第4回NICe東京定例会レポート
2009年8月31日(月)、リーダーズサロン『なみへい』にて、第4回「NICe東京定例会」が開催された。台風11号が関東地方に最接近した時間帯にもかかわらず、遠く福島県、群馬県、岐阜県、京都府、大阪府、福岡県などからも参加者があり、総勢53名の勉強会となった。
■開会のあいさつ
増田氏「では、前半はこのサービスや仕組みについての質問、ご意見を。また後半は、使い方に付いての提案をお願いします。運営の作業 時間が月に約2時間というのはキーワードかなと思いました。ポータルを運営している人の手間がかからない。それなのに効果がある。各人が書くブログからう まく地域名やキーワードを拾い上げ、ポータル運営者は作業時間が短く、いいビジネスができると。そういうことですね。ではまず、質問は?」 下崎氏「CMSに興味を持っています。具体的にキーワードとSEO対策と直接どのように結び付くのですか?」 平井氏「まずテンプレートを加工していただければ、普通のホームページのように見えます。実際には、情報を発信していくことがSEOには必 要になります。SEOというのは、本当はお金がかかるものではないのです。ビッグワード(※検索数の多い単語)を買いまくって広告を出せばもちろん大層な お金がかかります。例えば中古車なら、「中古車 福岡」だけではなかなか情報に行き着かないので、車種名を入れますよね。そうすると、SEO業者は車種名 ごとにキーワード料金を支払うことになります。これでは大変です。ところがそうではなく、年式、型式、マイナーチェンジ前とか後とか、「車」といってもい ろんなキーワードがありますよね。そういう単語は、中古車会社自身がいくらでも持っていると思うんです。例えば、何年式の何々はこういうメンテナンス方法 がありますよと。その情報を簡単に出す方法を考えた時に、ブログというツールが有効なんです。たとえば、四柱推命師さんが初めてホームページを持たれて、 プログを書きました。3日目で、「福岡 四柱推命」で、大手検索サイトで1ページ目にヒットするようになったのです。情報をどう出すか、ターゲットに向け どう出してくかを考えていけば、SEO業者に頼むのではなくて、コンテンツをどう生み出していくかが中心になってくるのです。その時にCMSというツール を使って、ラクに情報を発信しないと長続きはしないのです。ホームページをつくるというよりは、ブログでどんどん情報を発信して欲しいと思います」 増田氏「端 的に言うと、四柱推命でも中古車屋さんでも、その道に詳しい人が、その人だからこそ書けるような、逆に言うと検索してくる人の答えになるようなことをどん どん更新していること自体が、ランキングを上げているということなのですね。キーワードが引っ掛かるようなことを、そういう人達は自然に書けますからね。 それを検索で見つけてくるのですね」 平井氏「そうです」
菊池氏「質問なのですが、政治家ブログや商店街の事例がありましたが、運営しているのは、それぞれの代表ですか? それとも御社で?」 平井氏「そ の2つに関しては、たまたまうちで運営しています。たとえば、政治家さんのサイトでいうと、サイトを提供して、いわゆるレンタル で貸し出して、議員の皆さんがブログを書いて更新しているということです。ポータルを中心に、ここは政治家専門のブログですよ、ということで表に出してい ますので、外から見ると、政治家専門ブログに政治家が集まって書いているように見えます。ただし、一人ひとりの議員のページを見ると、一人ひとりにブログ がある、ホームページがある、ということなのです」
