たないのも実状だ。
あの東日本大震災の発生後に、こんな論を展開した学者がいた。

『我が国の被災者支援は「国は財政破綻しない」ことを前提としてきた。
しかし、大規模災害に際しては、国が無制限に財政負担を負うことは
不可能な状態にある。従って、災害時に政府・自治体が救済する範囲
(資格要件)と水準(支援金額など)を予め明確にする。「できることと
できないこと」を明らかにしておく必要がある』。

被災者に対し「できることとできないこと」があると言ってしまう、
この発想には、さすがに空恐ろしさを感じた。

例えれば、とある家族に3人の子供がいて、そのうち2人が病気になったが、
「我が家の家計では1人分が限界だ」と、治療費を渋るような話だ。
「お父さん、助けて」と子供が叫んでも、
「できることと、できないことがある」と言うのである。

財政破綻論は、こういうかたちで国家の良心をジワジワと蝕んでいく。


【案の定出遅れた熊本地震復興支援】

4月14日と16日、立て続けに震度7を記録した熊本地震に対し、
政府が激甚災害指定をしたのは、それから12日も経た4月26日である。
どう考えても、その間、慌てて財布の中身を調べていたとしか思えない。

福島県に暮らす友人が、以前こんなことを言っていた。
「国が国民を見捨てるなんて、そんなこと、あるはずがないと思っていた」と。
やりきれない言葉だ。

財政破綻など考えられないが、仮に1%あるとして財政を優先したところで、
こんなことを続けていたら、先に国民の心が破綻してしまう。
いったい、どこの誰が、そんな冷たい日本を望んでいるというのか?


【民間のスピードがこの国の生命線】

NICeは熊本で一度目の大地震が発生した翌15日に、
全国に向けて支援を呼びかけた。すると、続々と寄付が集まってきた。
現地九州から、遠く北海道から、そして被災地の東北各地からも……。
通帳を見て、目頭が熱くなった。

予算規模は政府に比ぶべくもないが、
そのスピードにおいて、その使途の確かさにおいては、
起業家をはじめとする民間人の取り組みのほうが政府よりも優れていると。

皆さんからいただいた志は、現在、
1. 仕事を失った起業家たちの再起支援プロジェクト
2. 来春就職を予定していた地元学生たちのキャリア支援プロジェクト
主にこの2つの活動に活用させていただいている。

今後の地震活動の推移や、課題の変化に応じて、
さらにまた新たな支援活動に取り組んでいく計画だ。

財政破綻論に踊る(踊らされる)人々など無視し、
必要なところに必要な資金を回していく取り組みの大切さを、
NICeは今後も実証していきたい。


【つながり力は、無尽蔵】

「東北と熊本と、そんなにたくさん支援できるの?」という声もある。
だが、大丈夫だ。というよりも、だから大丈夫なのだ。

かつて九州の仲間が東北を助けてくれたように、
今度は東北の仲間が九州を応援してくれている。
そして、将来の地震が懸念されている東海地方の仲間たちが、
あの手この手で支援活動をリードしてくれている。

頑張っているのは、この国の心ある一人一人だ。
NICeは、その思いと行動を、確実に着実に、つなげていくのみである。

<一般社団法人起業支援ネットワークNICe 代表理事 増田紀彦>





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「つながり力で起業・新規事業!」メールマガジンVol.42
(2016.519配信)より抜粋して転載しました。
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