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どうする?日本経済

小規模事業者に、構造改革の恩恵はない


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    「増田紀彦の視点 どうする?日本経済」

     第42回 
     小規模事業者に、構造改革の恩恵はない
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【自治体業務も大手企業が請け負う時代に】

先日、所用があって大阪府内のとある市役所を訪れた。
必要な文書を発行してもらい、帰途、その領収書を眺めて驚いた。
「○○市役所市民課 収納業務受託者 (株)○○○」。
そこには有名な民間企業の社名が印字されていた。

自治体業務の外部委託はそこまで進んでいたのか……。
同様事例はないかとネット検索すると、出てくる、出てくる。
大阪府内の他の市や大阪市各区役所の窓口業務や情報業務が、
この有名企業に次々と委託されていたのである。

昨今、自治体職員への風当たりが強い。
「働かない」。なのに「給料が高い」などと。
そして、自治体はどんどん職員を削減し、
様々な業務を民間企業に委託するようになっている。


【市民に浸透した「農協悪者」論】

話題は自治体から農協へ移る。
農協職員に対する非難の声も、自治体職員に対するものに負けていない。
だが、私もかなりの数の農協職員の顔が浮かぶが、さすがに、
「仕事をしていない」とまで言われる人は、そういないと感じている。

もっとも、農家(組合員)の所得向上に、
農協職員の仕事が直結しているかと言えば、必ずしもそうとは言えない。
JAバンクやJA共済などの関連事業に、農家の姿はダブらない。
大きくなり過ぎてしまった農協組織と農家との乖離は確かに存在する。

であるなら、当たり前だが、農協の業務を改革するべきだ。
ところが昨今の農協批判は、農協解体へと向かっている。


【将来、日本の農産物流通は、外資が担う?】

以前も書いたが、農協改革は、米国産業界の意向をまるまる体現したものだ。
すでに農協の政治力の中枢を担っていた全中(全国農業協同組合中央会)は、
一昨年、農協に対する監査・指導権の廃止を受け入れた。

戦闘力を奪われた農協から、JAバンクやJA共済が切り離され、
農畜産物の流通を担う全農(全国農業協同組合連合会)は、
やがて株式会社化させられるだろう。

全農の株式には、当面、譲渡制限が付くだろうが、いずれ解除されるはず。
そのとき、全農株を買うのは誰か? 米国穀物メジャーが有力だ。
米国が強硬に主張する農協改革なのだから、そう考えるのが自然である。

特定の団体や活動が悪者のように喧伝され、改革が叫ばれるとき、
その裏には、必ず利益を得る人がいる、という法則があると考えるべきだ。


【災害復興でチャンスを得るのも大手ばかり】

「3.11」から6年が経過し、熊本地震から1年を迎えようとしている。
ショック・ドクトリンという言葉をご存じだろうか。
端的に言えば、大災害等の復興策として、大胆な構造改革を行うことだ。
様々な規制が緩和され、大企業が事業機会を得るという展開になる。

役場たたき、農協たたき、そして災害復興。
どこを見回しても、結局、いい思いをするのは大企業ばかり。
と、文句を言っても仕方がない。
私たち小規模事業者は、私たちらしい成長の仕方を追い求めよう。


【小規模事業経営者には、自由という武器がある!】

先週の3月18日、NICeは福島県郡山市で頭脳交換会を開催した。
震災と原発事故に苦しむ福島や東北の経営者・生産者を応援するとともに、
被災しながら再起してきた東北の起業家たちから、
全国の起業家も大いに学ぶべきという主旨の交流型勉強会だ。

小規模事業は、経営者の努力と仲間同士の相互支援があってこそ、
「デフレと自然災害」という二重苦を抱えるこの日本で、
事業を維持し、発展させることが可能だと私は考えている。
いわば「自助と相助のコラボ」である。

繰り返すが、小規模事業者に、構造改革の恩恵はない。
その代わり、私たちには自由がある。
私たちは自分の思うように采配を振るえるし、
同業種・異業種を問わず、他者と手を携え合うことも意のままだ。

小規模事業者は、この「自由」を武器にして、大手と伍すべきである。


<一般社団法人 起業支援ネットワークNICe 代表理事 増田紀彦>

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「つながり力で起業・新規事業!」メールマガジンVol.52
(2017.3.21配信)より抜粋して転載しました。
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