増田氏「ではもうひとつ、北出さんの発言にあった保育。この保育に、どんな組み合わせが考えられますか」 参加者「時間」「地域」「何歳からか」「空き」 増田氏「空きは人気のキーワードですね。ほかにどうですか」 参加者「時間」「給食」「病児保育」 増田氏「英会話なんかも組み合わせられますよね。保育しながら教室とかね。結構わかってきましたね。ひとつのキーワードを出すと、関連する いろんな業種が想定できる。ポータルを運営する人は、そこをうまーく拾い出して営業していくことができますね。介護、保育、いけそうですね。ほかにどうで すか?」 菊池氏「ちょっと違う方向かもしれませんが、たとえば大手飲食チェーン店。そこに営業して、店長ブログなどはどうでしょう」 増田氏「面白い!」 平井氏「実は30店舗ぐらい展開しているパチンコ屋さんに利用してもらっています。どういう企業なのか、今ひとつ表ではわかりにくいというか。それで、店 長さんはどんな人なのか、どんなことを思っているか、店長さんが日記を書いています。イベントの案内やお客さんからのコメントに対してとか。実はそれまで は本部の人がやっていたんですよね。今までは本部がホームページを持っていて、各店舗のイベント一覧などをつくって載せていました。ですが、今は各店舗か らわざわざ情報を集めなくても、各店舗のブログに書かれた情報をトップページで集約して一覧にできる。便利で、なおかつ検索にかかるキーワードもたくさん 出てきます。こういう業界でも使われています」 増田氏「いいですよね。広報の予算削減にもなるのではないでしょうか。広報という意味に加えて、日報みたいにリアルに情報が本部に集まる。多店舗展開して いるような企業は、それでチェックもできる。まぁチェックされていると思うと、きれいごとしか書かなくなるということが少しは気になりますけれどね」 平井氏「店長さんがITに詳しくないので、副店長さんが、店長観察日記と題して書いているところもあります。料理屋さんでもたとえば、福岡の有名なお祭 り、博多山笠があります。朝早いイベントなので、帰りにお店に寄って下さいとか朝からお店を開けています、という情報は、博多の店でないと意味がない。 チェーン展開しているような本部のホームページでは一般的なことしか載せていないので、なかなか発信はできませんが、店舗ごとにブログ発信することによっ て、お祭りの名称で検索に引っ掛かるようにできます」 増田氏「チェーン店はありますね。パチンコ、居酒屋。ほかにチェーン展開している業種でどうですか? 利用者として」 長谷川氏「賃貸物件の不動産チェーン」 増田氏「見たいですよね。本当のところどうなのだろうな? みたいな業界。そこの店長ブログとか当たるかも知れませんね」 小杉氏「もう少し細かくして、 営業職のブログとか。保険とか訪問セールスなど。こんなお客さんに会えました、とか書いてあると、個性に出会えて、こういう人から買いたいとか」 増田氏「保険屋さんね。僕に送られてくる外資系の保険営業のAさん、Bさん、Cさんのメールが、みんな同じ内容だったりします(笑)。本部が書いたものを自分の名前にして送ってくるので、そういうことになっちゃうんですよね」 藤原氏「自動車学校はどうでしょう。来る人に対するブログなので、車屋さん、カー用品屋さん、試験問題関連とか」 増田氏「面白い発想ですね。ビジネス的に言えば青田買い、囲い込みのご提案ですね。将来、車関係で出費する人を早い段階からかかえこもうと」 平井氏「通学している人は既にホームページを見て知っているので、これから通う人が見るかも知れませんね。どこがいいか、金額とか、どんな先生がいるかと か、丁寧に教えてくれるか、卒業するまでのスケジュールとか。チラシ一枚ではわからない世界なので、情報を出せるサイトになりますね。もちろん通っている 最中にも読むことができますしね」 増田氏「教官ブログみたいになっていて、車のパーツ屋さんとかもかかわってくる。先生たちの話は面白いでしょうね。他にどうですか?」 田村氏「今の藤原さんのご意見で 思い付いたんですが、学校の先生。今、少子化で、特に東京や大阪の電車の中の広告は学校一色です。しかもそんな校名知らないよ、みたいな。イメージアップ のために学校名を変えたりもしていますし。ところが、受験のためのパンフレットを制作している知り合いがいて、学校の先生方は商売っ気がないのか、いいも のをどうつくるかをわかっていないと。パンフレットを見ると質も低いんですね。これから受験で、親や子どもが何を基準で学校選びをするかというと、よほど 有名校でない限り、どんな面白い先生がいるか、どういうことを教えてくれる先生がいるか、どんなキャラの先生がいるか。教育的な内容ではなくて、どんな面 白い先生がいるかというのを基準に、私だったら選ぶんじゃないかと」 増田氏「専門学校がいいのかな。先生ブログを見るのは親でしょうか、子どもでしょうか」 田村氏「普通の私立中学は親でしょうね。高校ぐらいだと両方」 平井氏「パンフレットは、こういう先生がいるというだけになってしまいますね。ただ問題がひとつあるとすれば、先生もいろんな先生がいて、学校側も出して いい情報かどうか。また、学校というのは個人情報が含まれてくるので、そのあたりの情報管理が必要だとは思いますが、こういう先生がいます、こういうのが 得意です、というのが出せたほうが、生徒として父兄としては面白いと思いますね」 増田氏「逆に、ユーザーはどういう検索をしますかね? 私、最近受験していないのでわからないのですが(笑)。どうですか? インターネットでどう学校を検索するんでしょうね」 山里氏「中高だったら部活動。この学校に入ったら、将来何をやりたいとか」 増田氏「昔はオレンジ色の分厚い本があって、学校名、偏差値、受験日が書いてあって。あれでかっこいいのと偏差値で選んだけど。他の基準は?」 山里氏「女の子の場合は制服」 増田氏「制服はありですよね。ユーザー側は先生ということで選びますか? どうでしょう」 北出氏「先生で選ぶのなら、塾がいい」 増田氏「なるほど。学校を選ぶ時に先生を抽出するようなキーワードを入れるのは、まだ大変なのかなという気もするけれど、逆にいうと、そういう文化を創り出すのは面白いですよね。一方で塾はそうですよね。先生の力量次第ということもありますからね」 新井氏「大学だったら、研究内容とか中身で選ぶ学生さんも多いと思うのでいいと思います」 増田氏「平井さん、どうですか。先生というのはブログを書いてくれるのでしょうか」 平井氏「先生によっては書いてくれるのですが、大学に提案していた時に、学会発表や総会が年2回あるので、発表された論文とかを載せてもいいし、研究内容 を出してくださいと提案したのですが、先程も田村さんが言われたように先生方というのは商売っ気がないというか、見てもらおうと思っていない。学会でひと つ論文が書ければいい、それが名誉のような。なかなか出されない方が多いですね。年1回まとめて出すとか、何年か一度に一覧表とか」 中島氏「使う側からすれば、比較して調べたいので、競合が並んでいたほうがいいように思うのですが、なかなか現実的に厳しそう。FCのような本部があるような仕組みだと取り入れやすいかなと。たとえば、美容院とかエステとか、個別で指名が入るような、人気を競うようなところなら、ひとり一人書くことが集客にもつながって、選ぶほうもどういう技術が得意かとかで、同じ店舗とかチェーン店とかだと展開がしやすいかなと感じました」 増田氏「なるほど。みなさんの話を聞いていて段々とわかってきました。まず検索する人がいる。それは何かを求めている、つまりニーズがあったり課題があったりする人です。買いたいとか、何かして欲しいとか。それを探してくる側と、それに答えられるグループがいる。しかも何かを書くということを、いとわないような立場、意識の人たちです。こういう両者を引き合わせないと、このポータルは成立しないのだと。そうすると、やはり事業者というのは強いでしょうね。一方、さきほど出た学校の先生やの自動車学校の教官に書かせるのは大変かもしれないですね。ニーズはあるけど、答えられるかどうか。マッチングしていったバランスがいい組み合わせだと成功するかもしれないですね」
さぁ時間がだいぶ過ぎました。平井さんのシステムは、皆さんもわかったように、リアルなキーワードで、できれば頻繁に更新できる専門性のある人たちのブログをたくさんつけて、それを束ねることで、検索結果を上に上げていくブログのポータルです。これを使っていくことで、ビジネスチャンスを広げるということです。平井さん自身のヒントになったと思いますし、オープンにしていますので、私も運営ができる。こういうアイディアでやりたい、という方はこの後ぜひ平井さんと話を進めていただければと思います。ありがとうございました」